23 ヒッコルトにお願い
はれてゴーモリン行きの許可が出たので、あとはヒッコルトが乗せて行ってくれるかだ。
アゴンとアポンが同行してくれることになったのは、嬉しいし、頼もしいし、楽しく過ごせそうだ。
行商人が村に来るまで、俺たちは、毎日訓練として枝ツノ狩りをした。
重い荷物を持って山を歩いた。アゴンもアポンも荷物を背負った。
いつものように村に走って行くと待ちに待った行商人のテントが見えるではないか。
「頼んでみよう」俺は言った。
今までの付き合いから言って、まず乗せていくことを拒まないだろうという自信はあった。
「みんなで行くか」
「俺がはなすとしても、乗せてもらう全員でたのむほうがいいだろう」
テントに入るとヒッコルトは一組の客の相手をしていた。
俺たちは変わり映えのしない商品を見て回る。
ヒッコルトの手が空いたのを見計らって
「こんにちは、ヒッコルトさん」と声をかけた。
「こんにちは、アグル君、今日は何か御用ですか?ハイ」
「じつは、ヒッコルトさんにお願いがありまして」
「ハイ、ハイ、なんでもお探ししますよ。ハイ」
「いえ、じつは3人をゴーモリンまで乗せて行ってほしいのです」
「何をしに行くのですか?ハイ」
「ゴーモリンに行って、荷物持ちの仕事につこうと思いまして」
「危険な仕事ですよ。ハイ 魔物の森は魔獣が出ますから。ハイ」ヒッコルトの顔がこわばった。
「おすすめはしませんよ。ハイ、おやめになったほうがいいです。ハイ」
「ご心配なく、ヒッコルトさん、ずっと訓練してきて、やっとアギンおじさんや、アググ父さんに許可をもらえたんです。3人で行って来いと言われました」
「それでは、ハイ、私の出る幕はないですね。余計なことを言ってすみません。ハイ」
「いえいえ、とんでもない」
「それでは、ハイ、明後日朝出発しますので、ハイ、3日ぶんの食糧は持参して下さい。ハイ。運賃は一人当たり1000ギンでよろしいですか。ハイ」
「よろしくお願いします。おだいは、その時でよろしいですか?」
「大丈夫です。ハイ」
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