第12話 いろいろお買い物2
【いろいろお買い物2】
「これだと、いずれは防具も新調しなくちゃいけないかもな」
「物はかなりいいのですから、限界を悟ったらということでよろしいのではないかと」
「ですね。そうなったらまたお願いします。で、本日はですね、子供たちの武具なんですよ」
「はい」
「息子は無属性の拳、娘は聖属性の剣ですね」
「ふむ。若干特殊ですな」
「ええ。息子はまだ正拳スキルしか発動していません。娘は聖剣ですね」
「なるほど。となると、息子さんに関しては以前お伝えした無属性汎用グローブが一番のおすすめですが」
「ああ、価格にはあまりこだわりません。極力いいのをお願いします。当家で貯めていた魔石を放出しようかと」
「畏まりました。では、職人を呼んできましょう。汎用性と言いながらも、ワンアンドオンリーになるため、息子さんに合ったものをご用意させて頂きます」
「で、娘なんですが」
「そうですね。大きな声では言えませんが、聖属性ですか」
「そうなんですよ。教会が……」
「あれですね。ステルス機能をつけてみましょうか。簡単には聖属性であることを見破れないように」
「ああ、そういうのがあるんですね」
「昔は聖属性の持ち主となったら大喜びで教会に向かったもんですが。まあ、これも時代ですね。自由を求める方がかなり増えていますね」
「これも価格には糸目は付けません。どうか、お願いします」
「聖属性を無属性に見せる機能をつけておきましょう。最新かつ最高のものを付けますから、現状ではまずバレないでしょう」
「お願いいたします。前金で半分お支払いで良かったですか?」
「ええ、完成して引渡し時に残りの半分」
「ありがとうございます。では、そういうことで」
「畏まりました」
「よし、みんな、後は職人と打ち合わせだぞ」
「キャッホー!」
「これ、マノンちゃん、はしゃがないの」
◇
「ふう。やっと打ち合わせが終わったな」
「結構時間がかかったね」
「そりゃ、命を預けるものだからな」
「でも、ジョエルちゃんのステータスが想像よりもかなり高いのね」
「ああ、職人連中も驚いてたな」
「でも、苦労して力を抑えているんだぜ」
「ええ、どういうこと?」
「(ああ、マノンには言ってなかったな。いい機会だから話しておこう。マノン、あそこの隅にいこっか……いいか、内緒の話だぞ。小声で話すからしっかりきけよ)」
「(ええ、なになに?ドキドキ)」
「(ジョエルにはな、魔素フィールドスキルっていうのが発現しててな)」
~そのスキルについて説明~
「(なんと!お兄ちゃんって天才?)」
「(そうなのよ、もう一つあってね。魔石も作れるのよ)」
~そのスキルについて説明~
「(お兄ちゃん、すごすぎ!大天才じゃん!)」
「(だからな、絶対に秘密にしなきゃいけないんだ)」
「(どうしてー?大ぴらに宣伝すればいいのに)」
「(マノンちゃん、そんなことしたら、怖い人がいっぱい来ちゃうでしょ)」
「(あー、そっか。私の聖属性みたいなものね)」
「(マノンのも厄介だが、ジョエルのはもっと厄介だぞ。だから、絶対に内緒。バレたら最悪ジョエルは殺されるからな)」
「(そんな脅かさないで)」
「(それぐらい危ないってこと。マノンは家族だし秘密にしていてもすぐにバレそうだから、こうして話してるけど、今後はこういう会話は慎もうな。いいか、家族であるおまえにも災難が降りかかるかもしれないからな)」
「(そうよ。ちょっと私達も軽率だったわね)」
「(どこに耳があるかわからんからな)」
「(まあ、今は防音スキルを発動してるけどね)」
「(え、お兄ちゃん、そんなこともできるの?)」
「(ああ、父ちゃんに教えてもらったよ)」
「(冒険者の多くは気配探知とか気配遮断スキルを持つもんだ。それがない冒険者は上位にはいけないからな。防音スキルは気配遮断スキルの応用。ジョエルに教えたら、一発で習得したぞ)」
「(えー、私にも教えて!)」
「(ああ、ダンジョンでレベリングして徐々にスキルアップしていこうか。ただし、ジョエルと違ってダンジョン専用のスキルだがな)」
「(ヤッター!ワクワクが止まらない!)」
で、この後は化粧品、服屋と続き、
父ちゃんと俺は例によって顔は無表情、死んだ目となり、
荷物持ちと化すのであった。
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