第13話
勇者の丘。
それは、昔勇者が魔王討伐を決意した場所と言われており。
辺り一面に花が咲き乱れていることから観光名所になっている。
「勇者の丘。花しかないな。」
「そうですね。でも、観光名所だけあって美味しいものがたくさんありそうですよ。」
「ワン!」
「そうだな。金もあるし、美味しいものでも食べるか。」
美味しい料理も旅の醍醐味だ。そして、そのレシピを聞いて自分で再現しようとして失敗することも含めて。
「次はどこ行くかな?」
「ここから一番近いのは港町ですよね。」
「ああ。そこでいいか。」
「私、海って行った事ないんですよ。」
「俺もだよ。」
ーーーーーーーー
俺は絵を描いていた。勇者の丘の花の絵だ。初めてだが色も塗ろう。
「いつまでやってるんですか?」
「キファの料理が美味しくなるまでだ。」
「むむむ、、、、。人には得て不得手があります。」
「そのレベルじゃないけどな。それに、絵を描いているのには理由がある。」
「例えば、なんですか?」
「絵は高く売れると聞いた。」
「それは、巨匠になってからでしょう。」
「そうじゃなくて、魔物や薬草図鑑とかの絵を描くんだよ。それなら、バラで売れる。情報のついでに絵を売るんだ。」
「それはいいですね。前から思ってたんですけど、ジンは頭がいいので、商人をやった方がいいですね。」
「驚いた。キファがそんなことを言うとはな。いつもは、他の人間を自分よりバカだと見下しているのに。」
「そんなこと思ってないです。私は感情の変化が顔に出にくいだけです。」
「まあ、キファのいう通り商売も始めてみようかと思ってたけどな。」
「何するんですか?」
「いや、ただの行商だよ。砂糖、胡椒とか少量で高値で取引されるものがいいな。」
「それなら、塩はどうですか?あれなら、どこでも売れますし。」
「ああ、最初の行商としては無難だな。取引は道中で学んでいけばいいし。」
「それなら、走り竜をもう一匹持った方がいいです。」
「キファがもう少し大きくなったらな。」
「そうですね。今の私じゃ制御できませんから。」
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酒場で面白い話を聞いた。
どうやら、この地域を収めている領主が代替わりしたらしく、その時に不正をしていた兵士を吊し上げたらしい。普通なら斬首だが、その多くが脱獄したのだ。
「危ない話だ。」
「少しでも功績が欲しかったんでしょうね。」
「代替わりしたからか?」
「そうです。兵士に対して牽制をしたかったんでしょう。力不足でしたけど。」
「どうする?村に籠るか?」
「いえ、港町に出発しましょう。私たちを襲っても金儲けできると思えませんから。」
「そうだな。どうせ逃げればいいしな。」
盗賊と兵士では個人の力はもちろん統率を取れた行動が取れるため、襲われたらひとたまりもない。
まあ、襲うなら俺たちより金持ってそうな奴らを襲いそうなもんだ。
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料理。この旅で俺の料理の腕は確実に上がった。元々、病弱な母のため手伝っていたのだ。地力はある。
「美味しいです。」
「ワン!!」
「はい、はいおかわりだな。」
「なんで、こんなに味が違うんですか?」
「余計なことをしないからだ。」
「余計なこと?」
「手を加えすぎないってことだ。」
「はぁ。分かるようで分からないです。」
「いずれ、できるようになるさ。」
料理は自分で作ると安くなる。料理はできた方がいい。
「明日は鍋にしよう。でかい猪を狩って。」
「ワン、ワン!」
「ああ、頑張れよ。」
俺のレベルは3,キファは8。
中級職になるとレベルが上がりにくくなる。
その夜。
数人の脱獄した兵士に襲われた。
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