16 ハイーナの群れ狩り

俺は興奮気味に朝を迎えた。


いつものようにアググの声。


「行くぞ〜アグル!」

俺は勇んでアググについていく。


「集合場所に行くよ〜」

集合場所には、皆んながもう集まっている。


アゴンの鼻息がいくらか荒い。

「フンス、フンス」


アギンが話し出した。

「今日は俺たち三人で、まず全部の罠のチェックをしてボアがかかってたらそいつをハイーナ用の毒罠にするぞー。アペン道具はそろってるか〜」


「大丈夫だ〜」


「とりあえずハイーナ用の装備は、片手剣と盾(小)な〜」


「子供たちは、とりあえずここで待機な、この辺で遊んでていいぞ〜  

ボアがいなければそのまま帰ってくるから全員で矢狩りということで」


アゴンが勇んで聞いた「ボアいたら俺たちの出番は?」


「あるぞ、呼びにくるからこの辺で遊んでろよ」


「おうよー」


「なに、きばってるの、楽に楽に」


「おめえらは気負わずに待ってればいいよー」


「おまえらの力が必要な時があるパターンもあり得るから

わかるところで遊んでてくれよ」


「まずアググのとこの罠からチェック行くか〜」

大人たちがあるきだした。


「俺たち剣ないけど、やっぱり竹槍使わせるつもりだよなあ?」


「それしかないよね。竹槍でしょ。俺のヒールが役に立つかもね」


「イヤイヤ そんなヘマは、やらないぜ」


「えい!」アポンが竹槍をつく練習を始める。


釣られて残りの二人も練習をはじめた。



アギンたちはボアが罠にかかっているのを見つけた。

2日続けてかかっているのは珍しいことだ。


「ついてるな、何日かかるかと思ったが」


「ハイーナも来てくれればいいんだがな」


「くるだろ、奴ら横取り大好きだからな」


「まず、臭いをつけようか」


「ほい、臭い粉」


「うー、たまらんな」


「今になれるさ」


「俺が縄打つから、毒槍を準備しといて」


「毒液な」


「お、先の穴んとこ入れればいいんだよな」


「そだ」


「縛り付けたぞ、毒打ってくれ」


「よし」


「血も出しといて〜」


「うんじゃ、その辺で待つか〜」親父たちはそつなく作業を進めていく。


毒が回ってボアが沈み、しばらくするとハイーナの気配がした。

「きたな」小声で顔を見合わせる3人。


近づく気配がある距離で止まる。


三人居るのがわかってこちらを警戒しているようだ。


「少し下がるか、まず、1メーダな」


「了解」そろりそろりと下がる3人、ハイーナの気配も動き始める。


「もう少し下がろう」


3人がそろりそろりと後退する。


暫くするとハイーナが姿を現した。



ボアの周りを囲いながらこちらを警戒している。


3人が少しずつ下がり続けるとついにボスが現れ、しばらくするとボアを食い出した。


「よし離れて毒の効くのを待つか!」

3人はゆっくりと距離をとり時間が経つのを待つ。


だいぶ経った頃、「そろそろいくか」アギンが言った。


頷く二人。


ゆっくりワナのところに近づくと遠目に倒れているハイーナを確認した。


「どうだ」


「でかいの2匹はまだ生きてるな、残りの4匹は息してない」


「近づいても起き上がれないだろうよ、あのようすなら」


「回復する前にとどめ刺そうぜ」


「油断するなよ!」


「おう」


三人はそろりそろりと回り込みながら、息のある2匹の近くへ行く。ボスは首を上げようとしているようだが立てなさそうだ。


毒の竹槍をズブリ、もう一匹にもズブリ、程なく2匹も果てたようだ。


剣でダメ押しの一撃を急所にグサ、グサと全ての個体に入れていく。


「よし、終了だな」


「河原で解体するか、牙と皮は売れるだろう」


1体づつ片手でつかみ片手に剣を持って河原へと向かった。


「アペン、解体してて。俺とアググは、子供ら連れて残りの運搬しよう」




竹槍の練習も疲れたので座って待っている俺たちは向こうから歩いてくるアギンとアググの二人に気づく。


「おーい手伝え」その声に応えて走ってむかった。


「臭いな」


「そこは我慢!おれも我慢してるんだから」アギンとアゴン。


罠の方に案内されていくとハイーナの死骸が3匹。


「のこりの3匹は、逃げられたの?」


「イヤ、河原で解体中、これ運ぶよ」


「ボスはアググとアゴン、俺がこれもつから、これはアグルとアポンが持って、運ぶよー」


「え、俺たちの出番って、運搬だけなの!」


ポカンとする俺たちに「河原行ったら解体教えてやるからな〜」て、どういうこと〜

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