第2話

人が一人もいない村は初めてのことだ。寂しい村だったが、もっと寂しい村になったな。


「今日は村長の家にでも泊まろうか。広いしな。」


今は、リンファと一緒に森を歩いている。

村の狩人達が発見したという、オークの群れがの場所へと向かっている。

今は、移動しているからそのオークの群れの痕跡を辿っている。リンファが。


「でも、結構離れてそうだから、村に帰れないかな。野宿か、、、。」


「ワン。」


「リンファは野宿が好きだもんな。」


リンファの頭をひと撫ですると、自分の頭を俺の手になすりつけてくる。


「お前がいてよかったよ。いなかったら一人だしな。一人は寂しいしな。」



日が暮れてきたので、適当にウサギを狩って夜ご飯にしたのち、代わりばんこに夜の見張りをして、夜を過ごした。


ーーーーーーーーーーー

翌朝


「オークだ。」


「ワン。」


数匹のオークを見つけた。

オークの群れから、はぐれたのだろうか。


「いつも通りに行くぞ。」


「ワン!」


木の上から、弓で3匹に狙撃したのち、剣を抜いて襲い掛かる。

1分もかからず、戦闘は終了した。


「魔石は一つだけ食べていいぞ。」


「ワン、ワン!!」


3匹のオーク達から、魔石を取り出して、一つをリンファに食べさせて、二つを売却用にもっておく。


「魔石って美味しいのか?」


「ワン!!」


一度食べてみたけど、ただの石だった。

オークの死体を少し解体して、肉を食べた。オークのお肉は脂が多いので、少し苦手だ。剣の切れ味も切れば切るほど悪くなるし。


それから、出会うオークも増えていき、オークの群れに近づいていっているのを確信させた。


ーーーーー

夕方


「あれが、オークの群れか。」


「ワン」


かなり、大きい。上位種と言われるオークもいるだろう。

流石にそこまでの調査は危険だからしたくないので、なんとなくの数を数えて、村に帰ることにした。


「オークの群れは臭うな。」


「くぅ〜ん。」


「そうだな。ずっと近くにいると鼻がおかしくなるし、さっさと移動するか。」


村への道へは、寝ないで徹夜で帰った。騎士が来ているかもしれないし。

村長の大きい家で寝た。寝具はなかったが、寝心地はよかった。


ーーーーーーーーーー

3日後

3人騎士が来た。騎士というものを人生で初めてみたが、多分騎士だろう。

すごい偉そうな人だったし。


「3000匹程のオークの群れか、、、、。」


平民の俺が大きい数字を数えられるか疑っている。


「はい。移動方向からこの村に来ないと思います。」


「分かった。地図を渡すから大まかな位置を教えてくれるか?」


「はい。」


騎士達は、俺の意見を参考にするらしい。建前でもこういうことを言ってくれる騎士はいるんだな。

騎士というものを誤解していたかもしれない。


俺から、オーク達の位置を把握するために、大型の鳥を放った。

鳥の魔物だろうか。


「かなり近くまで来ているな。」


「ですね。早く街に帰って、報告しないと。」


「そうするか。少年、情報参考になった。これは、少ないが取っとけ。」


「ありがたく、頂戴いたします。」


おそらく、お金の入った麻袋を渡された。

それから、騎士は走り竜に乗って、街に帰っていった。


「おお!銀貨5枚!!すごい大金だ!!」


生まれて初めて、こんな大金を持った。騎士の人たちはすごい人達かもしれない。


「こんなたくさん、お金もらったし、オークの魔石は全部食べていいぞ。」


「ワン!!」


数十個のオークの魔石をリンファに食べさせる。毛色が少し黒くなってるか?。


「よし、冒険を始めよう。」

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