29 リザトル

次の朝俺たち3人は、これまでのように集合場所に行った。


「おや、アグル君、アゴン君、アポン君、3人ともこの仕事についてくれて嬉しいよ」とリザトルが微笑んだ。。


「またしばらく、お世話になります。リザトルさん」とアポン。


「よろしく頼むぜ、リザトルの旦那」とアゴン。


「3人一緒にできる仕事って、なかなか見つからなさそうなので、しばらく御厄介になると思います」と俺。


「長い付き合いになる気がしてたよ。困ったこと、知りたいこと、なんでも相談に乗るよ」


「じつは、魔法を見たくてここにきたんです」


「コイツ、木から落ちて頭打ってバカになっちまったんだぜ」


「でも、それからなんでも知りたがって、特に魔法のことしつこく知りたいみたい。賢者になりたいんだよね。アグル」


「アポンだってなりたいでしょ。誰だって勇者や賢者になりたいさ」


「それで、みんなでここにきたわけか。ハハハハハ」


「誰か魔法を使える人を知らないかな?」


「俺は勇者系だが、身体強化を使えるよ。なんなら俺の弟子になるか?」


「俺でも使えるようになるかな?」とアゴン。


「なれるんじゃないの」

リザトルはちょっと得意げに言った。

「それじゃ、今晩見せてやるよ。いつでも弟子入りOKだよ。ハハハハハ」



仕事が終わってから3人は、ギルドのシェハウスにいった。

ここにリザトルは、住んでいる。


「早いね、休んでからでもよかったのに」


「はやく、教えてほしくて、待てなくてよ」

「僕もです」


「君たちが、有望な新人3人組みだね。聞いてるよ」

若い細マッチョのイケメンが、リザトルさんの横にいた。


「よろしくね。ボクは、ザックス、18歳、冒険者、リザトルさんの弟子だ。もしかしたら、君たちの兄弟子ということになるのかな」


「よろしくっす、アゴン11歳っす」

「アポンです11歳です」

「アグル11歳」


アゴンが1番乗り気だな、これは。


「コイツらこの歳で20キロの荷物を担いで第一中継小屋1日2往復したあとで、訓練受けようってんだぜ。並みじゃないだろう。

1日で泣いて帰ると思ってたら10日間やり遂げやがった。

15歳だってできない奴が多いのにな」


「大したことないっすよ」アゴンが柄にもなく謙遜する。


「それにコイツは索敵もできるみたいだぜ、そうなんだろう」


「できる、何がいるかはわかんないけど、数くらいならわかる」


「その歳でできるとは驚きですね。リザトルさんが目をつけるはずだ」


「あまりおだてるなよ、これからの奴らなんだから」


「君たちもここに住めばいいのに、先生の近くにいれば、学ぶことも多いよ」


「え、このシェアハウスにか?そんなことできんのか?」


「それはおいおい教えてやるから、そろそろ身体強化を見せてやるよ」

リザトルは構えた。


「ここからな(胸の中心を押さえて)体の隅々まで魔力を満たすようにして、身体強化!」


リザトルの体が光を放つ。


「3回重ねがけできる。身体強化、身体強化!」さらに2度光った。


「それから先が、これだ、身体超強化、身体超強化、身体超強化」

3回光った。


「俺はここまでしかできんが、この先は身体超超強化があるらしい」


「スゲ〜〜」俺たちは、顔を見合わせた。


「毎日、しつこく練習しな、ジャ、やってみな」


俺たちは、身体強化を唱えた。何度も何度も。

あたりまえだが1日でできるはずもなかった。


「毎日毎日、しつこく練習すれば、そのうちできるぞ。俺もそうだった」


「ハイ、頑張ります」俺たちは声をそろえて言った。


「あと、剣、素振りを毎日すること。一撃で仕留めるつもりでガツンとね」


「ハイ!」


「うんじゃ、また明日」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る