30 シェアハウス

日給8000 ー大部屋代 5000 ー 2食の食事代 1400 = 1600

シェアハウス代  10日間  15000


シェアハウスには、個室と供用部にホールと庭がある。


10日間の給料を貯めれば、シェアハウスに移るだけのカネが貯まる。


シェアハウスに引っ越せば、大部屋代がなくなるので、1日の手取りは、6600銀だ。


経済的に考えてシェアハウスに移るのは、断然お得だし、個室を持てるのもありがたい。


住人とも仲良くなれる。

知り合いが増えることは、何かと良いこともあるだろう。


カネが貯まりしだいシェアハウスに移ることを3人は、決めた。


4日後、引っ越しを行った。

荷物は少ないので、引っ越しと言っても移動と言った方が正しい。


シェアハウスは併設の建物だし大部屋から個室に移っただけのようなものだ。


リザトルとザックスの仲介で、他の住人に挨拶を済ませた。


シェアハウスの住人には、第一中継小屋輸送の仕事を一緒にしていた

護衛のユニゲラ、ユニゴン、ユニドロの3兄弟。

ウィンレース、フィスザク、ノブリムスがいた。

ザックスもここの住人だ。


個室は、4畳ほどの広さで、小さなテーブルと寝台が有る。荷物を置いて寝るところという感じ。

引きこもるには、居心地の良い広さかもしれない。


「個室ってっ良いよな。アグル、なんか自分の部屋って感じ」


「大部屋は広いけど、物を置くにも気を使うよね」


「うん」


「広くても使ってはいけないところみたいでさ」


「うん」俺は頷く。


俺たちは狭くても個室…ということに大満足だ。


持ち物がないので、今のところ狭いとも感じない。


おかげで持ち金はほとんどないが、明日働けば6600もらえるから、

今までよりカネが貯まるのは早いだろう。ギリギリでもはやく引っ越した方が利口という物だ。


「俺たちギルドと第一中継小屋の間しか知らないよな」


「そうだね。少し余裕ができたら、休み取って、周りを見に行きたいね」


「うん。 街中とか、街の外の散策とか、したいな」


ザックスがやってきて、「やっと、ここの住人だね」


「ハイ、大部屋より、こっちの方が全然良さそうです」

アポンが嬉しそうに言った。


「それはよかった。じゃあ、訓練始めようか」


俺達は庭に移動して訓練を始める。


ホールには3兄弟がテーブルを囲んで閑談している。


ノブリムスがやって来て

「熱心だね、新人君たち。良いよ良いよ」


しばらく暇なのか、俺達の訓練を見ていたが「頑張ってくれたまえ」と言って帰っていった。


小一時間素振りと身体強化の練習をして、その後ホールで小休止。


「ザックスさんって何級なんですか?」アポンが話を始めた。


「ハハ、まだC級だよ」


「冒険者のランクってどうなってるんですか?」


「ア! A 〜Fで、例外がS. 最初はFから始めて実績積んで上がっていく。

買取りしてもらう時の種類数とかで実力評価されて、ランクが上がる時は受付で言われるよ」


「僕らはどうなってるんですか?」


「荷物持ちも同じだよ。Fからはじまって実績でランクアップ。

行けるゾーンもランクと同じとこまで。それより先は危険ですよってこと」


「じゃあ、ランクより上のゾーンには行ってはいけなのか」


「行くのは自由だけど、ケガ、死亡の確率が上がるから自己責任でね。

受付で仕事を斡旋してもらう時は、パーティーが強ければ、

守ってもらえる余裕がある時にランクの低い荷物持ちでも組み合わせることはあるよ」


「俺たち、3人一緒に仕事したいから、なかなかマッチングしないみたいだ」


「3人一緒にとなると、かなりの狩りをできるパーティーに成るからランク上げないときびしいね。

第二中継小屋まで行けるようになるか、冒険者登録してFからEに上げれば、荷物持ちとしても上と組ませやすくなるかな」


「要するに、強さが認められることだな!」アゴンはやる気まんまんだ。


いつのまにか 背後に来ていたリザトルが

「体力は、十分だから逃げ足と防御力と……まあ、そのうち行ってもらうこともあると思うよ」


「リザトルの旦那って、ランクは何なん?」


「俺か、一応、Aだぜ」


「スゲ〜」アゴンは、羨望の眼差しを向けた。


「もう、ピークは過ぎた。老とるだけどな。45歳だし」


俺は聞いた「魔法の使い手で、有名な人ってどんな人がいますか?」


「そうだな〜、有名てのはどうか知らんが………ステルスのレンザルスとか………ストーンバレットのタックドラス……とか。

ヒーラーは結構おおいぞ。必要性が高いからな。受付のモルネットもその1人だぞ」


「モルネットさんがヒーラーだったんだ」


今度教えてもらおう。


「俺もヒール使えるんだけど、痛みが引くくらいで、たいしてやくにたたないんだよね」


「その歳でヒールもできるのか、そいつはスゲーぞ。

その次にエクヒールができるようになれば、傷も治るんだ」


「ねえ、君他にも何かできるの?」ザックスが聞いた。


「ライト、ファイヤー、サンダー、探索」

リザトルとザックスが顔を見合わせて呟いた。

「天才だ………」


「婆ちゃんができたのだけしつこく練習してできるようになったんだ」


「そう、婆もできたよね」


「でも攻撃に役立ちそうなのねーんだよな」


「役に立つ魔法を覚えたい」


「婆ちゃんの魔法凄いと思ったけど、役には立たなそうだったよね」


「アポンは何かできるようになったのかよ」


「ボクは、もう少しで出そうな気がするんだけどね、ポッて」


「それを思うと天才かもな、アグルしつこく練習してたもんな」


「うん」


「やってみせろ」「是非、見せて下さい。アグル君」


「うん」


「ライト」


手のひらに光の球が、(直径8cmくらいか、)現れた。


「前よりかなりデカくなったな」


「凄いよ、前、指先くらいだったもの」


「うん」


「ファイヤー」


指先に4cmくらいの炎が現れた。


「前よりかなりデカくなったな」


「凄いよ、前、指先くらいだったもの」


「うん」


「サンダー」


「見えねーぞ」


「サンダー見えないけど出てるんだよ」


「うん」


俺は指先をアゴンの肩に近づけた。


(ばちん)「いてててて!」


「強くなってる」


「前は髪の毛が動いただけなんでしょ」


「うん」


「これです」


「これでは、凄いが、狩に使えるかといえば、今は、まだ使えないけど、

暗いときには便利とかかな」


「将来もっと強くできれば、どうにかなりそうなのもあるな、特にサンダーとか」


「うん」


サンダーに力を入れようと、俺は思った。


「散策するのは、危険ですか?」


「Fゾーンとかなら大丈夫だろう。索敵できるしな」


「Fゾーンて何がいます。狩とかするときの獲物は?」


「弓とか使えるぜ」


「冒険者登録もしておくか。俺が試験官だし、合格させるぜ、ここでシゴいてるんだしな。

テストはしたようなもんだ。俺が保証人になれば、登録だけで試験は、いらんぞ」


「ありがてー、リザトルの旦那」


「明日出発前に登録しとこう」

「お願いします」「うん」


次の朝受付に寄ってから出発。登録はその場でできた。登録者証は、Dから持たされるそうだ。



それから5日が過ぎ、そろそろ散策と狩に行こうと思っていた。


「リザトルの旦那、明日あたり狩に出てみたいんだが、いいかな?」アゴンは最近積極的だ、


「いいぞ、弓と剣と盾持ってけ、Fゾーンならあまり危険なのいないからどんどん狩ってこい」


「明日は、荷物持ちは休ませてもらいます。」アポンが言った。

「おう、頑張ってこいよ〜」

「うん」


次の日の朝受付に行くと、モルネットさんが微笑む。

「特に依頼とかを受けるわけじゃないから、適当に狩ってきたら、買取り所に持ってきてくれれば良いのよ。朝は来なくても良いの。初めてだものね。掲示板見てゾーンの場所覚えて、たくさん取ってきてね〜」

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