第41話 クラス対抗戦1 いじめっ子には正当な処罰を

【クラス対抗戦1 いじめっ子には正当な処罰を】


 ロレーヌたちがレベリングで実力をつけている間に、

 クラス対抗戦が行われることになった。


 体育館に人工魔素フィールドを生成し、

 疑似魔物をやっつけるという、半分ゲームというか、

 シューティング・ゲームそのものだ。


 ただ、その間に対戦相手の邪魔が許される。

 だから、意外と戦略性が求められている。


 2チームを並べて、勝ち上がり戦を行う。

 時間は3分。

 その間に、多くの魔物を葬ったほうが勝ち。


 まず、ED同士が闘う。

 その勝者とCが対戦。

 その勝者と、Bが、そして最終的にAが争う。



 対戦には当然だが、クラスでもっとも強いチームが出る。

 まずはクラス選抜戦だ。


 それに際して、俺は少々思うところがあった。

 俺はクラスメイトの半数以上に対してストレスをためていたのだ。

 

 あからさまではないが、陰湿な視線や嫌がらせをしてくる奴がいる。

 俺にだけならば現場を押さえて反撃することも可能だ。

 俺にはそれだけのスキルがある。


 気配遮断スキル。気配察知スキル。鋭い5感。

 通常ならダンジョンで発現するスキルなのだが、

 俺はダンジョン外でもオンされたままだ。


 しかし、俺がどうやら強そうだ、という噂がクラスでたった結果、

 いじめはエマとジャンヌに向かうことになった。


 陰で二人が泣いているところを見たこともある。

 俺はいじめっ子の中でも目立つ奴らー特に女子を特定した。


「エマとジャンヌ、わかっているな、王国の掟」


「え」


「おまえらが陰口叩かれたり、地味ないじめを受けているのは知っている。そして、先頭にたっているやつもな」


「……」


「この世界の掟。やられたらやりかえせ。やられっぱなしではこの世界に居場所がなくなるぞ」


「……」


「俺は男だし、女子のいじめ、特に陰湿なのにはどう対処していいかわからん。だがな、おまえらがいじめを受けているのは、一つにはなめられているからだ」


「……」


「もう一つは見た目だ」


「……」


「わかってるんだろ?いいか、クラス対抗戦の選抜戦はいい機会だ。おまえらはクラスでは最上位だ。いじめてる奴らに格の違いを見せてやれ」


「…うん…」


「ガッツを出せ!」


「うん、やる」


「もう一つ、見た目。俺たちはだんだんと体が引き締まってきている。ダンジョンのおかげだ」


「うん。嬉しい」


「これを続行して、夏休みが終わる頃には絶世の美女になってやれ」


「ええ、美女じゃない……」


「あのな、美しさは外面よりもな、内面の輝きが重要なんだよ。痩せて自信を取り戻せ。強くなって光り輝け。そしたら、周りはおまえたちにひざまずくぞ」


「ああ、なんだかやれそうな気がする」


「やれるに決まってるだろ。入学時と今を比べてみろ。全然違うだろ」


「うん」


「今はまだ途中経過だ。もっともっと美しくなれるぞ!だいたい、うん、とか返事がぬるい。ウッシャーとか拳をあげてがなってみろよ」


「いや、それは……」


「何言ってるんだよ、強くなるぞー!」


「…おー」


「元気ねーぞ。もっともっとキレイになるぞー!」


「おー」


「陰湿な蛇野郎と豚娘をやっつけるぞー!」


「おー!」


「ウッシャー、だろ。それ、1,2,3、ハイ!」


「ウッシャー!」 



 で、選抜戦では試合内容そっちのけで

 クラスの半端野郎と半端娘をギタギタにしてやった。

 ちなみに、学園ではこういうのは楽勝で許容されている。

 体育館ではかなりの荒っぽいことには無頓着だ。 

 

 最後の方などトチ狂った連中が徒党を組んで俺たちに向かってきた。

 一方的に叩きのめしてやった。

 戦闘力の差を理解できないのか、こいつら?


 俺は女にも容赦しない。

 女が強いのは、俺の母ちゃんやマノンでも知ってるからな。

 あと、ロレーヌも。


 ちなみに、叩きのめしたのは文字通りの意味だ。

 学園には優秀な回復薬が常備されており、

 軽い骨折程度の怪我ならば、ほぼ瞬時に治癒する。



「おい、おまえら。ここで正座な」


「えー、なんでよ」


「嫌なら、俺の拳。どっちがいい?」


「……」


「おまえら、さんざん俺たちのことを馬鹿にしてきたな」


「……してない……」


「ボガッ!」「痛い!」


「おまえらに反論する権利はない。なんだ、あの陰湿ないじめは。悪口、シカトがデフォ。なんで、エマとジャンヌが浮いてるんだ?」


「……」


「服や靴、学用品を隠したり、汚したりする幼稚なやつもいるな。靴の中に鋭利な鉄くず入れたりとかな。特に◯。おまえがよくやる手口だよ」


「私、そんなことやってない!」


「ボガッ!」「痛い!」


「見てないとでも思っているのか?ここに俺の日記帳がある。おまえらのいじめの手口と実行した日時が載っている。言い逃れしたいものはいるか?」


「俺はそんなことしてないぞ!」


「ボガッ!」「痛い!」


「もっと教育的指導が必要か?」


「……」


「おまえら、俺たちがだんだんと見た目が改善してきたの、わかるよな?」


「……」


「今、見せるのは俺たちの強さだけだ。だがな、夏休みが終わったら見た目がどう変化してるか。刮目しな」


 もちろん俺たちはダントツのトップでクラス代表の地位を勝ち取った。


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