第12話

「なんで、オーガ?」


「いつか倒さないといけないと思ってたからな。キリがいいだろ。」


「そんな簡単なんですか?」


「戦ったことないからわからん。」


「じゃあ、やめときましょうよ。」


「嫌だ。俺の父親も15の時にオーガを倒したんだ。だから俺も倒す。」


「オーガって倒したらいくらになるんですか?」


「銅貨5枚だな。魔石しか売るとこないから。」


「余計にやめましょうよ。」


「やめない。それに、オーガを倒せるようになったらもっと稼げるぞ。」


「なぜです?」


「俺たちが強くなるからだ。」


「はぁ。」


「すぐに分かる。それに、キファも別にエルフの隠れ里に帰ろうと思ってないんだろ?」


「えっ!?何で、分かったんですか?」


「カマをかけただけだ。経験が足りないな。」


「なるほど。交渉術というやつですね。」


「実際のところ、なんで帰りたくないんだ?」


「よくよく考えたら一度、隠れ里に帰ったら二度と出してくれないだろうと思いまして。」


「貴族なのか?」


「みたいなものです。まあ、今回は無理言って外に出たところを盗賊に攫われたんですが。」


「なんのために外に?」


「お菓子が好きなんです。森の中では、限界がありますから。」


「なるほど。実に冒険者らしい答えだ。」


「そうなんですか?」


「ああ。」


ーーーーーーーーーー

オーガを探しに森の中を彷徨う。


「ワン。」


「そうだな。もう少し奥に行くか。」


「ワン、ワン。」


「ああ。先行していてくれ。あとで追いつく。」


「私はどうすればいいですか?」


「ボーに乗っとけ。ボーなら森の中でも逃げ足が早いからな。」


「分かりました。」


それから、3日間彷徨ってオーガを見つけた。

結構森の奥にいるもんだな。


俺はオーガと一対一。剣での真正面から戦闘を開始した。

オーガはとにかく速く、力が強い。ただそれだけだ。


「リンファ!!」


普通に負けそうになったのでリンファと一緒に戦って殺した。


「無茶苦茶、強かった。」


「負けてるじゃないですか。」


「まあ、見とけって。」


それから、一月オーガとの一対一に明け暮れた。

そしてついに、


「勝った!!勝ったぞ!!」


「ワン!!」


「おめでとうございます。」


「ああ。オーガも倒したし。金も貯まったし。次の街に行くか。」


オーガを探している間に別の獲物を狩り続けていたらいつの間にか金が溜まっていた。


「ようやくですか。」


「付き合わせて悪かったな。」


「別にいいですよ。毎日タルト食べれましたから。」


「お前も飽きないな。」


「それで、なんでオーガにこだわってたんですか?」


「ああ。ある程度の強さの下級剣士がオーガと一対一で戦って勝つと中級剣士になれるんだよ。」


「初めて聞きました。」


「まあ、例えだよ。例え。オーガを倒せるくらい強くなったら下級職から中級職になれるだろうって。」


「そういうことですか。それで、中級職になれたんですか?」


「能力開示。」


職業 下級剣士→中級剣士

レベル 36→1

スキル 剣術4 弓術2 身体強化4


職業補正 剣での戦闘時に能力が上昇する。


「なれたよ。」


「レベル1ってことは今の私の方が強いんですか?」


「スキルレベルがあるから、流石に負けないが、さっきの俺よりは弱くなってるだろうな。まあ、すぐにレベルは上がるさ。」


キファのレベルも上げないとな。

ーーーーーーーーー

翌日、村を出発した。


「レベル上げなくていいんですか?」


「旅の道中であげればいいさ。それに、リンファとボーがいるから大丈夫だ。」


「確かに、リンファちゃんは一人でオーガ数匹倒せますからね。ジンがいなくても問題ないですね。」


「まあな。まあ、俺だって中級職になったんだすぐに強くなるさ。」


とりあえず、いくつかの村を回ってから勇者の丘にでも行こう。

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