第11話

「ありがとうございましたジンさん。また、お願いします。」


「ああ。またな。」


護衛代をもらい商人と分かれて、村を歩く。

途中でキファが俺の服をつまんで引っ張る。


「葡萄のタルトだっけ?」


「そうです。私は道中、魔物を倒したので権利があります。」


「別にそれくらい普通に買ってやるよ。」


道中、ゴブリンが襲ってきたのでそれをキファが返り討ちにした。

まあ、ゴブリンだし。

それでも、キファにとっては誇らしいことなんだろ。


「二つ所望します。」


「一つだけだ。」


「なぜです?」


「夜ご飯食べれなくなるだろ。この街にはしばらくいるんだ。明日も食べればいだろ。」


「そうですか。それなら、別にいいです。」


ーーーーーーー

全財産、銀貨6枚。

葡萄のタルトが銀貨1枚と超高価だったので、明日も働かないと。


「杖も買ってやらないとな。」


「別に杖なんて入りませんよ。そのお金がもったいないですから。」


「杖があった方が魔法の威力が強くなるんだろ?」


「杖によります。安い杖ならなくても変わりません。」


「じゃあ、いらないか。」


「はい。それより新しい服が欲しいです。」


「服ね。確かに臭くなったからな。」


「私のは臭くありませんよ。毎日洗濯してますから。」


「一緒だと思うけどな。」


服屋で稼げる話があるか聞いたところ、今のところは特にないらしい。

この村から、他の町や村に葡萄酒を出す時期はちょうど終わったらしい。

ついてないな。


「コツコツ稼げばいいじゃないですか?」


「冒険者らしくなからな。冒険者は一攫千金が夢なんだ。」


「多くの冒険者は引退するまで、コツコツ稼いでると思いますが。」


「それは、長生きしている冒険者だ。一攫千金を求めた冒険者なんてすぐ死ぬし。」


「じゃあ、目指さなければいいでしょ。」


「ロマンがわかってないやつだ。」


「私は甘いものが食べれれば満足ですから。」


ーーーーーー

稼げる話もないので、といううか俺に稼げる話が回ってこないのでしょうがなく魔物を狩ることにした。


「ワン!!」


「はいはい、オークでも探しますか。」


「私はオークは倒せないですよ。」


「知ってる。ただ、倒せなくても経験して損はない。」


「ワン、ワン!!」


「えっ?オークと戦ってるやつがいるのか?」


「ワン、ワン。」


「しかもオークに負けそう。ほっとけ、そいつ男なんだろ。」


「ワン。」


「そうだな。男は助けずにオークは殺す方向で。」


森を進むとオークが人を食べていた。

リンファがオークの首を噛み切って瞬殺したが。


「ひどい光景です。」


「そうだな。匂いもすごいし。」


「今日は悪夢になりそうです。」


「リンファ、魔石を食べた後別の場所に行くぞ。ここは臭い。」


「ワン!」


ーーーーーーーーーー


「ワン、ワン。」


「緑鹿がいるのか。」


「ワン。」


「分かった。先回りする。キファ捕まれ。ボー、頼むぞ。」


「ボォー」


リンファが緑鹿を追い込んで、俺が待ち伏せして首を切り落とす。


「緑鹿は金になるからな。銀貨3枚だぞ一匹で。」


「葡萄のタルト3つ分ですね。」


「そう考えると、安い気がしてきたな。」


緑鹿の美味しいところはリンファがアホみたいに食ってた。魔石をボーに食わせて、肉の残りと角を売った。


ーーーーーー

夜に宿で


「ワン。」


「そうか、そういえばもうそんな時期だな。」


「なんの時期なんですか?」


「明日で俺が15歳になるんだよ。」


「へ〜。」


「だから、明日オーガを倒しに行く。」


「えっ?」




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