017 初陣

蜥蜴族リザードマンの数は五千ほどです」


 鳥を使役しているシュリが、視覚伝達で視た情報を共有してくれた。

 俺たちはアリエルの転移魔法で、吸血鬼族ヴァンピールの里へ飛んできた。


 吸血鬼族ヴァンピールは竪穴式石室のようなところに住んでいる。

 生活水準は随分と低いみたいだが、暗がりが快適なのだろう。


 吸血鬼族ヴァンピールの人数は全員で数百人ほどしかいないとのことだ。

 まあ、その分、一人一人が強いのだが。


 アリエルは随分と魔力を使ったらしく、少し疲れていた。


「無理するなよ。アリエル」

「はっ……」


 ヴェニスとアイリス里でも一目置かれているらしく、他の吸血鬼からの対応でわかった。

 まあ、魔王城に乗り込もうとするぐらい血気盛んだが。


 さて――。


 原作で蜥蜴族リザードマンは一万くらいいたはずだ。

 それが半分になっているということは――。


「おそらく同胞食いともぐらいだな」


 俺の言葉に、全員が驚く。

 魔物は食べると強くなると言われている。だがそれは言葉を持たない動物的な魔物だけだ。

 理性のある、言語を操る魔物はそんなことはしない。むしろ、忌み嫌われる行為だ。


 蜥蜴族リザードマンは後者。


 原作のベクトル・ファンタジーでも、理性のある奴らで傲慢プライドも高かったはず。

 そんなことするとは考えづらいが。


「魔王様、さらに蜥蜴族リザードマンが、いくつかに分かれて行動しました」

「クソ、分家の里も同時に狙ってるのか!」


 ヴェニスが怒り叫ぶ。


 理性を失ってるとは思えないほど軍事的だな。


 ――あれこれ考えるより、相手から聞き出す方が早いか。


「ライフ、前に森の地図を作っただろう。広げてくれ」

「は、はい!」


 たゆんから地図を取り出し、地面に置くライフ。


 何でそこに入れてるんだ?


 いや、今はいいが。


「ヴェニス、分家の里の場所を教えてくれ」

「細かくありますが……」

「大丈夫だ。全て覚える」


 そしてヴェニスが、一つ一つ指を差して教えてくれた。


 確かに多いが、その分、相手も人数を割く必要がある。


 少しだけ考え、そして――。


「わかった。東はシュリ、西はペール、北はヴェニスとアイリス、この里はライフが守ってくれ。ハーピーに連絡して空から都度連絡する」

「「「「はっ」」」」


「魔王様は?」

「俺はレイヤ姫を探す。俺の考えだと、無事に生きている可能性が高い。アリエル、最後の転移だ。二回目だがいけるか?」

「もちろんでございます」


 するとアリエルがいくつも転移魔法を出した。俺たちの魔力に応じてかなり疲れているだろうが、さすがだ。


 そしてその瞬間、シュリが急がないと言った。


 窓をくぐる前、俺はみんなに声をかける


「――異種間での抗争制限を一時的に解除する。話し合いに応じなければ実力行為に出ても構わない。――その時は、徹底的にやれ」


 その瞬間、みんなは驚くべき程の魔力と殺意を漲らせて――笑った。


 はっ、やっぱり好きだなお前らは。


 


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