第2話
今から30年以上前。とある栄養ドリンクのキャッチコピーが話題となった。
「24時間戦えますか」
人間の体力には限界がある。当然、人間は24時間戦える、つまり24時間続けて働けるハズがない。この栄養ドリンクにはそれ程の絶大な効力があるのだということを大袈裟に表現した、単なるキャッチコピーにすぎない。
しかし「本当に24時間働ける者が現れたら」そんな夢物語を本気で願う程に、この国の中枢の者達は追い込まれていたのだろう。優秀な研究者、技術者達を集め、莫大な資金を注ぎ込んだ。
どれだけの時が流れたのだろう。ついにその技術は完成した。臨床実験にも成功。最大の障害と思われた民意に関しても、大企業の後押しもあってか、たいして問題とはならなかった。そしてついに、実用化に至ったのだ。
「充電式人間」
ユリナだけではない。既に国民の20%以上が充電式人間に改造されている。そしてその数は今も増え続けている。
職を失った者。健康上の理由で就業に困難をきたす者。貧困者。導入当初はそういったマイナスの状況にある者が、自発的に充電式人間への改造を希望した。
しかし充電式人間が一般化し出すと、親や上司に請われて、自らの意思とは関係なく充電式人間となる者も現れた。より多くの生活費を稼ぐ為、ライバル企業との競争に勝つ為。理由は様々だが、どれも単純明快なものである。
ただいくら充電式とは言え、実際に24時間働ける訳では無い。充電する時間が必要だからだ。なので多くの充電式人間は、睡眠をとりながら充電をする。6時間もすればフル充電となる為、睡眠はちょうど良かった。
勤務時間中は常にエネルギー満タン状態。疲れる事なく、常に全力で業務を遂行出来る。
この国の経済は充電式人間のおかげで、徐々に上向き始めた。
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