第4話 謁見

そして4人は王座の間に到着した。

王座にはテラシア王国の国王と王妃、カトリーヌの姉である第一王女。

そして、この国の貴族の当主が揃い踏みといった形であった。


「おお、アイク、カトリーヌ、ガルツ! 長旅ご苦労であった。

 そして国の悲願である魔王の討伐、テレシア王国全ての民を代表して感謝を伝えさ

 せてもらいたい。ありがとう」


国王であり、カトリーヌの父親でもあるコーレル・テレシアが頭を下げると、

それに合わせるように王妃、第一王女、周りの貴族が頭を下げた。


「頭をあげてください王よ。勇者として選ばれた者として当然の事をしたまでです」


「いや、その偉業を成すために様々な犠牲を伴ってきた。

 犠牲になった者たちも報われる」


「ありがたきお言葉」


王や周りの貴族が頭をあげる。


「1つ聞きたいことがあるのだが」


「何でしょうか?」


「そのローブを被っている者について聞きたいのだが」


王族や貴族が集まるこの場においてレイの存在はかなり浮いてた。

全員が正装している中で、ローブを頭から被っており、正体がまったくわからない

状態であり、怪しさ満点である。

貴族の中には無礼、不敬罪などの言葉が出ている。


「この者は旅の途中で出会い、共に旅した仲間です

 事情があり、このような格好をしています。ご無礼をお許しください」


「そうか。もし可能であればローブを脱いで姿を見せてもらえぬか?」


ただ立っているレイに対してアイクが代わりに答える。


「レイ、大丈夫かい?」


「問題ないです」


レイはそう答えるとローブを脱ぎ、顔を見せた。

その髪色は銀色で、赤い眼。可愛らしい容姿の女の子であった。背丈が低いことも

あり、14~17歳くらいであろうか。

レイはそのまま、膝をつき頭を下げた。


「レイと申します」


「お父様、レイは索敵に優れ、私たちを守るために身を挺し情報を集め、魔王に辿り

 つくために力を尽くしてくれましたわ。立派な勇者パーティの一員ですわ!」


「カトリーヌ様...」


レイの横に一緒になって膝をつき話をするカトリーヌ。


「レイがいなければ魔王討伐は成し得なかったでしょう」


アイクも同意するようにレイの隣に立つ。


「そうであるか。レイよ」


「はい」


「このあと全ての者に聞く予定ではあったが、此度の報酬を与えたい。

 何か望みはあるか?」


レイに対して王であるコーレルが聞く。

レイが口を開くのを待ち、玉座の間は静寂に包まれる。

一体何を求めるか。功績からしたら富や名声、得たいものの大半は得られるだろう。


静寂を切り裂くようにレイが口を開いた。


「...少しお話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」


「聞こう」


「レイ!!!」


何かを察したのかカトリーヌが悲鳴に近い声を出し、レイの名前を呼ぶ。

ガルツ、アイクの表情も硬くなっている。

その様子から周りも若干ざわついている。


「大丈夫です」


アイク達を見ながらそう一言かけるとレイは膝を付いたまま話し始めた。






「私は勇者アイクを殺そうとした暗殺者でした」

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