3 ボウズが3人そろっていた。

翌朝、俺はうとうとしながら考えていた。


この世界はどんなところなんだろう、俺はどうすればいいんだろう。


レベルあげるには〜、知識を貯めるんだったら〜、


魔法ってこの世界にあるんだよね?



「アグル!行くぞ〜、今日は罠一つ仕掛けてから、他のをチェックだ。」

突然アググから声がかかった。


起き上がって隣の部屋に行く。


「ほら、リンゴン持ってきな」メルリからリンゴンを受け取ると、俺はアググの後についていった。


アググはこれから新しい場所に罠を仕掛けに行くと言う。


血の匂いがするところに罠を仕掛けても草食獣は警戒してかからないらしい。

それに他の肉食獣、特に群れで狩りをする獣が血に匂いに惹かれて、罠にかかってたら危険なで罠の場所を変えるのだ。



2人は罠の場所を変え終えて、残りの罠のチェックに向かう。

残念ながら今日は全滅だった。


「戻るぞー、いつものようにアペンとこに行ってみるかー」


アペンおじさんの家に行くと、おじさんとアポンが待っていた。


「ボウズか?」

ボウズとは何も獲物が取れなかったと言うことらしい。


「ボウズだ」父と叔父さんはニヒルな笑いで見つめ合った。


「アギンに期待するか……」


少しすると山の方からアギンおじさんとアゴンが歩いてくるのが見えた。


「こりゃボウズだな!」「だな」


「弓取ってくるわ」と言うとアペンおじさんは、納屋の方に歩き出した。


アギンおじさんは帰ってくるなり「ボウズか?」とアググに聞いた。

アググは頷く。


「うん、俺もだ」とアギン。


「今アペンが弓取ってくるから、今日も山歩きということで」


「だな」



弓と矢を持ってきたアペンさんが二人に配る。


「アゴンはどうする?」


「山を歩くか、木の実取りか?」


「狩りを覚えたいから荷物持ちしたい。」


「そうか、じゃあついて来い」とアギン。


「アググとアポンは木の実とか山菜とか適当に取って来い。

気をつけてな、山奥には行くなよ。浅いとこで取るんだぞ」

アググがアグルに向かって言った。


「いつも通りな」


「アポン、アグルは今ボケだから、お前が気張れよ。」


「ハーイ」


「今日の食いぶち!いてくれよ〜」


4人が出かけると、俺とアポンは向き合う。


「アポン、どこ行けばいいかな、俺わかんないんだ。」


「大丈夫、僕についてきて」


「とりあえずリンゴンの実あるとこ知ってるし、袋持って棒もって……

ハイ、じゃあ行くよ〜」俺はアポンについて山林の方に歩きだした。


「あれ、あの木、あとあっちにも」アポンが指差して、


「アグル、落ちたから木に登るのいやでしょ、僕が今日は木に登るから」


アポンはリンゴンの木に登りその実を取ろうとする。


「落とすから袋で受けてくれる。ハイ行くよ〜」


俺は袋を広げて構えるとアポンが俺の間違いを正した。


「違う違う、浅い方の袋で受けて、そしたら深い方に入れ換えて〜、入ってる袋で受けるとリンゴンの実に傷つけちゃうでしょ〜」


俺はなるほどと思いながら袋を持ち替えた。


「いいよ〜」


「ほれ」


「よし」


リンゴンの実を袋から取り出し別の大きな袋に入れ換えて、次のリンゴンを受け取る態勢になる。


「次」


「ほいっと」


「次」


「ほい」


次々とりんごんの実を収穫し、次の木に移る。

そして深い方の袋が一杯になった。

アポンが「今日はこれくらいでいいよね」と言ったので、俺は提案をした。


「なんか他のも探さない。薬草とか食べられるキノコとか」


「いいよ」


「ねえ、この草食べられる?」


「うーん、知らないな〜食べたことないよ」


「そうか」


俺はちょっとかじってみた。

「ペッ、ペッ、不味いなこれ!」毒はなさそうだ。


解析できてるのかな?俺は次の草も少しかじってみる、


「まずい」美味い草はあまりないもんだな。


次々に試す、それをみたアポンが笑っている。


「よくやるねアグル」


試しているうちに、舌先に痺れを感じる草があった。


「うえ、ペッペッ、カー、ペッ」これは………毒ありという解析が。


「これ、毒があるよ。やばいやつかも、覚えとこ。アポン」


「大丈夫かいアグル、毒食べて死んじゃわないでよ」


「大丈夫だと思うよ、すぐ吐き出してるし。少しだから」


「あはは、アグルホントにバカになっちゃったみたい、前はそんなことしなかったのに」


「何も覚えてないから、なんでも経験して覚えようと思って、だから利口になったんだよ」


「面白いの」アポンは腹を抱えて笑う。


「あ、キノコだ」アポンがキノコを見つけた。


「これ食べられるやつかな?」


「とりあえず、取っていこう」


「そうだね、ばあちゃんに聞けばきっとわかるよ。ばあちゃん賢者で年寄りだから色々知ってるよ」


「ばあちゃん賢者なの!」


「僕も賢者だよ」


「え、アポンも賢者なの?」


「そうだよ、アグルだって賢者でしょ、でもみんなナンチャッテ賢者だけどね。ホントのすごい賢者って、ここに石のようなものが出てくるんだって。ばあちゃんは出なかったし、なかなか出てる人はいないみたい。」

アポンは胸を指差して言った。


なんだって、みんなナンチャッテ賢者………


「ウッフフ、アグルは出るかもしれないね賢者の石、ナンチャッテ!」


「ねえ、アポン、どうして自分が賢者だと知ってるの?」


「それはね、この前、川のそばの村に鑑定てのができるって言う、そこそこすごい石なし賢者が来たことがあって、みんなでみてもらいに行ったから。」アポンが笑いながら答える。


「アグル忘れちゃたみたいだけど、子供たちは、今までみてもらったことがなかったから、10歳くらいになればわかるようになるて言うので3人ともみてもらったんだ。」


「アゴンは勇者だって。だいたい3人に一人の割で、勇者、賢者、何も無し、なんだって。でも賢者の石が出てきたり、勇者の証が現れたりするのはこの国にも数えるほどしかいないんだって。だから、賢者は頭が、勇者は身体が発達しやすいくらい?無い人はバランスが良いくらいに思っておいた方がいいみたい。」

長々と説明してくれるアポン。


「でも、きっとアグルは賢者の石が現れる気がする。バカの賢者なんて珍しいもの」


茶化しているのか慰めているのか………悪気はないようだけど………なんか落ち込むなあ。



アゴンの家に着くと、メアリばあちゃんに取ってきた草とキノコを見てもらった。


「フーン、雑草ばかりで知らないのばかりだね……あ、これは毒のやつだ、これは毒アザ、これは鬼コロだよ。食べちゃダメなやつだから覚えときな」


「キノコは、マエキンだね、これ美味しいやつだから見つけたら取っておいで。似たのに毒のある物があるから、取ってきたのはわしに見せるんだよ、いいね」


「さすがばあちゃん、なんでも知ってるんだね」


「おだててもダメだよ。そうだ、今度一緒に美味しいもの摘みに行こうかねえ、どうだい?」


「行く行く!」俺は大喜びで返事をした。


これは知識を得るチャンスだと思ったからだ。


アポンは美味しいものがたべられるとおもって喜んでいるようだが、

そこにアゴンと大人達が帰ってきて、今日のメシは、鳥だと言った。


今日の収穫を分けるとそれぞれの家に帰ることになり、アググは、「さあ、かえって飯だ」と言った。今日は、昨日ほど腹一杯には、食えなさそうだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る