第33話 新たな箱庭の扉

 昨日はサッドさん達を案内した僕。途中からパンフレット片手に見学していた家族も合流して、人数が増えてね。なんか御一行様ご案内みたいになったんだよ。


 みんな、行く先々でかなり興奮してたなぁ。

 

 例えば大浴場で……

 「辺境でこの湯量……!しかも使い放題だと⁉︎」

 例えば図書館で……

 「こんなにいっぱい貴重な本が⁉︎」

 例えば展望室で……

 「なんて素晴らしい空間……‼︎」

 

 コモンスペース・フェニの扉だけでも驚いたって言うのに、箱庭の中に入ったら……


 「……綺麗……!」

 「ああ……言葉が無いな……‼︎」


 まずは、入ってすぐの湖や緑のアーチを案内したんだけどね。散歩してるだけでもみんなから感嘆の声が聞こえて来たんだ。そして、メインの他の箱庭の扉に行ったらね……


 「コレが海……⁉︎」

 「えええ!こんなに新鮮な野菜が採れるの?」

 「まぁまぁまぁ!なんて素敵な布なの!」

 「花がこんなにいっぱい……!素敵‼︎」

 「は?何でこんなにコッコ種やホルスター種が大人しくしてんだ?」

 「アバルテケ……?ええ!グリフォン?……ケットシーにミノタウロスまで……」

 「はぁ⁉︎魔鉱石が採れるだとぉぉぉ!」


 うん、どこの箱庭の扉に入ったかわかるよね。こんな感じでハイテンションなものだから、後半は全員グッタリ。


 だったら、もうみんな温泉にはいっちゃおう!って事になってね。男女別だから途中で捕まえたナーシャに女風呂を任せて、男風呂は僕が使い方を教えたんだ。

 

 「……はぁ〜、気持ちいいもんだなぁ……」

 

 サッドさん達、気持ち良さそうな声出してたんだ。これでまたお風呂信者増えただろうね。ブラムさん、嬉しそうだったなぁ。


 でも、何でだろうね?お風呂に入ると「うあ“あ”……」とか「あ“〜……」って声出しちゃうの。より気持ち良くなるのかな?まあ、良いんだけどね。


 それでお風呂上がりに待っていたのは……

 

 「さあ、たっぷり食べておくれ!」

 「どんどん焼くわよー!」


 マーサさんやお母さん達女性陣が、ガーデニングの箱庭のガラス宮殿でバーベキューの準備をしてたんだ。ドボルグさん達の村からも助っ人いっぱい来たからね!前より豪勢になったよ!


 大満足の大宴会!今だけはグロッシー国の事も、国に見捨てられた事も忘れて英気を養っていたよ。


 僕達子供組は、早々に退散したけどね。

 

 次の日朝起きると、大人達は職場決めにそれぞれ動いていたなぁ。いつ寝たんだろう?って思ったけど、みんながやる気を持って動く姿って、活気があって良いよね!


 ん?それで今僕はどこにいるのかって?


 「クレイ、何か変化があったのか?」

 「んーとね……」


 そう、お父さんと一緒に領主室にいるんだ。今日は書類整理の日のお父さんとブラムさん。僕は、その横のソファーに座っているんだよ。


 だって一人でいたら、サッドさんやドボルグさんの村から来た人達に囲まれるんだもん。みんな感謝してくれるのは嬉しいけど……静かな場所がないかなぁって思って探してたんだ。そしたら、お父さんが領主室に入る許可くれたんだよ。


 それに、お父さん達とドボルグさんとサッドさんに言われているんだ。安全な此処でも一人で動くなって。僕がこの村の原点だからって。それで、自警団の中の誰かと一緒にいるように言われていてね。今日はお父さんの日なんだ!へへっ嬉しいな。


 ん?あ、そうだったね!ステータス確認の最中だった!ええとね……


 「あ、レベル上がってる!」


 クレイ・リーガン 5 男

 HP 500

 MP 1000/1000

 SP 100,340

 スキル 箱庭ゲートキーパー〈レベル10〉 

     生活魔法 箱庭錬金 ゲートインアウェイ

 称号  異世界転生者 時空神の祝福


 やったぁ!SPが一万超えてるよ!箱庭化が出来る!


 「お父さん!ブラムさん!遂に箱庭化が出来るよ!」

 「おお‼︎そうか!早速見せてくれ!」

 「うん!」

 

 お父さんに言われて箱庭化をしようとしたんだけどね。ブラムさんから「クレイ待て!」って止められたんだ。


 「今までの例からいくと、新しい箱庭の扉が追加されていただろう?それにお前の能力が増えていなかったか?」


 ブラムさんにそう言われて気付いた僕とお父さん。


 そうだった!まだそっち確認してなかったね!危ない危ない。ええと、どんな箱庭の扉が来たかなぁ。


 そう考えて僕が調べていると、お父さんとブラムさんも後ろから覗き込んで来たんだ。気になるもんね。


  【箱庭ゲートキーパー】レベル10

 [箱庭]

 ・海の箱庭の扉 開放済み

 ・布の箱庭の扉 開放済み

 ・畑の箱庭の扉 開放済み

 ・コモンルームの箱庭の扉 開放済み

 ・パニックルームの箱庭の扉 開放済み

 ・牧場の箱庭の扉 開放済み

 ・鉱山の箱庭の扉 開放済み

 ・ガーデニングの箱庭の扉 開放済み

 ・温泉の箱庭の扉 開放済み

 ・クリーンセンターの箱庭の扉 SP700←NEW!

 

 [ゲートキーパー]扉管理者の能力

 ・箱庭錬金 取得済み

 ・チーム作成(登録上限512名) SP100←NEW!

 ・チームゲートホン 取得済み

 ・ゲートインアウェイ 取得済み

 ・ゲートキーパースマートキー×2 取得済み

 ・ゲートキーパーマスターキー 取得済み

 ・箱庭バーチャルキー(ゲートキーパー専用) 取得済み

 ・パニックゲート SP 1,000←NEW!

 ・箱庭化 SP10,000


 うわぁ!見といて良かったぁ。色々増えてる!


 「クレイ、クリーンセンターの箱庭の扉ってなんだ?」


 やっぱり箱庭の方が気になったお父さん。僕も分からなかったからタップして調べてみたらね……


 『クリーンセンターの箱庭の扉』SP 1,000

 リサイクル・焼却・汚泥処理・自家発電施設が入った箱庭。学校・体育館・スポーツ(陸上、水泳等)施設も併設。


 [クリーンセンターの箱庭 代理管理者の権限]10名

 ・クリーンセンターの箱庭内魔導具の使用可能

 ・全箱庭内での能力の使用可能

 ・修復

 ・収集(クリーンセンターの箱庭各施設へ直送可能)


 「え!代理管理者権限も見れるようになったよ!」

 「おい!この『修復』ってなんでも出来るのか?」

 「……成る程。一つ懸念が減ったか」


 うん、反応が三者三様だね。上から僕、お父さん、ブラムさんの言葉だよ。それでお父さんも注目した『修復』だけど、箱庭内ならどんなものも修復出来るんだって!コレってすごくない?全箱庭で使えるんだよ!


 それにブラムさんが言っていた懸念は、人が増えた事によるゴミ、汚水問題。あ、箱庭内じゃ無いよ。開拓村の方。


 汚水、汚物はトイレの魔導具で何とか出来ているけどね。このまま人が増えていくと、魔導具の許容範囲が超えそうだったみたいだよ。知らなかったぁ。


 それに、ゴミも基本出ないように可能な限り利用しているけど、それでもやっぱり人数が集まると不安だったんだって。


 うん。もしかしたら、まだサッドさんの村から来るかもしれないし。それに、チーム作成の上限がかなり上がったからね!


 更にね……


 「うわぁ……」

 「コレはエグい……」

 「……クレイ。お前はどこまで規格外なんだ……」


 ……うん。二人だけじゃなくて、僕まで引いちゃった。その理由はコレ。


 [パニックゲート]SP 1,000

 一回の使用MPは500。3種類の扉の内、一回に付き1種類の箱庭ゲートが開放可能。開放可能箱庭ゲート一覧:マグマの箱庭ゲート・ハリケーン(竜巻)の箱庭ゲート・マイナスブリザード(氷点下猛吹雪)の箱庭ゲート。注意:使用は箱庭化後推奨。


 マグマもハリケーンもマイナスブリザードも、お父さん達の目にわかる表現で見えていたんだろうね。説明しなくても真っ青になっていたんだもん。


 「正直……コレはまだ俺達3人だけの胸のうちに止めよう」


 お父さんの言葉に、僕もブラムさんも頷いたよ。だって規模がわかんないからね。


 使わない事を願いたいけど……うん、気分を変えよう。


 それよりもやっと箱庭化が出来るよ!まずは僕達の開拓村を保護しなきゃ!

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