(6)
「そこに書いてあるように、お前の【役目】は【悪役令嬢】だ」
「アクヤクレイジョウ? よくわからないけど、なんかヤだなあ」
「そして余の婚約者だ。今日の夜に婚約発表がおこなわれる」
「絶対ヤだー! イケメンだろうが突然結婚は無理ッ! おまわりさーん!」
あまりのことに自分でもびっくりするくらい大きな声が出たが、イケメンくんはまったく動じずに淡々と話を続ける。
「安心しろ、その本を読めばわかるが、お前は王子である余の婚約者だ。しかし、妻の座をほかの女と奪い合い、最終的に負けて城を追放される運命にあるので結婚はしない。ではな」
「は~!? 何も大丈夫じゃない……あ、待って」
「言い忘れていた。お前は『夢だ』と言っていたが、これは現実だぞ」
思いがけない言葉に、わたしは言葉を失う。そのあいだにイケメンくん、もとい王子は無情にも一度も振り返らずにさっさと退出してしまった。
「一体どういうこと? 婚約って、結婚の約束をすることだよね。会ったばかりの男と婚約するのも、そのために他人とケンカをするのも嫌。追放ってのもよくわかんなくて困るよ。しかも夢じゃないって!?」
そういえば、悪役令嬢という言葉に覚えがある。クラスの読書好きな子がそんな話をしていたっけ。
こんなことなら本を借りとくべきだった!
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