第28話 休戦

西暦2032(令和14)年4月7日 日本国東京都


「第三国より連絡です。ガロア皇国は此度の戦争の損害を受けて、ゾルシア共和国と休戦を結ぶと公表しました。先のラーグ沖での海戦で、主力艦隊を撃破されてしまった影響が強い様です」


 外務大臣の報告を聞き、西条は頷く。


「戦闘後に、皇国近海に護衛艦隊を遊弋させて、実際の戦力を見せつけたのが大きいですね。我らも、ミサイルの在庫が尽きかけていますのでありがたいですが」


 黒木の言う通り、自衛隊は弾薬の在庫が厳しい状態になりつつあった。ダキア王国やアーレンティア帝国にもミサイルの開発・製造技術を容易く供与したのは、そういう事情があっての事だった。


「ともあれ、これで一時的に平和が戻ってくるだろう…本当に仮初かりそめの平和だがね。私も、これを機に政権交代を行う事としよう。私は2年も戦争を続けた大バカ者だ、責任を取るのに丁度いいタイミングだ」


「…」


 この1か月後、日本政府はガロア皇国がゾルシア共和国及びアーレンティア帝国と休戦条約を結んだ事を公表。その1週間後、衆議院解散が宣言されたのである。

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戦艦やまと 瀬名晴敏 @hm80

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