031 戦闘開始

 それから半日後、俺は結界を解除することに成功した。

 これでひとまず問題ないが、ふたたび魔力半減の魔術を展開されるだろう。


 だがこれほど驚異的な魔法だと、術者がいくつも必要なはず。


 再度仕掛けて来る場合も四方に分かれて来る事は間違いない。

 つまり北、南、東、西に仲間を配置し、敵を向かい撃つ。


「最高傑作だ。間に合ってよかった。――本当にやるのか?」

「ああ、アリエルを生き返らせる為にな」


 ファイルが、凄まじいほど魔力が漲っている魔剣を俺に手渡してくれた。

 ただひたすらに没頭して、急いで仕上げてくれたらしい。


 俺は誓いを破る。だがそれは当初から決めていた通り、悪人のみだ。


 だがその隣にいたリリが、怯えながらも俺が一番考えていたことを言い放つ。


「でも……本当に悪人なの? みんな、誰かの命令で動いてたんじゃないの?」


 その言葉に、心が痛んだ。

 しかし俺は、鋭く言い放つ。


「そうだとしても、アリエルが死んだ理由にはならない」


 それからは指揮を取って、各場所に誰がどこへ行くのかを決めた。


 リーエル国の野営地を探して突撃してもいいが、地の利があるほうが戦いやすいからだ。


「ビブリア、ペール、シュリ、ライフ、ベルディ、お前たちが要だ。指示は出すが、各自の判断に頼ることになる。無力化するのは大変だと思うが、頼んだぞ」

「「「「「はっ、デルス様の仰せの通りに」」」」」


 シュリの鳥の使役とハーピーに頼んで空の監視をしてもらっていた。動くがあればすぐに戦えるように。


 だがリーエル国もバカじゃなく、目隠しの結界を張っている。

 とはいえ出陣すればすぐにわかるだろう。


 一日が経過し、二日目が過ぎ、俺の予想である三日目の朝がやって来た。


 敵の戦力を考えると、この日が妥当だ。


『全員、気を張り続けて疲れていると思うが、今日が一番可能性が高い。引き続き警戒を緩めるな』


 俺はシュリを通じて全員に脳内アナウンスを飛ばして、ゴンの背に乗り空を駆けあがる。


「――ゴン、頼みがある」

「え、どうしたんですか?」

「戦闘が始まったら、敵の上空まで飛んで、俺を降ろしてくれ」

「ええー!? き、危険ですよ!?」

「大丈夫だ。攻撃が飛んでくるだろうが、俺が守る。昨日のリリの言葉、少し耳が痛くてな」

「どういうことですか?」

「全てが終わったら話すよ」


 静寂な時間が流れていたが、それは突然に終わりを告げる。

 目隠しの魔法が途切れたと同時に、シュリが俺たちに声を届けてくれた。


 真正面から大勢の兵士、四方には魔術師と思える魔力を感じたのことだ。


 深呼吸してから、全員に言葉を伝達してもらう。


『作戦通りに。――頼んだぞ』


 こうしてアリエルの命を賭けた戦いが、幕を切って落とされた。


 ──────────────────


 某作品と似ている部分もあると思いますが、違う展開で終わる予定で既に書き終わっています。

 ただそう思われてしまったのは、完全に私の力不足です。ここまで読んでいただけに大変申し訳ありません。

 あまりネタバレはしたくなかったのですが、コメントが多く悲しみました。

 もちろん異世界ファンタジーが好きなので影響を受けていないといえばウソになるかもしれませんが、楽しく見てもらえると嬉しいです。


 では、最後まで宜しくお願いします(^^)/


 異世界ファンタジーの新作、三話目を投稿しました!


 タイトル

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