9 MP増える

夜、俺は一人なので魔法の練習、「ファイヤー」「ファイヤー」「ライト」


「ライト」解析ステータス………あ、  MP 6/5+1


MPが増えてる。

HPに続いてMPもついに増えた。


感動の一瞬である。


おかしなことに6/6でなく6/5+1………5+1…………5+1ってどういうこと………


解析の答えは、賢者の石に1魔力が貯まったと………

主にボアの石から吸収したと…………

胸に吊るしたボアの石から…………

空気中にはほとんど薄くしか魔力がなくて、

ほとんど胸の辺りからつまりボアの石から吸収したと。


ボアの石は、わずかだけど魔力もってたんじゃん。


体につけてた方が吸収し易いんじゃん。ていうか、周りからすこしずつ取り込んでるんだ………魔力。


魔力回復薬飲んだら貯まるのかな?魔力草食べたらどうなるんだろう。

魔力草を身に付けてたら貯まるのかな?

魔力草きっと魔力持ってるよね………多分。


チャンスがあったら試そう。


知識や魔力を貯めると賢者の石は成長するんだったな。


明日魔力草見つけたいな。


よし、「ファイヤー」「ファイヤー」「ライト」「ライト」


俺はいつのまにか眠落ちしていた。



例によって次の朝、リンゴンを食べていると「アグル〜行くよー」アググの声。


「にいちゃん!遊んで〜」アブルの突進が後ろからきた。

俺はそれを躱わす。


「ウホ!アブル、にいちゃん、父ちゃんに呼ばれてるから、ゴメンヨ〜」

アブルをおいて出発。


罠の周りを見ながらアググは下顎に拳を当てる。


「足跡はあるから来てはいるな〜、フーン、罠がバレてるかな、しかけ直すか。」


ボアに罠が見破られていると結論づけて、この罠をはずしだす。

俺は足跡をチェックして、これがボアの足跡か………覚える事にする。


罠をはずし終わったアググが少し移動して、考え込んだ。

「この辺は通り道だな、ここに仕掛けるか」


罠の仕掛け方を俺はじっくり観察して覚える。

これも勉強だ。ふたりは、罠を仕掛け終わって次の罠へ。


結局今日もボウズだ。

俺は帰る途中で這っていた小さなスネイプを一匹ゲットした。


俺たちは、いつものようにアポンの家へ向かった。

アゴンもアポンももう待っていた。


「へへ、ジャーン」

二人は昨日買ってきた新しいナイフをもらったようで、俺に見せびらかした。


「早く交換してもらえよ」アゴンが、倉庫にいる二人を指差した。


俺は倉庫の方に小走りで向かった。


「新しいナイフ、良いな」


「お、ほらコレ。大事にしな」


「今日はリンゴンももう取り尽くしたし、ナッシンはまだ早いからみんなで弓と行くか!」


林と草原の方に移動。


道すがら魔力草がないかと気にしていたが、珍しい草だけに見つからなかった。

林に入ると、静かに獲物を探す。

アペンおじが右手を上げて合図をした。

狙うから動くなということ。矢を放つとアポンが取りに行った。

コッコに命中していた。

皆んながそろりそろりと獲物を探しながら進む。


アギンが手をあげ矢を放つ、コッコに命中するのが見えた。

またアポンがとってくる。


こんな調子でたまにはずしながら、コッコ4ケンケン2みみなが1を仕留めた。


今日のぶんは十分取れたので、子供たちにも矢を打たせてくれることになったが、アゴン用につくった弓でも俺は引く力がやや不足なのか、腕が震えてしまう。


俺もアポンも矢を当てられなかった。

アゴンは散々はずしたが結局コッコに当てることに成功した。


アゴンは自慢げに仕留めたコッコを見せて、俺たちに言った。

「どうよ」


「たまたまだね」「たまたまだよ」と俺たち。


「へ、まぐれじゃ、当たらないんだヨ、じ、つ、りょ、く、」とアゴンが自慢した。


「良い矢だね」「うん、良い矢だね」俺たちは矢のせいにした。

アゴンの弓の腕が良いなんて意地でも認めない2人だ。


そんな毎日をおくっていると、俺のMPが3日後に7/5+2 、7日後に8/5+3 となった。

その間ボアを一匹狩って得たボアの石も小袋にいれておいた。




婆に回復魔法のヒールも見せてもらった。

痛みが和らぐ程度のものだが、これも練習している。


「痛いの痛いの飛んでいけ、ヒール」

発動したことはまだない。


ぶって痛い時は、狩の合間にもずっとこれを唱えている。

練習を積めばそのうちできるようになる………はずだ。


弓の練習もすることにした。

かたい弓を引くことは力をつけることにもつながる筈だ。


9日後、魔力草を見つけた。その葉を食べてみる。


「まっじ〜」毒ではないな。


解析、ステータス、魔力が………MP 18/5+13


魔力草を食べると魔力が回復する。

ステータスは、身体の中の魔石に魔力が貯まった事を示している。


「やっぱり!よっしゃ〜」MP増やし放題かも?


魔力草でMPが10増えた。それもすぐに。

問題は、魔力草なかなか見つからないことか。


毎日探そう、探索範囲を広げよう、そうだ、それが良い。


それから数日が経ち、俺のMPは、19になり、そして20になった。20/5+15順調だ。


そして魔力草………苦労したがまた見つけた。


これを食べれば10アップするはず。


「ブ、不味い。」

よし、解析ステータス………MP 25/5+20


予想に反してMPは5しか増えなかった。

この魔力草にはあまり魔力が貯まってなかったのかな?

この時一抹の不安を感じたが、それはその後現実のものとなった。


10日経ってもMPが25のままだったのだ。


ボアの石にもう魔力がないのか、でも新しく取れたので石も追加してきたし………まさか!


「解析ステータス、賢者の石」


レベル1の賢者の石の魔力貯蔵量が20で満タンになっていた。

レベル1の賢者の石はMPを20しか貯められなかったのだ。

俺の賢者への道が遠く遠く離れていった。


「は〜」とため息が出る。


「レベル2になればもっと貯められるさ、は〜」


賢者の石を成長させるには確か………知識を貯める……本か、本読むか?

転生してから今まで本なんて見たことないぞ。

だいたいこういう世界の本は貴重品で庶民には縁がない物だ。

まだ魔法も使えないし地道に行くしかないな………

テンションのさがるアグルだった。

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