第15話 遂に全員登録!

 ダダダダ……バタン!

 

 「クレイ!本当か!」

 「登録できるの⁉︎」


 朝、勢いよく食堂にジェフとケインが駆け込んで来たんだ。それもそのはず。僕が今チームゲートホンで、登録者全員にこう言ったからね。


 『おはようございます!嬉しい報告です!今日箱庭ゲートキーパーがレベル6になっていました!全員チーム作成登録できますよ!まだ登録していない家族がいる方々は是非伝えて上げて下さい!食堂で待ってます!』


 だって僕も嬉しかったんだ!年少組も念願の扉入りだし!


 だからつい、今朝気づいた時に興奮気味にみんなに伝えちゃったんだ。そしたら1番に駆け込んで来たのは、幼なじみ3人組の内の二人。


 僕も二人と扉の中で遊べる嬉しさで、ハイタッチから始まる僕らの決めポーズを一緒にやったんだ!それでも嬉しさが余った二人は、「やったぁああ!」ってはしゃいでいたけどね。


 3人で喜びあっていると、集まってくる年少組のみんな。


 特にディディー(7)とシェリル(8)の女の子二人組はよっぽど嬉しかったのか、僕に抱きついてくるほどだったんだ。仲良し女の子四人組の内二人は既に登録済みだったからね。今仲良し四人組で輪になって喜んでいるよ。


 そんな感じで朝から賑やかな食堂内。


 お母さん達は調理場で食事の準備をしながら、食堂ではしゃぐ僕たちを笑顔で見守ってくれていたよ。既に食事をしている自警団員のバースさんとムーグさんも、笑って僕達と一緒に喜んでくれたんだ!


 みんなあったかいよね。


 そしてチーム作成をして、一人ずつ登録し終わると早速動き出そうとする新しい登録者達。


 「みんなー!まずは先にご飯よー!」


 お母さん達が僕らの近くのテーブルに、焼きたてパンとシーフードシチューと、新鮮なミルク、サラダをそれぞれ用意してくれたんだ。


 うわぁー!いい匂い!


 好奇心も空腹には勝てないからね。みんな大人しく席に着いて食事を始めたんだ。


 ん?何、ケイン?うん、美味しいねぇ。へへっ、全部箱庭産だもん。そうだよー!全部の扉に入れるんだ!


 ご飯を食べながらでも、気持ちはもう扉の事でいっぱいの年少組。あちこちで、どこから見る?とか海見に行こう!とか会話が聞こえるんだ。


 そんな僕らと一緒に食べ始める村の人達。あちこちで今日の予定の確認や、朝の巡回であった事とか色々話も聞こえてきたよ。


 最近は、みんなで食べるのが当たり前になってきた今日この頃。


 この食堂でワイワイみんなと食べるのが思いのほか良くって、大人達の間で開拓村に食堂作ろうって話も出ているくらいなんだ。

 

 「っしゃ!食べ終わったぜ!よし!クレイ、ケイン行くぞ!」


 さっきから凄い勢いで食べていたジェフ。まだ食べている僕とケインの腕を掴んで立ち上がるんだもん。ケインと僕は、顔を合わせて苦笑い。僕とケインも口の中をモグモグさせながら一緒に立ち上がると、ダウロさんから待ったがかかったんだ。


 「すまん!クレイは残ってくれ!話がある」


 ダウロさんの声に、ジェフもケインも非難の声を上げたんだけど……


 「なら代わりにフレックとジニー!ジェフとケインを案内してやってくれねえか?」

 

 ダウロさんが指名したフレック兄さん達はジェフ達も憧れの存在。兄さん達は早食いだから既に食べ終わっていたし、ダウロさんの提案に即了解してくれたんだ。ジェフ達ったら、むしろウキウキして兄さん達の後についていったよ。


 べ、別に悔しくなんかないけどさ。


 でもやっぱりちょっとだけ羨ましいと思いながら、ダウロさん達が座っている席に近づくと、一緒のテーブル席のお父さんが僕を膝に乗せてくれたんだ。


 「悪いな、クレイ。ちょっと付き合ってくれ」


 頭を撫でられながら頼まれたら仕方ないよね!僕があっという間に機嫌を直した様子に笑うダウロさん達。いっとくけど、僕まだ5歳だからね!


 そんな僕の機嫌をあやしつつ、本題に入って行くダウロさん。


 「そろそろグレイグが王都に報告に行く時期だろ?だからどこまで話すか話しあっていたんだけどさ。今朝レベルが6になったんだろ?まずはお前の最新の情報を共有しておこうと思ってな」


 あ、そっか。お父さんそう言っていたもんね。僕もそれに関しては伝えなきゃと思っていたから、丁度いいね。


 改めて僕のステータスはこんな感じになったんだよ。


   クレイ・リーガン 5 男

 HP 450

 MP 700/700

 SP 1100

 スキル 箱庭ゲートキーパー〈レベル6.5〉 

     生活魔法 箱庭錬金 ゲートインアウェイ

 称号  異世界転生者 時空神の祝福


 魔力量が上がったんだよ!やっぱり毎日使っていたのが良かったのかな。それにSPもちょっとは増えたでしょ?結構使い込んでいるから、なかなか貯まらないけどね。そしてね……


 【箱庭ゲートキーパー】レベル6.5

 [箱庭]

 ・海の箱庭の扉 開放済み

 ・布の箱庭の扉 開放済み

 ・畑の箱庭の扉 開放済み

 ・コモンルームの箱庭の扉 SP400

 ・パニックルームの箱庭の扉 開放済み(1/2)

 ・牧場の箱庭の扉 開放済み

 ・鉱山の箱庭の扉 SP500←NEW!

 [ゲートキーパー]扉管理者の能力

 ・箱庭錬金 取得済み

 ・チーム作成(登録上限64名) 取得済み

 ・チームゲートホン 取得済み

 ・ゲートインアウェイ 取得済み

 ・ゲートキーパースマートキー×2 SP400←NEW!

 ・箱庭化 SP10,000


 チーム作成は既に取得済みになってるけど、鉱山の箱庭の扉追加されたんだ!鉱山、遂に来たよ!うわぁ!早く入りたい!


 それに[ゲートキーパースマートキー]ってなんだろうって思うよね。タップして調べてみたらね……


 [ゲートキーパースマートキー]

 この鍵の所持者もゲートキーパーが使える能力、箱庭錬金とゲートインアウェイが使用可能になる。但し消費魔力は所持者の魔力から引かれる。ゲートキーパーの許可があればMP100まで魔力譲渡可能。


 これって、僕の他にも箱庭錬金出来る人が増えるんだ!しかもゲートインアウェイも出来るんだって!これってすっごい僕が助かるじゃん!僕、しょっちゅうあちこちで呼ばれているからなぁ……


 「ちょ、ちょっと待て!鉱山の箱庭だってぇ!」


 僕が説明していると、突然大声で叫び出すダウロさん。その声に「なにい!」とすぐに反応したのはペギーさん。


 どうやら二人共が望んでいた箱庭だったんだって。物作りするにも足りない物が釘や道具。幸いダウロさんとペギーさんの家から、二人の持っていた道具や釘があったからなんとかなっていたけど、それも底がついてきたんだって。


 「なあ!クレイ!鉱山の箱庭にも代理管理者登録はあるのか⁉︎」

 「出来たら俺達にやらせてくれ!」


 開ける前からこの熱量で僕にお願いする二人。更に話を聞いていた他の箱庭の管理者やマーサさんミーナさんは[ゲートキーパースマートキー]にかなりの興味を示してきたんだ。


 特にマーサさんとミーナさんが言うには……


 「布の箱庭に代理管理者登録があれば助かるって、前から言っていたんだ。なんせいつもクレイにお願いしないと布が出来ないからねぇ」

 「そうよ!布団だって、洋服だってまだ足りないわ!それにクレイが個人的に作ったクッションなんか、今みんな待っているんだから!」


 ため息混じりに言うマーサさんに、クッションの事を持ち出すミーナさん。


 うん、これは僕のわがままで、前世の記憶から包み込まれるジャンボクッションってやつ作ったんだよね。僕が使っていたら、あっという間に魅了された子供達。大人までこれ良いなって事になって、マーサさんとミーナさんにお願いしていたんだって。


 でも布の箱庭は僕しか錬金出来ないから、ちょっと困っていたみたい。僕あちこちで呼ばれているからね。そして海の箱庭もそうだから、よくその扉にいるバース家の兄さん達からも声が上がったんだ。

 

 周りから意見がいっぱい出てきたころ、お父さんが一旦みんなをまとめたんだ。


 「よし、みんなの意見は分かった。だがまずは、クレイ。済まないがそのキーとやらを出してくれるか?」


 お父さんに頼まれて、僕も快諾。早速SPを消化して取り出した[ゲートキーパースマートキー]は前世で言うスマホだったよ。チーム作成登録している人なら誰でも使えて、使い方も指示が出るから簡単。


 僕は魔力を100ずつ込めてお父さんに渡したんだ。お父さんはそのままマーサさんとバース家のライル兄さん(13)達に渡していたよ。


 「これの使用に関しては、1日交代で使って行こう。今日は、海の箱庭と布の箱庭の使用者で問題無いな」


 ここは領主のお父さんがみんなをまとめてくれたよ。

 流石お父さん!


 後はダウロさん達の熱い視線が気になるし……


 よーし!早速鉱山の箱庭の扉を開けるよ!

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