第7話

冒険者って思ったより自由じゃない。

村で生活してたよりは自由かも知れないけど、そうじゃない。

世界中を旅したいのに、これじゃあ、この街に住み着くことになってしまう。


「どうしよ。」


「ワン。」


「まあな。薬草採取も経験しながら、お金を貯めないといけないな。」


「ワン。」


「悪かったって。初めてのことで加減がわからなかったんだよ。」


昨日の夜、娼館に行ってお酒を飲まされてから記憶がない。気づけばお金も無くなっていた。装備はあったが。


「ワン。」


「そうだな。都会は怖いな。」


ーーーーーー

薬草採取は村でもやったことはあるが、採り方が雑らしい。正しい方法を教えてもらった。採取報酬の代わりに。

森で狩った、ゴブリンの魔石とオークの魔石と肉を売ることで、生計を立てた。


それから、一月、二月と街で生活を続けた。ある程度お金も貯まったし、俺はこの街を出発することにした。

定期的に走り竜と一緒に依頼をこなしていたが、走り竜はやっぱり走りたいのだろう。やる気の顔だ。


「よし、出発!!」


「ワン。」


「ボォー。」


走り竜の鳴き声はキモかった。


ーーーーーーーーー


「どこに行こうかな。」


「ワン。」


「行き先を後で決めるのも旅の醍醐味なんだよ。」


「ワン、ワン。」


「肉しかお前の頭にはないな。とりあえず、名産地を回ってみようと思う。」


「ワン?」


「ああ。名産地を回って、名産を買って街で高く売る。つまり、行商だ。すごいだろ?」


「ワン。」


「そうだな。みんなやってることだ。でも、やってみたいんだ。」


「ワン、、、。」


ーーーーーーーーーー

盗賊に一度も襲われなかった。リンファがいかついだからだろうか。それとも、逃げられると思ったからだろうか。


「そこの人!」


「はい?」


「はい、あなたです。あなたに護衛をお願いしたいのです。」


一つの商隊の隣を通り過ぎる時に話しかけられた。


「なんでだ?護衛はいるはずだろ。」


「それが、逃げたのです。」


「そうか、お気の毒にな。それじゃあ、俺たちは先を急ぐから。」


「ちょっ!ちょっと待ってください!!。」


「俺は成長したんだ。お前らみたいな怪しい奴らには騙されん!」


俺はそう言って、走り竜の速度を上げた。

商隊との距離ができて、


「ワン?」


「いいんだよ。どっちみち俺たちを危険に巻き込むってことだろ。」


「ワン。」


「まあな。あいつらが進んでいる方向が俺たちの逆ってのもあった。」


「ワン。」


「そうか血の匂いがしたのか。じゃあ、あれで正解だったな。」


「ワン、ワン。」


「なるほど、あの商隊を襲う盗賊を襲えば、お金持ちになれるか!!。確かに!!予定変更だ!」


「ワン。」


俺たちは商隊についていくことにした。どっちみち裏切ればいいしな。


ーーーーーー

とく何もないまま、街に戻った。護衛代をもらった。だけだった。


「まあ、こう言うこともあるな。これでこそ、旅の醍醐味と言ってもいいな。」


「ワン。」


「そうだな。このお金で美味しいものでも食べて、また出発しよう。


ーーーーーーーーーー

そうして、再出発して数日。

今度は豪華な竜車に出会った。


「貴族だ。距離を空けるぞ。」


「ワン。」


道ギリギリまで距離を空けて、隣を通り過ぎようとした時、


「ちょっと待て。」


止められた。偉そうな騎士だ。


「はい?」


「この辺りで盗賊の噂を聞かなかったか?」


「盗賊ですか?ああ、この通りによく出るらしいですね。」


俺は走り竜から降りて答える。


「ああ、やっぱりか。他に何か知らないか?」


「さあ?」


「そうか。」


そう言って、騎士は竜車の元へと戻っていった。

そして、竜車は進んでいった。


「なんだったんだ?」


「ワン。」


それから特に何もなく、りんごの名産の村についた。



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