第21話 みんなでお引越し!ガーデニングの箱庭の扉でちょっと休憩。

 『足りないものあったら教えろよー!』

 『あ、カーテン一組分足りなかった!』

 『はいよー!布の箱庭まで来ておくれ』

 『みんなー!一旦休憩にしない?ガーデニングの箱庭でお母さん達がお茶用意してるよー!』


 朝からチームゲートホンが飛び交う中、着々と進む僕達の引っ越し。


 僕もナーシャもアルも勿論手伝ってるよ。僕はゲートインアウェイで自分の家に物を配置しているし、ゲートキーパースマートキーも二つフル稼働しているし。


 でもね、引っ越しで1番お役立ちなのが、鉱山の箱庭にあったマジックボックス!これ7個もあるから、7世帯がこれを使ってお引越し。マジックボックスだから持ち運び便利だからね!


 おかげで早い早い!必要な物を前日のうちに詰めて置けたから、今は家具の配置を悩んでいたり、ガーデニングを頼んでいたりしているよ。


 僕の家もそろそろいいかな?


 「お母さん!足りないものあるー?」

 「そうねぇ。我が家は大丈夫よ。それよりガーデニングの箱庭に行きましょ。クッキーやお茶がある筈よ」

 「だね。ナーシャ!アル!行くよー」

 『もうむかってるよー』


 ナーシャ静かだと思ったら、もう向かってた。もう、最近はアルと2人ですぐ居なくなっちゃうんだから!


 そう、最近のナーシャは更に元気に遊び回っているんだ。今まで僕の側離れなかったのに……ちょっとだけ寂しいかな。


 まあ、その分今はお母さんを独占できるし、いっか。


 ご機嫌な僕とお母さんは、手を繋いでコモンルームの扉をくぐり、回廊を通ってガーデニングの箱庭の扉に入ったんだ。


 ガーデニングの箱庭の扉をくぐると……


 正面には色とりどりに咲き誇る花畑。多種多様な花達が僕らを迎えてくれるんだよ。それに、ガーデニングの箱庭なだけあって、道は整備されているし、あちこちに噴水や木のモニュメントがあって楽しいんだ。


 道を歩いて行くと、一定の間隔でガゼボがあって、色んな坪庭や花壇も楽しめるようになっているんだ。子供達に人気なのは、大迷路庭園かな。大人はやっぱりこの箱庭の中央にある、ガラス宮殿だろうね。


 因みにそこがお茶会の場所だよ。


 多分100人以上収容出来るんじゃないかなぁ。屋根部分は宮殿の仕様になっていて、壁はガラス。部屋の中だけど人口芝が敷かれているんだよ。


 その中にある家具もおしゃれで便利!組み方次第で大きなテーブルにもなる仕込みテーブルでしょ。椅子もオシャレな長椅子から折り畳み椅子まで準備されているんだよ。


 当然男女別トイレと調理場付き。あとね、バーベキューが出来るようにコンロまで設置されているんだ!だからね、今日の夜は此処でバーベキューパーティーの予定なんだ!


 「来たよー!」

 

 僕とお母さんが到着すると、まだルアラさんとクエラさんの畑の代理管理者とナーシャとアルだけだったんだ。


 「早く着いて良かったわ。準備手伝うわね」


 お母さんもルアラさん達と合流してお茶の準備。今日のブレンドはどうする?って相談し始めたよ。


 そうそう、ちょっとした変化が毎日ある箱庭内。


 まずは畑の箱庭にお茶畑が登場!紅茶に緑茶、ハーブティーに麦茶まで作ってくれているんだ。


 その中でやっぱり1番人気はブレンド紅茶。お母さん達がその日の気分でブレンドするんだけど、箱庭産は全部高品質だからね。渋みも抑えられて美味しいんだ。


 でも、まだ僕はミルクティーにしないと飲めないけどね。


 更にお父さん達が嬉しいワインの仕込みが始まったんだ。なんと!【熟成・発酵・蒸留】が簡易錬成に加わったんだよ!だからまずは工程が簡単なワインからやっているんだけど……


 「うおっ!こんなに酒の種類があるのか⁉︎」


 驚いたのは畑の箱庭リーダーのファストさん。代理管理者にも使えるゲートキーパービューに、加工工程と調理法まで見えるようになったからね。ファストさんが率先して研究しているから、近々お酒の種類も増えそうなんだ。


 僕的に嬉しかったのは発酵が来た事だけどね!今ね、お味噌と醤油を改良してもらっているんだ。


 最初の頃、僕の錬金で出来た事は出来たんだけど……味がいまいちでね。料理上手なお母さん達に頼むと違うかも、って思った事が大正解!諦めなかった僕偉いって自分で褒めちゃった。


 だってお米はあるんだよ!だったら元日本人として作らずにはいられないよ!お母さん達も、味付けが広がるっていって喜んでくれたからね。


 そうそう!食べ物関連で欠かせないのは調味料だよね!海の箱庭のライル兄さんとジェイ兄さんは凄いよ!塩、砂糖、胡椒、コナッツオイル、コナッツミルク、コナッツ水にパーム油を大量に生成してくれるからね!


 最近は、畑の箱庭でオリーブ油や酒作りの手伝い、布の箱庭で布作り、鉱山の箱庭で鉱石錬金と忙しい2人。しっかり休んでいるのかなぁって心配してたら、イキイキしてたよ。頼られるって嬉しいからね。


 忙しさでは、布の箱庭のマーサさんとミーナさんも負けてないね。デザインのパターン化で資料が付いていたでしょう?


 考えてみて。布製品って色々あるんだよ。服や下着は勿論、これから必要になる冬用コート、タオル、絨毯、クッション、カーテン、毛布等作る物がいっぱい。


 それで代理管理者を増やしたんだ。自警団員達の奥様のエナさん、ロアさん、カンナさんの3人。


 最早布の箱庭は村の流行の最先端だね。他の箱庭の奥様達、暇が出来たら覗きに行ってるもん。井戸端会議の箱庭と化しているよ。


 そして牧場の箱庭には、ニューフェイスが登場!


 なんと、相棒のいない代理管理者1人につき1体【召喚】って項目が追加されたんだ!これにはフレック兄さん(15)も喜んでいたなぁ。1人だけ相棒がいる状態だったからね。


 相棒のいない代理管理者は4人。

 みんな何を呼んだと思う?


 「きゃー!凄い凄い!」

 《カレン、しっかり捕まっていろよ》

 「イーグ!カレンを追い越せるか?」

 《任せろ!》


 開拓村の上空を飛ぶ二匹のグリフォン。そう、ジニー兄さん(15)の相棒イーグとカレン姉さん(15)の相棒フォンが加わったんだよ!


 グリフォンは風属性の魔物。相棒の周りだけ空気抵抗をなくして飛ぶこともお手のもの。それに風魔法で敵を撃退も出来るからね!村の防衛力が更に上がったんだよ!


 そして、残りの2人はね……

 

 《手伝うニャン》

 「ありがとう、ミケ」


 コッコやホルスター達の世話を丁寧にしているエイミ姉さん(13)は、二足歩行で歩くケットシーのミケを召喚。


 《キダル持って来たぞ》

 「ありがとう、タロス」


 ジャージィのブラッシングをしていたキダル兄さん(14)もとには、なんとミノタウロスの姿が!ミノタウロスのタロスは重い魔導搾乳機を持って来てくれたんだよ。


 足を怪我したジャージィーの為に、献身的に世話をするキダル兄さん。優しい兄さんが呼んだだけあって、タロスも優しい顔をしているんだよ。力強さは流石だね。


 頼もしい仲間が増えた牧場の箱庭。


 でも、頼もしいといえば、やっぱり鉱山の箱庭のみんなでしょう!


 鉱山の箱庭リーダーのダウロさんとペギーさんを始め、研究熱心な兄さん達や奥様達。欲しい物は大概すぐ作ってくれるんだ。今はみんな魔導具作りが面白いみたい。


 魔導洗濯機や魔導冷蔵庫は既に製作済み。冬に備えて魔導ヒーターや魔導コタツを現在各家庭用に製作中。僕の発案だけどね。寒いのは嫌なんだもん。


 鉱山の箱庭の代理管理者だけど、採掘が中心になっているのはトッド(11)。トッドはトロッコ列車がお気に入りだからね。トロッコ列車の整備もトッドがやっているよ。最近はなんか装飾まで凄い事になっていたなぁ。


 そうそう!自警団と鉱山の箱庭兼任のベルグさん達も、面白い事になっていたんだ。


 開拓村の周りで肉の調達も頑張っていたせいか、鉱山の箱庭の簡易箱庭錬金で革加工が増えたんだ。解体上手いもんね、3人共。加工した革は、布の箱庭の奥さん達に渡しているみたい。


 そんな感じで順調に成長している箱庭の扉。


 村人全員集まるのは珍しいんだ。今だってお茶に集まって来たのは、女性陣と年少組の子供達。チームゲートホンで『届けてくれ』の声は聞こえて来ているけどね。


 でも、今日の夜は全員でバーベキューパーティー!


 村人達の相棒であるフォレストホース達やバルも参加するんだよ!勿論召喚された魔物達もね!


 賑やかになるだろうなぁ。うん、楽しみー!

 早く夜にならないかな!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る