第34話 遂に箱庭化実行!
「それじゃ、準備はいい?」
あれから展望室に移動して来た僕達。お父さんの提案で、チームゲートホンで今から箱庭化をする事を伝えたんだ。すると、大半の人が展望室や開拓村が見えるところに来たんだよ。僕は箱庭バーチャルキーを出して準備万端!
『クレイ、こっちはいつでも良いぞ』
『こっちもだ!』
念の為、各箱庭・居住区・商業地区・コモンスペース・シェニの箱庭の扉の両方の塔に人を配置して、変化を報告してもらう事になっているんだ。うん、各箱庭からもOKコールが来たね!
「はーい!いくよー!」
僕が箱庭化をタップした途端、コモンスペース・シェニの箱庭の扉から前後に透明なアトリウムが徐々に村を囲んで行ったんだ。
あ、アトリウムって、ガラスみたいな光を通す材質の屋根で覆われた大規模な空間のことなんだよ。商業施設のアーケード街にある建築物の魔法版だね。
この、箱庭化の壁。光が屈折すると虹色に見えるんだ。とっても綺麗なんだよ。でも……
『クレイ、やっぱりだ』
『ダウロ、そっちもか』
居住区側のダウロさんと、商業区側のペギーさんが報告して来たのは、箱庭化の壁より僕らの開拓村の方が大きかった事。うん、やっぱり全部箱庭化にはならなかったね。
『面白いな。俺達は普通に通れるし、何にもぶつからないのに、確かにここにあるってわかるのは……』
ダウロさんが早速検証してくれてるみたい。箱庭化の端まで行って、手を出し入れしたり、自分が通り抜けたりして感覚を試していたよ。
ペギーさんは、箱庭化の壁で両断された建物の状態を調べているね。あ、OKサイン出た。うん、大丈夫そうだね。
「各箱庭の方はどお?」
何人かで箱庭内を確認しているけど、特に変化無しみたいだね。んー……?他に何か変化無いのかな?
「ゴ主人!ゴ主人!HSAロックノ解除忘レテマスヨ!」
首を傾げていると、アルがナーシャの肩から僕の肩に飛んで来て教えてくれたんだ。そして左の画面の下を見ると、確かにHSAロックが使用可能の色に変わっていたんだよ。
あ、これかぁ!
気付いた僕が、HSAロックをタップして解除すると、出てきたのはこれ!
[HSAロック]状態 : (有効)/無効
・箱庭化内ゲート権限解放 ON / (OFF)
・箱庭化拡張
(縦横100m×100m毎SP10 ) ON/(OFF)
・箱庭化地下空間拡張
(縦横100m×100m毎SP10) ON/(OFF)
・セキュリティポート 設置/(撤去)
・箱庭の扉全ゲート隠し通路 ON /(OFF)
『ク、クレイ!いきなり建物が出て来たぞ!』
『うわ!なんだ?箱庭内に通路ができたぞ!』
『クレイ!地下に続く階段が出て来た!』
『ええ!俺今、開拓村居住区いるのに、箱庭錬金使えたんだけど!』
ひえええ!みんな僕にチームゲートホン集中させないでぇ!
僕も含めて全員ちょっとパニック状態になったから、一つずつ確認するね。
まずは[箱庭化内ゲート権限解放]。
『すげえ!みんなが他の扉でも、代理管理者権限が使えてる!』
これは海の箱庭のライル兄さんだね。箱庭だけじゃなくて、開拓村で直接その力が使えるのって大きい!これで、また早いペースで発展して行くね!
次に確認するのは[箱庭化拡張(縦横100m×100m毎SP10 )]。これは僕だね!とりあえず1km×1km位にしたいからSP90消費させて……と。
『クレイ!今度は大丈夫だ!』
『こっちも良いぞ!』
うん、ダウロさんペギーさんからも今の開拓村全体が箱庭化した事が確認取れた!でもまだ集落柵の方が大きいけどね。うん、コツコツ毎日拡大させていこうっと。
そしてね。飛び回っているアル曰く……
「コレデチーム作成登録シテナイ人ニハ見エナイ村ニナリマシタ!勿論箱庭デスカラ安全性も万全!外カラドンナ攻撃サレテモ、中ニ居レバ危険ハナイデスヨ!」
アルの言葉を聞いた人達はわぁっと歓声を上げて、下に見にいったんだ!お父さんの顔を見ると頷いていたから、子供や女性達も解禁だね!
そして気になるのが、[箱庭化地下空間拡張(縦横100m×100m毎SP10) ]。
『ここは……⁉︎』
ペギーさんに今調べて貰っているんだけどね。どうやらかなりの広い空間らしいんだ。というのは、全体が暗いからわからないだって。ここは、要確認案件だね!
ん?ダウロさんも地下に顔出してる?あ、照明の魔導具持ってたんだ。何かダウロさんが言ってると思ったら、簡易箱庭錬金で壁に照明つけていってる!しかもあれウォールライトだ!オシャレ!
うん、なんか一挙に雰囲気が変わったよ。上はまだ暗いって事は結構天井高いんだろうなぁ。
『クレイ!ここの使い方はどうする?』
ウキウキとダウロさんやペギーさんが聞いてくるんだけど……うーん当てはあるんだ。でも今はまだ大丈夫かな?ってお父さんにその事を伝えたらね。
『ダウロ、ペギー!クレイが面白い事考えているぞ!構想聞いてみろ!』
お父さん面白がっちゃって。ダウロさん達巻き込む気満々だね。うん、コレは今から計画していった方がいいかぁ。なんてこの時は悠長に考えていた僕。ダウロさん達に捕まってヘトヘトになるのはもう少し後の事。
さて次は[セキュリティポート]だね!此処には自警団のみんなが見に行っているんだ。
『なあ、クレイ?これって門だよなぁ?俺らには要らねえんじゃねえ?』
これはムーグさんかな?確かにそうだよねぇ。
真ん中の画面で確認すると、コモンスペース・シェニの箱庭の扉のミニチュア版って感じかなぁ。でも違うのは両サイドが塔じゃないって事。
『クレイこれなんだ?』
左には人一人が入れる空間があるだけなんだけど、右には発券機らしきものが設置されて居るんだ。僕もわからないからアルに聞いてみたらね……
「ソレハ『コントラクションキー』デスネ!イズレ箱庭内ダケジャナク、外トモ外交スルトキニツカウ物デス。一時的居留者用ノカードキートイエマス」
そっか、そういう事か!……でも箱庭内に色んな人が入ると、ちょっと治安が心配になるね。
そう言ったらアル曰く、箱庭化内で暴力・盗難しようものなら即座にカードが消えて、強制退去・再発行不可になるんだって。ええ⁉︎チーム作成登録者もそれは一緒?そっかみんなに知らせておかないとね。
因みに箱庭化した開拓村に、武器の携帯は持ち込み禁止なんだって。それに箱庭内で制作・購入した武器防具類は、箱庭内では使用出来ない様になっているらしいよ。
そっか、なら大丈夫かな。
「ア!ゴ主人!『コントラクションキー』ヲ発券出来ル人ヲ5人登録シテクダサイネ」
アルにそう言われて、思いついたのがこの5人。自警団の中からリーダーのバースさん、体格の良いムーグさん、それに新たに元村長のドボルグさんとサッドさんの四人。
そう、村長だった二人は自警団に入ったんだ。「守りは任せろ」だって。頼もしいよね!あともう1人は外交も担当するブラムさんにお願いしたんだ。すると、思い出したようにボツリと呟き出すアル。
「アノセキュリティポートダケ、他ノ人モ見エルンデスヨ。何モナイ空間ニ、ポツント門ダケアルノッテ不思議デショウネェ」
あー、外からはそうやって見えるんだね。うん、それはお父さんに要相談案件かなぁ。
それで最後に確認するのが[箱庭の扉全ゲート隠し通路]だね。これには、畑の箱庭担当のファストさんから報告が入っているんだ。
『どうやら、これは代理管理者しか見えないし、使えん隠し通路らしいが……便利なもんだな。行きたい箱庭にすぐ繋がってくれるんだ。わざわざ入り口に戻って、また他の扉に行く手間がなくなるぞ!』
あ、それ良いね!代理管理者ってやっぱり忙しいんだもん。時間短縮大歓迎だよ!
そうやって確認し終わったんだけど、やっぱりしばらくは高級旅館シェニに滞在する事にしたお父さん達。まだ、グロッシー国との問題もうちの国との問題も片付いてないからだって。
でも見えない村を攻撃しようとするかなぁ?
なんて呑気にそう思っていたのは、どうやら僕だけだったみたい。
「……やはり探られていたか」
「ああ、ミドリが教えてくれた。数人しかいなかったから斥候だろう。フォレストホースが報告するなんて、普通思わないだろうからな。相手は気付かれているとは思ってないだろうが……」
「そうか、わかった。いよいよ来るか……!」
領主室に戻ったお父さんに、ゼンさんから報告があったんだ。あ、僕もブラムさんとその時領主室に一緒にいたよ。でもブラムさんに色々報告中で聞いてなかったんだ。
だから次の日になって初めて知ったよ……!
グロッシー国の先発隊の姿を見る事によってね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。