第27話 嵐の果てに
西暦2032(令和14)年3月2日 ゾルシア共和国南部
2隻の大型水上艦を先頭に、10隻の護衛艦は波濤を踏み砕きながら進む。向かうは主力艦が一方的に撃破され、混乱状態に陥った皇国艦隊。
「ラーズさん、今です!」
「分かりました…!」
「やまと」の
「主砲、照準可能なレベルになりました!」
「先ずは外縁の駆逐艦から叩いていけ!対水上戦闘始め!」
命令一過、艦首の28式57ミリレールガンが敵へ砲口を向け、にわかにスパークを帯びる。直後、急加速用炸薬によって生じた炎と稲光、そして直径30ミリの
超音速で飛んでくる巡航ミサイルを物理的に叩き落とす手段として開発されたが為に、砲弾自体のサイズは小さい。だがマッハ3の極超音速で飛翔するがために運動エネルギーは凄まじく、直撃弾は駆逐艦の船体をいとも容易く破壊する。
後続の護衛艦も、艦砲で射撃を開始。数的主力である敵駆逐艦を正確な射撃で攻撃していく。皇国艦隊も荒波に揉まれながら応戦するが、艦砲の命中精度には明確な差があった。
「艦隊、反転取り舵!一度距離を取りつつ、敵駆逐艦を誘引する。間もなく「いずも」と「かが」の艦載機が到着する筈だ、それらが敵戦艦に引導を渡した後に、再度砲戦を仕掛ける!」
指揮官はそう命じ、砲撃戦を仕掛けられて混乱しているであろう皇国艦隊を睨んだ。
戦闘は夕方まで続き、海上自衛隊護衛艦隊は仕切り直しのためにラーグまで後退。しかし主力艦を撃破された皇国艦隊に追撃する余力は無く、後退を余儀なくされた。
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