(2)

なんと鏡に映ったのは、まったく知らない大人の女性!


わたしの髪は黒髪のショートカット、くせ毛でくるんとしているはずなのに、今や真っ白で長い髪をしているの。


あっという間に眠気が覚めて、まじまじと鏡を見つめる。


わ~、低いはずの鼻もツンと高くとがっているし、いつも「眠そうだね」って人から言われる目元だって切れ長で凛としている! 身長も、本当のわたしは153センチなのに、手足がすらりとした高身長に大変身!


そんなっ、こんなのって、こんなのって!


「すんごい美人になっちゃった! ちょっと性格がキツそうだけど嬉しい~」


どうも、さっきの男の人から渡された鍵で扉を開けたから、今度は知らない場所で別人になっちゃったらしい。さすが夢。


「不思議の国のアリスの気持ちが、今ならわかるよ」


アリスは積極的に世界を探索していたし、それに習ってわたしも探索してみるか。


どれどれと隣の部屋へ入ると、寝室よりさらに広い部屋がある。暖炉があって、中央にはソファとローテーブル。それとは別に手紙をしたためるのが似合う高級な机があるし、さらに窓際には大きな掃き出し窓があって、そこからバルコニーへ出られるみたい。


さっそく出てみると、広がる景色に驚いた。


「すてき! おとぎの国みたい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る