21 行商人 ヒッコルト
それから俺は行商人が来ているとなると出来るだけテントに行った。
行商人が暇な時に話しかけるためだ。
こんな下心で近づいてすまないという後ろめたさは少し感じたが、罪としては軽い方だろうと言い聞かせた。
行商人の名は、ヒッコルトと言う。背たけはアペンおじさんと同じくらい。
痩せ型で、手足は細く、気が弱そうな人で、「ハイ」と言う合いの手を自分で入れながら話すのが癖だ。
計算ができ文字も書けた。商人には必須の能力と言えば言えるので知っているのは当たりまえだったのかもしれない。
ありがたいことに少額の謝礼で文字を教えてもらえた。
ピクチャーメモリーの俺だから、一度書いて見せてもらえば習得できた。
ものの5分もかからずに。これは思わぬ副産物だった。
本はとても高価なもので貴族様のもちものだそうだ。(やっぱりね。)
ヒッコルトには、沢山のことを教えてもらった。
ゴーモリンには冒険者ギルドがあるそうで、そこで魔物の素材を仕入れてくること。
ゴーモリン商業ギルドにソルトビルの品を卸すこと。
ソルトビルでは商業ギルドに魔物の素材を卸しゴーモリンで求められてるものを仕入れること。
ゴーモリンの冒険者ギルドでは、冒険者のように強くなくても荷物持ちの仕事があること。
その仕事は、活動地域により危険度と報酬がさだめられていること。
ギルドの建物内に格安の宿屋とシェアハウスがあること。などなど。
だから、荷物持ちの仕事をして、シェアハウスに住みながら冒険者の戦いを見て学ぶことが可能ということなのだ。
俺は、アググに、(冒険者になりたいこと、そしてそのために、ゴーモリンに行って荷物持ちの仕事をしながら冒険者を見て学びたいこと)を話した。
アググは言った。
「今のままでは死ぬから、もう少し待ちなさい。これから言う三つのことを俺が良いと言うくらいのレベルまでにすることができたら、行っても良いよ」と。
1、 気配を感じ取る範囲の広さ
2、 逃げ足の速さ
3、 剣などの攻撃力
この三つがアググの思っているレベルに達したら、つまりは、生き残れそうになるまで鍛えてから行けと。
それに荷物持ちの仕事をこなせるだけの大きな荷物をかつげるのは言うまでもない絶対条件だ。
俺は訓練のために少し深い地域まで散策域を広げて、気配を感じる練習をやり始めた。
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