第20話 さあ、みんなで村作りだ! 2
みんなで作った第一号の家は、それはもう大絶賛の嵐だったよ!だって既に家具付きなんだもん!
ダウロさんによると、家具くらいはすぐに作れるらしく、アイテムボックスにいっぱいあるんだって。凄いねえ!
「ここはやっぱり領主の家だな。立地はゲートの隣りだし、立派な二階建てにしたからな」
ダウロさんが言った言葉にみんなが同意して、僕らの家が1番に出来たんだ。だけど、みんなといっしょに引っ越したいから、まだパニックルームにいる事にしたけどね。
僕の家の内覧が済んでから、みんなのやる気が凄くてね。戻ったパニックルームの食堂で、ダウロさん達の開拓村の計画書を囲みながら話し合いが弾んだんだ。
「まずは、村の食堂作りだな。各家に台所はつけるが、夜は基本村のみんなで食べることにしないか?」
これはペギーさんの意見だったんだけど、朝の予定の確認や村人の様子が確認とれるのが良いって事で、村人全員が同意したんだ。料理はお母さん達の当番制になるから、女性陣はちょっと大変になるけどね。
「なら、風呂はどうする?」
これは相談役のブラムさん。すっかりパニックルームの大浴場がお気に入りのブラムさん。最早生活の中にお風呂がないっていうのは考えられないくらい、ブラムさんを始め村人全員がハマってくれたんだ!うんうん、やっぱり一日の終わりにお風呂に入らないとね!
でも、これにはアルが気になる事を言ったんだ。
「ア!ソノ点ハゴ心配ナク!マズハ他ヲ進メテ下サイ!」
……って事は、やっぱりあの箱庭の扉もあるって事⁉︎みんなは「まぁ、パニックルームの大浴場あるから良いか」で納得してたけど。
ふふっ、これは全員後で驚くだろうね。楽しみだなぁ。
「じゃ、食堂の次は、私達の家を先に作っちゃいましょ」
次に声をあげたのは、ダウロさんの奥さんのスージーさん。もはや立派な女性棟梁の意見に全員賛成。早速、奥様棟梁達は必要な家具や欲しい家具の要望をみんなから集めてくれたんだよ。流石だね!
「ねえ!そうなると、私達は先に道路を作って行っていい?」
これは、仲良しガーデニング四人娘のヘレン(9)。ヘレン達は展望室から作業が出来るとわかってから、道の整備をブラムさんから頼まれていたんだ。
そうすると、ゲートキーパースマートキーはいつも仲良し四人組が持つ事になるけど……
「錬金なら俺たちも手伝えるからな!」
そこをフォローに回ったのが、海の箱庭のライル兄さん(13)達。そんなライル兄さん達から「クレイはゲートインアウェイを頼む」って言われた僕。勿論って即答したよ。だから僕もしばらく展望台通いかなぁ。
「同じ物が欲しい場合は、私らに言いな!特に道具なんかはすぐに複製できるからね」
そう思っていたら、頼りになるマーサさん達も声をあげたよ。複製も有用だもんね。マーサさんによると、大きな物より、小さな物の複製の方がMPの減りが少ないんだって。
ん?それなら大きな物でも僕ならできるって事だよね!
思いついて家の複製の事をみんなに話したら、全員から却下されちゃった。良い案だと思ったのになぁって、ちょっとしょんぼりしてたらね。
「クレイの能力を借りれるだけで十分過ぎるんだ。せめて、俺たちの村は俺たち全員で作ったんだって言いたいからな。時間がかかるがみんなに任せてくれ」
僕の頭を撫でながら、優しく全員の代弁をするベルグさん。
そっかぁ、簡単にできる事がみんなの益になるわけじゃないんだね。
「だな。クレイにはもう十分すぎるぐらいやって貰っているんだ。あ、俺達も村の防衛には協力出来るからな」
《主の村を僕も守ってあげるよ》
ベルグさんの後に、僕のあたまをわしゃわしゃしながら明るく励ましてくれるフレック兄さん(15)。相棒のフォレストホースのチャーからも念話が届いたよ。
すると、コッコ達やホルスター達も《村に遊びに行く!》とか《外の空気もたまには吸わないとね》って言ってくれたんだ。うん、みんなも十分戦力になるからね!頼もしいや。
そんな感じで予定が決まっていった次の日……
『おい、ブラム!食堂の収容人数は確か60人くらいだよな?』
「いや、100人は収容出来るようにしといた方が良いって言ったじゃないか」
『そうだったか?』
「ねえ、ブラムさん!大通りはこれくらいの広さで良い?」
「……ムーア、もう少し広く作れるか?馬車二台同時に通っても、両脇の歩行者が危なくないようにな」
「うん、わかった!」
『クレイー!家が先に出来た!ゲートインアウェイ頼む!』
「え、ロン兄さん速い!もう出来たの?ブラムさん!計画書通りだと、次の家ってここで良いんだよね?」
そう、やってみると、実は展望台で全体を見ているブラムさんが1番大変なんだよねぇ……みんなチームゲートホン出来るから、ブラムさんに質問が集中することすること。
「だからいっぺんに話しかけるな!」ってキレるブラムさんの姿は1日に何回見たかなぁ。
……どこも管理職って大変だよね。
それでもブラムさんが居るおかげで、着々と出来て行く開拓村。商業地区はまだだけど、住民区の完成予定はこんな感じかなぁ。
〜〜〜 〜〜〜
柵 柵
入り口 柵
柵 商業地区予定 柵
柵 柵
柵 コモンルームの箱庭の扉 柵
柵 領主宅 村食堂 柵
柵 公園 大 公園 柵
柵 ーーーーーーーーー ーーーーーーーーー 柵
柵 家 家 家 家 柵
柵 通 柵
柵 家 家 家 家 柵
柵 ーーーーーーーーー ーーーーーーーーー 柵
柵 家 家 り 家 家 柵
柵 柵
〜〜〜 〜〜〜
あ、これ思いっきり簡単に書いているからね!ーーは道だよ。
実際には柵は二重だし、今ガーデニング四人娘が木を柵の周りに植えていってくれてもいるんだ。しかも母さん達も畑の箱庭で育てたハーブとかも植えているから、村が緑に包まれているよ。
あ、そういえばお父さんからチームゲートホンが入ったんだ。
『確定ではないが、おそらく近隣の村から避難民が来るかもしれん。何かの襲撃にあったんだろう。被害を受けた村を見た。一応俺達は泊まらず通りすぎたんだが……念の為伝えておく』
うーん……。まあ、普通はもっと大きな街に向かうだろうからね。まさか辺境の村に来るとは思えないし。
それでもお父さんの話を聞いたブラムさんは慎重でね。
「まあ、避難民が来るとは思えないが、来たらしばらく宿舎棟に泊まってもらおう。この村は特殊だからな」
って言ってたよ。うん、僕が原因だから何も言えないや。
それとね、一応村の巡回ルートとして柵と木の間に道もあるよ。これは商業地区も同じようにするんだ。
へへ。まだ村も出来てないのに気が早いでしょう。みんな実は店を始めようと考えているんだ。
今は村では物を共有しているけど、いずれキドさんが行商にも出るでしょ?そうしたら村にもお客様が来てくれるかもしれないし。
そうじゃなくても、村人達だけでも仕事の給金を出していこうって、お父さんとブラムさんは話し合っていたんだって。やりがいは上がるだろうからね。
そんな感じで一週間。
遂に村人全員の家が出来たんだ!
明日から引っ越し始めるんだけど、今日はパニックルームの食堂で簡単にお祝いするんだって!
丁度準備が終わるタイミングで、食堂にガヤガヤと大人達が入ってきたんだ。
「よっしゃ!完成祝いしようぜ!」
「おいおい、ディラン。領主いない間にやろうとするな」
「ブラム〜堅い事言うなよ〜。秘蔵の酒見つけたんだぜ!」
ん?ゼンさん見つけたって……?あれ?ゼンさん達既に飲んでる?
「ゴ主人〜!ウィッ……アア!ゴ主人ガ2人イマ〜ス」
あ〜、アル酔っ払ってる!お酒何処にあったの?
「貯蔵庫ニ数種類アリマシタヨ〜♪」
……僕聞いてないよ?アル。
「誰かしら?アルちゃんをこんなにしたのは?」
とにかく千鳥足のアル捕まえようとした僕だったんだけど……アルをヒョイッと抱き上げたのは、にっこり笑っているお母さん。
……ディランさん達の心の悲鳴が聞こえてきた気がするよ。
結局その日はお酒無しでお祝いしたんだ。僕達は十分楽しくて美味しかったけどね。大人は少し苦笑いしてたなぁ。
お酒はお父さん達が戻ってくるまでお預けなんだって。
これは仕方ないよねぇ。
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