(1章立志) 1 転生
目を開けるとそこには見知らぬの天井があった。
起き上がろうとすると体じゅうが少し痛い
少し寝ていたほうがよさそうだ。
俺はどうやら怪我でもしているのかもしれない。
首をひねって見える範囲を眺めてみるとやはり知らない部屋だ。
しかも汚い、イヤ、ボロい。
此処は何処だ?俺は……思い出せない。でも……。
ふと自分の手が視界に入った。……あれ、手が小さい?
え、体が……自分の身体が子供のものになっている。俺は大人だった……はず。これはどういうことだろう?
俺はどうなっているんだろう?と思った瞬間目の前にステータス画面が現れた。
名前 アグル 人族 10歳 レベル2
適性 賢者
賢者の石レベル1
称号 異世界転生者
H P 10/10
MP 5/5
こ、これは、異世界転生者と言う表示がある。お、俺は転生したのか?
どう考えてもおかしな事が起きている。今までの世界も良くは思い出せないがうっすらとは覚えていた。自信がなく話すのが苦手で学生時代は時々引きこもってた俺……。社会人になっても影が薄くあまり話に混じろうとはしなかったな……。
人族、10歳……俺は10歳の子供になってるのか?
まるでゲームの画面のようなステータス表示を見ながら状況が理解できずに考えを巡らせる。
賢者って言ったらアレじゃないか。勇者と双璧を成す、アレだ。もしかして、俺すげ〜?
レベル2…10歳でレベル2。
HPとMPは、10と5、決して強くはないんだろう。たぶん。
今はまだ10歳で弱っちだけど賢者て事は将来すごい事になるに違いない。
俺の胸は希望に満ち溢れた。
ステータス画面を読み続ける俺。
賢者の石って何だ?
そう思った瞬間に解説画面が表れた。
賢者の石 : 賢者の体内で育つ石、知識や魔力(MP)を貯めてレベルアップし、さまざまなスキルを発現する。賢者の石レベル1のスキルは、解析。
フーン、知識やMPを貯めるとレベルアップするのか〜、解析てなんだ?
解析 : 賢者の石に蓄積された知識をもとに結論を導く能力、知識が多いほど確実。
考えただけで反応して画面が切り替わっている。そういうシステムらしい。
レベル2のスキルって何なのかな?
今度は画面が現れない。…………答えは得られなかった。
スキルツリーみたいなものの知識を得ないとわからないか………
蓄積された知識をもとに結論を導く……だもんな。
それは知識がないと答えを出せないということだ。
魔力があるから魔法が使えるはず、賢者だものなあ……。
自分はどんな魔法が使えるんだろう?
魔法 : 現在覚えている魔法は無し。
今のところ使える魔法は無いのか、でも現在は無い…という事はこれから覚えれば良いのでは?まだ10歳だしな。せっかく異世界に転生できたのだしこっちの世界では頑張ってみたい………と思ったのに、すごくガッカリだ。魔法の使えない賢者とは、落ち込むなあ〜。
まあいいさ。きっとこれから覚えられるに違いない。
気を取り直していると声がして人が入ってきた。
「おーい、アグルが目を覚ましてるぞー」
そう言いながらガッチリとした男の子が入ってきた。
「ホント!よかったねー」
と言いながら、続いてもう1人、小さめの男の子が入ってくる。
小さめの子が顔を覗き込みながら俺に聞いた。
「アグル、痛くない?」
ガッチリした方は、その後ろから俺を見下ろしている。
こいつら何者なんだ?と考えていると、ガッチリした男の子の方が聞いてきた。
「オイ、わかるか?俺たちのことわかるか?木から落ちたのを覚えているか?」
「ねえ、アグル、ボクだよアポンだよ、わかるよねえ?」
2人は返事の無い俺の反応に焦りだしながら続け様に捲し立てた。
「アグル、ボクだよ、アポンだよ、君は僕と一緒にリンゴンの実を取りにいって、木の上で実に手を伸ばしてる時に、アゴンが狩ろうとして逃げてきたボアが木に突っ込んだ衝撃で落ちたんだ。僕が逃げずに追い払っていればよかったんだけど、怖くて咄嗟に逃げちゃったんだ。ごめんよ、アグル、わかる?」
俺はだまって聞いていた。俺は話すのが苦手だ。
俺はアグルで、小さい子がアポン、どうやらガッチリの子がアゴンらしい。
「オイ、アグル、覚えてねえのかよ?俺がわかんねえのか?アゴンだぞ、わかるよな」
俺はゆっくりとクビを振り、「君がアゴン」と呟いた。
「大変だ、コイツ記憶がねえぞ」
アゴンは、アポンの方を向いてそういった。
アポンは、泣きそうな顔になりながら俺を見つめる。
「ごめんよアグル、ごめんよ、僕が逃げなければ」
「バカ、あんなの誰でも逃げるって!俺がボアを逃したからいけないんだ」
2人はどうやら責任を感じているようだ。
こいつら良いやつだな。しかし、俺は転生してきて元々アグルとしての記憶はない。こいつらのせいじゃないんだ。
「大丈夫、大丈夫、気にしないで」俺は小声で言った。
「少し、思い出してきたよ。いまに思い出すから、大丈夫、大丈夫」
「オヤ、気がついたんだね」
と言いながら大人の女性が入ってきた。
俺は、この人はアグルの母親か?と考えていると、俺の顔を見たアゴンが教えてくれる。
「あれは、俺のかあちゃんだぜ、そんでここは俺の家だ。わかってないみたいだな、やっぱり記憶がないのか?」
「アグル、いまお父ちゃんが知らせにいってるから、迎えが来るまで待っててね」
そう言いながら、女は俺の頭や体を触り確かめて心配そうにしている。
「痛くないかい?」
おれは、小さく頷いた。
俺はこっちの言葉がわかるんだな……と気がついた。
俺は今置かれている状況を整理しようとかんがえていると、その様子が、ボーとしているように見えるのか、2人は心配そうに俺にそばにひっついている。
少しして、俺の父らしい人が、迎えにきた。
父は礼をいって、俺の側にくる。
「大丈夫か、しっかりしろよ」
父アググはそう言い俺を背負ってアゴンの家を出た。
「迷惑をかけたね。ありがとう」
アググは、何度も何度も礼を言った。
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