第3話

街に行きたいけど、一度別れを告げた村のみんなと会いたくないから、遠回りだけど、いくつかの村を経由して、別の街ことにする。


「村と村を旅する。冒険者ぽいな。」


「ワン。」


「目的地は魔王の城にでもするか。」


「ワン。」


「もう、お腹減ったのかリンファ。さっき、昼ごはん食べたばかりだろ。」


「ワン、ワン。」


「それは、お前が野菜を好き嫌いして食べなかったからだ。お肉だけじゃなく、野菜も食べなきゃダメなんだ。」


「ワン!!」


「分かった。そこまで言うなら、30分待ってやる。その間になんか、狩ってくるんだぞ。」


「ワン!!」


一つ前の村で、オークの干し肉と野菜を交換してもらった。

野菜なんて高級品、滅多に食べられないのにリンファはお肉の方が好きなのだ。


「街に行ったら、お金を払って料理人が作った料理を食べる。これも冒険の楽しみだよな。」


ーーーーーーーーーー


「冒険者様!!」


俺が村に入って、干し肉の代わりに民家に泊めてもらえることになった。

民家でくつろいでいた時に、ある老人が訪ねてきた。


「ワン?」


「どうしたんだ。そんなに焦って。」


「ここに冒険者様がきたと聞きまして、、、。」


「ああ。それは、俺だが、どうしたんだ?」


民家に泊まらせてもらう時、見栄を張って、冒険者と言ってしまった。

旅人の方がよかったか、、、


「はい。昨日から、うちの村の娘3人が帰ってきていないのです。」


「そうか。その、娘達がまだ見つかっていないと。」


「はい。村の男達が探しているのですが、それでもまだ見つかっておりません。」


「この村はかなり大きい。男の数も多いと思うのだが。なぜ見つかっていない?」


「はい。盗賊か関わっているかもしれません。」


「盗賊?」


「はい。ここ最近、そう言う噂があるのです。商人達が道で襲われたと。」


「なるほど、分かった。俺も手をかそう。」


「本当ですか!!ありがとうございます!!」


また、見栄を張ってしまった。でも、これでこそ冒険者って感じだ。

この老人、後で聞いたが村長だった。


ーーーーーーーーーー

人探しは得意だ。リンファがいるから。リンファはとんでもなく鼻がいい。

女子の衣服をリンファに嗅がせて、その匂いを辿る、1時間ほど森を歩いて、人流の洞窟にたどり着いた。


「盗賊にしろ、魔物にしろこの先にいるんだな?」


「ワン。」


「分かった。戻って、村の人達に伝えよう。」


走って20分ほどで、村にたどり着いた。

村長に事情を伝えた。


「なるほど、あの洞窟でしたか、、、。」


「それで、どうするんだ?」


「どうするとは?」


「いや、盗賊だとしても魔物だとしても戦力がいるだろ。」


「冒険者様にお任せします。私達より経験がありますから。」


「分かった。任せておけ。」


どうしよ、俺にそんな経験ないんだけど。


ーーーーーーーーーー

村の男数十人を引き連れて、洞窟の前まできた。

とりあえず、洞窟の入り口を観察することにした。

しかし、


「今すぐ助けに行くべきだ!!!」


「そうだ!今なら、まだ間に合うかもしれない!!」


村人の血気盛んな若者がつっかかってきた。俺と同じ14歳くらいだ。


「それなら、あんたらだけで洞窟に入ればいい。」


「なっ!?あんたは村娘達を助けくないのか!?」


「助けたいが、自分の命の方が大事だ。会ったこともない奴なら特にな。」


「ちょっと待ってくれ。冒険者の少年。なんで洞窟に入らないんだ?」


若者達を宥めながら。おっさんが話しかけてきた。


「ジンだ。洞窟に入らない理由は簡単だ。相手が分からないから。」


「しかし、こいつらの言う通り、早く助けないと村の娘達が危ない。」


「問題はそう言う段階じゃない。」


「というと?」


「もし盗賊だったら、これからどんどん被害が大きくなる。被害は最小限に抑えるべきだ。」


「つまり、村娘達は見捨てるべきだと。」


「その判断をするためにも、まずは観察なんだ。」


「しかし、それでは村娘達の命が危ない。」


「やけにこだわるな。もしかして、攫われた村娘達には何かあるのか?」


「一人が村長の孫。もう二人も村の有力者の娘なんだ。」


「それで、そこの若者達がやる気になってるのか。」


いいとこを見せたいのか。見れば、着ている服も貧相だ。農地を持っていない小作農か農家の3男,4男などだろう。


「まあ、そう言うことだ。」


「だとしても、俺は行かない。行きたければ勝手に行けばいい。」


「まあ、そうなるな。俺があんたの立場でもそうする。」


「あんたはどうするべきだと思う?」


「助けに行くべきだと思う。」


「理由は?」


「何もせずに死なせたら、申し訳がたたねぇ。」


「俺があんたならそうするかもな。でも、今回に関しては俺は動かない。」


「ああ。そうしてくれ。行きたい奴らだけで行けばいい。行けるな、お前ら?」


「もちろんだ!!」


そう言って、村の若者数人は洞窟の中に入っていった。

結局、このおっさんは何をしたかったのだろうか?


少しして、洞窟から悲鳴が聞こえた。


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