(8)

「次に狙われるのは主演の伯爵令嬢って人じゃない? 公爵の次の次に偉いしね」


「さあて、むしろあの女は一番安全じゃあないかなァ。それよりお前さん、いつの間にかずいぶん口調が砕けたな」


「そういえば……驚き過ぎて丁寧語がどっかいっちゃったみたい……です」


「いいよ。何せお前さん、いや、お嬢さんは貴族の中でも一番えらーい公爵家のご令嬢様で、おれの雇い主だ。どうぞよろしく、お嬢さん」


「やったね、よろしく狩人さん」


よかったーいい人そう。ゲームにたとえるなら、『手下である狩人が仲間になった』って感じかな? てんててーん! なんてね。


わたしが握手を求めて右手を差し出すと、狩人は少し驚いたようだけど、小さく笑って手を握り返してくる。


「まったく陽気なお嬢さんだ。じゃあ行くとするかい」


「どこへ?」


「もちろん、お前さんのライバルにあたる伯爵令嬢のところさ」

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