第15話

歩を進めて、1日目には特に何も起こらなかったが、二日目に5人の騎士が前から進んできた。


「リンファ、隠れとけ。ボー、止まれ。」


騎士のために道の端に移って走り竜を止める。

騎士達の先頭にいた一人がこちらに向かってくる。

脱獄囚がらみだろうな。


「脱獄囚について、何か知っているか?」


単刀直入に聞いてくるな。


「特には分かりません。脱獄囚がいるという噂を聞いただけです。」


「そうか。邪魔したな。」


「いえ、力になれなかったようで申し訳ございません。」


そう言って、騎士は集団に戻り進んでいった。


「フードしてる私を怪しいと思わなかったんですかね?」


「小人族の脱獄囚がいなかったからだろう。キファは小さいしな。」


「よかったです。内心ドキドキしてましたから。」


キファは普通のエルフより耳が長いので、その耳をフードで隠すことにしている。

エルフの血が濃いから長いのだという。


「前から思ってたんだけど、耳が長いだけで普通は特になんとも思わないはずだぞ。」


「えっ?でも、実際、攫われましたし。」


「それは、キファが貴族かなんかに見えたからだろう。そういう時に襲われたんだろ?」


「まあ、そうですけど、、、、。そうなんですかね?」


「分からん。これから会う人に聞いてみるか。」


「ですね。そうしましょう。」


しかし、次にめんどくさい奴に出会った。


ーーーーーーー

4日目、また同じように5人組の騎士達に出会った。

同じような対応をしようしたが、めんどくさい奴に出会ってしまった。


「あれ?ジン?、ジンだよね!?」


一人の騎士がすごい速度で近づいてきた。


「お前は、、、、、アリスか?」


「うん!アリスだよ、アリス!久しぶり!!」


剣聖の職業を授かった、同じ村出身の幼馴染アリスに出会った。


「ジン、この人は?」


「幼馴染だよ。」


「この子は?」


「旅の仲間ってやつだ。」


「ふ〜ん。まあ、いいや。それより、手伝ってほしいことがあるの!」


どうせ、脱獄囚がらみのことだろうな


「そうか。俺は先を急ぐから、じゃあな。」


「待って!待って!!お金も出すから!!」


「いくらだ?」


「それは、みんなと相談して決めないといけないから、、、。」


「お前も15なんだから、もうちょっとしっかりしろよ。」


「えへへへ。」


「まあいい、ちょっと待ってやるから仲間とやらに相談してこいよ。」


ーーーーーーーーーー


「見つけた脱獄囚の人数の数一人につき銀貨1枚ってことになったよ!」


「仲間には俺のこと紹介したのか?」


「したというより、私がこの隊の隊長だから。」


「出世したもんだな。」


「私、結構強いから。」


「そうだったな。強かったな。」


「それで、受けてくれる?」


「キファ、いいか?」


「ジンがいいならいいです。」


「分かった。一応聞くが、戦利品は俺たちが全部もらっていいんだよな?」


「いいよ。こっちがほしいのは首だけだから。」


「功績か?」


「よく分かったね。今回の作戦で成功した人が正式に騎士に叙勲されるんだよ。」


「そうか。」


今回の一連の事件に何か作為的に感じるが無視しよう。関係ないし。



「後ろの仲間にも俺のこと紹介しろよ。」


「いいよ。全員女子だけど、手を出さないでよね。」


「するわけないだろ。」


仲間を紹介してもらった。どうせ、すぐ別れるから名前なんて覚えなかったが。


「あの、隊長、本当に大丈夫なんですか?」


「大丈夫、大丈夫。ジンは悪知恵が働くから。」


「はあぁ。」


仲間たちは懐疑的だ。


「走り竜は持ってないのか?」


「持ってないよ。正式な騎士じゃないし。」


「そうか。それで、脱獄囚の誰の首が欲しいんだ?」


「今回の事件の首謀者の兵士長だよ。」


「顔は分かるのか?」


「うん。」


「そうか、じゃあ、兵士達の演習場所について聞かせてくれ。」


「演習場所?」

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