12 最終奥義か?メアリ婆の秘密の最後の魔法

ヒールは発動した。


ではファイヤーとライトは、できるようになってないだろうか?


当然その期待を持ってしまうのは仕方ないことだろう。


「ファイヤー」出ない。


「ライト」光らない。


残念だが、一度にできるようになるなんていうのも虫のいいことだと納得はしていた。


確認せずにはいられなかっただけだ。


一つできたことがたまらなく嬉しくて、黙っていることができない。


アゴンとアポンを見つけると2人を呼び寄せる。


「聞いて、聞いて!俺、ヒールができるようになったんだよ」


「嘘だ〜」二人の声がハモる。


アブルの一件を話すと、「気のせいじゃね」「アブルの言うことじゃな〜」二人は信じない。


「本当だって。」


「じゃあ〜」『ガツン』アゴンがアポンの頭を殴った。


「イッテー」アポンは頭を抱えてしゃがみこんだ。


「やってみて、ヒール」アゴンはアポンの頭を指差して言った。


「ア!痛いの痛いの飛んでゆけ ヒール」


「痛い」


「ヒール、ヒール、ヒール」連続がけ


「あ、消えた。」


「いたくなくなった」とアポン。


アゴンはまだ信じられないと言う顔で、「嘘だ〜」と言った。


今度はアポンがアゴンのポッペタを『バッシン!』とひっぱたく。


「いててて」


アポンがアゴンを指差して「フン」と言う。


俺は「ヒール、ヒール、ヒール」連続がけ。


「ア、治った。」


「え〜〜!マジか〜」


「もう一回やるか?」


「イヤ、もういい。」


メアリ婆がいつの間にかそばにて「おまえたち、どうしたのじゃ?」


「わあああ!」


三人はい意表をつかれて「驚かさないでよ〜」と声がハモる。


俺は婆にヒールができるようになったと話た。


アブルで初めてできて、今アゴンとアポンにヒールをかけて試したところだと説明した。


「そうかい、それはよかったね〜 それにしてもこんなに早くできるようになるなんて、しつこく、しつこく、練習したんだね。えらかったよ。」


「いいな〜ボクも魔法使いたいな〜」


「何度もしつこく練習するしかないんだよ、これは。アポンもアグルくらいしつこく練習すればできるようになるよ」


「アグルくらいしつこくか〜」とアポン。


「アグルはしつこいからな〜」とアゴン。


「俺は賢者じゃないからな〜、勇者はどうすれば本当の勇者になれるんだい、婆?」


「ダメだと思ってもあきらめず、限界まで頑張って、その先まで頑張って限界突破するほど頑張ると、その時の上の力がつくらしいゾエ!知らんけど。」


「それを何度も何度も何度も繰り返しているとそのうち勇者の紋章があらわれるんだと。知らんけど」


「アゴンは諦め悪いからきっとなれるよ!勇者」とアポン。


「アゴンは諦め悪いからな」と俺。


「そうじゃ、アグル、ヒールができるようになった祝いに、秘密にしとった最後の魔法を教えてやろう。

これはわしが最後に覚えた魔法でのう、なかなか見せることが難しいんじゃが、できるかのう?わかるかのう?見たいかのう?」


「見たい見たい。お願い見せて」


「フン、これができることは今まで黙っとたんじゃが、雷魔法というやつじゃ」


「凄い、攻撃魔法?」


「良いか、指先を見とれ、見逃すんじゃないぞい」


「怒れ雷神、おちよイカズチ、サンダー」俺の目には何も見えなかった。


「どうじゃ、見えたか。出たじゃろ」


「ごめんなさい、見えなかった。アポン、見えたかい?」


「何も見えなかったよ」アゴンも「俺も見えなかった」   


「フーーー誰も見えんか〜、魔力の減るのを感じるから確かに出てるぞい。ホントに出てるぞい。ホントだぞい」


俺たち三人は顔を見合わせた。


「じゃ、行こうかの」メアリ婆は行こうとする。


「チョット待って、もう一回見せて、婆」俺は言った。


「もう一回だけだぞよ〜」チョットイヤそうだがやってくれるそうだ。


「ここに、アポンの頭のそばのこのあたりでやって」


「え〜、俺見えないじゃん」


「まあ、いいからいいから」


「変なことさせる子じゃのう〜行くぞえ〜」 

 

「怒れ雷神、おちよイカズチ、サンダー」アポンの髪の毛がフワッと浮いた。


見えないけれど電気は出ていたのだ、婆の言う通り。


「出てる」「出てるんだ」俺とアゴンはつぶやいた。


「だから見逃すなと言ったじゃろう。わかっったかえ、わしゃ行くぞ」


婆は嬉しそうに帰っていった。


アポンは「え、見えたの?二人とも?」


「見えないけど、出てた」


「何だよそれ〜」

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