僕を取り囲む扉
白瀬隆
第1話 プロローグ
いつまで続けるかも決めていないが、僕の行動について、少し見方を変えてみようと思う。例えば今、ガンズ・アンド・ローゼズという古いバンドの曲を聴き始めた。無音だった世界から、ガンズが流れる世界への扉を開けてみたという捉え方にしてみる。扉を開く前と比べるとずいぶん騒がしい。そんなささやかな世界の変化に気付いてみようと思ったので、この本人にも目的が見えない作業を始めた。
僕は哲学の素養がないので、本当に目的なんて見えていない。しかしガンズが流れる部屋に入ったことを細かに捉えようとしてみると、先ほどの部屋がどれほど静かだったかということに気付く。目的はなかったが、この作業を続けていくと、自分の世界がどれほど狭いかをあっという間に壁にたどり着くことで知ることができるんじゃないだろうかと思っている。
そこでやっと目的に気づいた。
自分が特別どころか、陳腐な人間であることを知ろう。
エッセイを書いてみようと扉を開いたところ、案外書きたい言葉の中に僕をマシな人間にしてくれる欠片が転がっていた。
最終的に、等身大の僕を僕にすることが最大の目的なのかもしれない。
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