第4話

悲鳴が聞こえた。

村人達に緊張走る。日頃、闘いに慣れてないものが多いからか中には腰を抜かしている奴もいる。


「全員、洞窟から離れろ。」


おっさんの掛け声で、みんな洞窟の入り口から離れる。俺も周りに合わせて離れる。

ついでに洞窟に向かって、弓を構える。


洞窟から、一人の若者が走って逃げるように出てきた。先ほど洞窟に入った若者だ。


「斬っ、斬られた!!ジョンとタイルが斬られた!!」


「落ち着け。中には誰がいたんだ?」


「人、人だ!盗賊がいたんだ!!」


盗賊か運が悪いな。


「何人ぐらいいたんだ?」


「分かんない!!暗くて、よく見えなかったんだ!!」


使えないやつだ。


「分かった、よく頑張ったな。休んでいいぞ。」


このおっさん、最初からこいつらを捨て石にするつもりだただろ。

性格悪いな。


「どうする、ジン君?」


「洞窟の出口はひとつしかなかったよな?」


「ああ。ここ以外にはない。」


「じゃあ、待機だ。洞窟から出てきたところを弓矢で狙い打てばいい。」


「出てくるまでに村娘達が死んでしまうぞ。」


「俺が盗賊なら、そんなことはしない。」


「なぜだ?」


「すぐに分かる。」


洞窟から、数人の男が出てきた。

ーーーーーーーーーー


「なんだ、この状況は?」


「何って、バレたんだろ。」


「だな。」


俺は弓で一人を狙い打つ。

盗賊の一人の胴体に刺さる。


「誰が打った!?」


撃たれた盗賊は叫ぶ。

他の盗賊はすぐさま、洞窟の中に逃げ込む。


リンファが背後から近づき、矢の刺さった盗賊の手を噛みちぎって、武器を握れないようにする。


「一つ聞いていいか。」


俺は、隠れた場所から盗賊の前に出る。


「俺を打ったのはお前か?」


「ああ。」


「こんなガキに殺されるなんてな。」


「仲間は何人ぐらいいる?」


「さあな。」


「教えたら、見逃してやるぞ。」


「この傷でどうやって生きるんだ?」


確かに、やり過ぎた。


「でも、痛みはあるんだろ?」


暗に拷問を匂わせる。


「クソが。20人ぐらいだ。」


「強い奴はいるのか?」


「リーダーが中級職だ。」


「村から攫った村娘は生きてるか?」


「生きている。大事な商品だからな、味見はしたがな。」


「そうか。じゃあな。」


俺は、盗賊の首を切る。初めて人を殺したが、切った感覚はゴブリンと同じだ。


「狩人達は、木に隠れて弓を射る準備をしてくれ。」


「なんでだ?」


「盗賊達がくるからに決まってるだろ。」


「分かった。準備させる。」


おっさんはそう言って、狩人達に命令を出す。


「他の奴らはどうする?」


「たっとけばいいだろう。戦闘に不慣れだし。それに、死んでも困らない奴しか連れてきてないんだろ?」


「まあな。でも、みんな志願者なんだぞ。」


「そうか。大きい村は違うな。」


5分もしたら、盗賊達がゾロゾロと出てきた。

村娘達を人質にして。


ーーーーーーーーーー


「盗賊達、その村娘達を置いていけば見逃してやる。」


おっさんが交渉役だ。俺には威厳がないしな。


「ふざけんな。俺達にもメンツってもんがある。」


リーダらしきものが答える。


「気にしてるのはお前のメンツだろ。」


「それがどうした?」


リーダは強気だ。相手が弱そうな村人だからだろう。やりおおせると思っているのだろう。


「どうしても譲らないか。」


「譲らねえな。」


「そうか、構え!!」


その号令で弓矢が放たれる。なるべく人質に当たらないように威嚇のような射撃だ。


「「「なっ!!」」」

「「「弓矢だと!!」」」


混乱した、盗賊の中で俺とリンファで人質を解放する。

なんとか、3人の人質のうち、2人は救えた。


「もう一度言うぞ。人質を置いたら見逃してやる。」


「クソッ!条件がある!!」


「条件?」


「ああ。道を開けろ。このまま人質を解放したんじゃ狙い打たれるだけだ。」


「分かった、どうすればいい?」


リーダらしき男は近くの盗賊の足を斬る。


「なんでっ!?」


「うるせぇ。お前はここで死ぬんだよ。運が良かったら生き残るかもな。」


「ふざけろ!!」


「こいつに人質を渡す。俺たちは逃げるから、見逃せ。」


「分かった。」


盗賊達は我先に逃げて行く。

残った盗賊は


「近づくな!!この娘がどうなっても知らないぞ!!」


生き残ろうと、必死だ。必死すぎた。

背後から近づいたリンファに気づかずに首を噛みちぎられて死んだ。


ーーーーーー


「ありがとう、ジン。早く、村に帰ろう。」


「先に、みんなで帰ってくれ。俺はまだ、やることがあるから。」


「やること?ああ、戦利品か。村人を10人くらい残す。そいつらと洞窟で戦利品を探してくれ。」


「分かった。」


そう言って、おっさんは多くの村人と、村娘を連れて帰っって言った。


「とりあえず、みんなは洞窟で盗賊の盗んだものを探してくれ。」


俺の号令で、村人が動き出した。

年上が俺の号令一つで動くのは痛快だ。


さて、逃げた盗賊を殺さないとな


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