「……あの時の奴隷どれい商人だよな、ドライ王国でルイス達を買った。俺の臣下しんかになりたいってどういうことだ?」


「言葉の通りでございます、拙者せっしゃはこのウィンクルム連邦国跡地に国を創ろうとしているデュラン様を臣下として支えたいのです」


 デュランは目の前で自身の臣下になりたいと言いながらひざまずいている奴隷商の男をどうするかなやいてから、色々と面倒めんどくさくなってもう全部話す決意をした。


「確かに俺は今このウィンクルム連邦国跡地の開発をして国を創ろうとはしているがな、まだまだ国と呼ぶには不十分な状態だぞ。

 物を売りに来るのなら分かるがな、臣下にしてくれってのはマジで意味が分からん」


「――拙者はウィンクルム連邦国の生き残りです・・・・・・、ナイト様と共に一から国を創った経験があります。

 これから新しい国を創るのでしたら拙者は必ず役に立てると思います」


「ッ!?? ――もしも本当なら頭の上に手を置いてもいいか、それで本当のことを言っているか分かる」


「構いません」


 デュランは元奴隷商の男の言葉を耳にしてそれが本当なら是非ぜひとも手元へ置きたいと思ったが、それなら何で今頃になって表舞台へ出てくることを決意したのか分からなかった。

 そのため目的がなんなのか知るため頭へ手を置いてもいいかとたずねたが、を開けることもなく返事をされて逆にデュランの方が戸惑とまどってしまった。

 しかし臣下としてつかえさせるのだったらどの道知らなければいけないと覚悟を決めてその過去を調べさせてもらったが、想像以上の内容にデュランは目を見開いた。


「お前はもう充分じゅうぶんすぎるほど頑張がんばっただろ、そろそろ自分の幸せを考えてもいいんじゃないか」


「拙者にはぎた言葉をありがとうございます、デュラン様。

 しかしもう一度デュラン様のような方へ仕えることが拙者の幸せなのです、ですからお願いします。拙者を臣下にしてください」


「……そうか、分かった。お前のことをなんて呼べばいい」


 デュランはその過去を知って同情してしまって元奴隷商の男へ自分の幸せを追いかけろとがらにもないことを言ってしまったが、そう返されてしまったので自身の臣下にすることを決めた。

 そして奴隷商の男の名前は過去を見たことで知っているが男へあえて名前を聞いた、すると男は「あるじであるナイト様を守れなかった拙者に名前など贅沢ぜいたくすぎます」と話した後。


「ですので拙者のことはそれがしと呼んでください、拙者の呼び名などそれで充分です」


 そう言ったのでデュランは笑顔を浮べながら某と握手あくしゅを交わした。

 それから「某か、それじゃ今日からよろしく頼む」と某へ伝えた後、デュランは無理のしすぎでぶっ倒れた。


 この一時間後、デュランは無理して魔力を使ったことをアリスに知られてメチャクチャ怒られるのでした。……自業じごう自得じとくである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る