監禁

「今日こそは結婚してもらいますわよ、お父様ッ!!」


「はいはい、今はちょっといそがしいから後にしてくれ」


「……王様、いくらなんでもその態度たいどひどいと思う」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093073854935644


 デュランは執務室しつむしつ飛び込んできてそう宣言したステラをつとめて無視むししながら仕事を続けようとしたが、臣下しんかであるルビーにそう言われて仕方なくステラへと向き直った。


「何度も言っているが結婚はしない、もうアリスと結婚しているからな」


「私の方が胸が大きいですわ!! 側室そくしつでもいいので愛して下さい!!!」


「無理、俺はアリス以外と結婚するつもりはない」


 デュランは何万回したか分からないやり取りを終えると再び書類に目を通し始めた。

 しかし視線をらしたためステラが始源しげん魔法を使おうとしていることに気が付くのがおくれ、ステラの創り出した空間くうかんへと連れ去られてしまった。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330668336307891


「始源魔法――ドリームワールド。

 今のお父様には脱出できないこの空間の中で、お父様の子種こだねをもらいますわよッ!!」


「おいおい、流石さすがに今回は洒落しゃれになってねぇぞ」


「えぇ、私は本気ですもの」


「……やるしかねぇか」


 デュランは今の自由に動かない体では天賦てんぷさいを持つステラへ太刀たちちできないのはよく分かっていた。

 けれど娘に自身の子供を産ませるつもりはなかったので天晴を抜いて全力で抵抗したが、三分ほどで天晴をはじき飛ばされてしまった。

 しかし刀を納刀のうとうしてデュランを押さえ込もうとしたステラの力を利用して逆にげ飛ばし、そのまま力くで押さえ込んだ。


「ステラには教えてなかったが俺はこういう小技こわざも使えるんだ、悪いがアリス達が来るまでこのままでいてもらうぞ」


「お父様にこうしてもらえるのはとっても素敵すてきですが今日は目的が違うのでご遠慮えんりょします」


「何をするつもりか分からねぇが、絶対にはなさねぇぞ」


「えぇ、そうでしょうね」


 ステラは真剣な顔で自信を押さえ込んでいるデュランの姿へ昂奮こうふんしつつも残念そうにそうつぶやいた。

 デュランはその言葉を聴くと更に力を入れて押さえ込んだが――突然天地がひ・・・・・・っくり返った・・・・・・


「――何ィッ!??」


「お忘れですかお父様!! ここは私が創り出した異空間!!! 天地をひっくり返すことなど造作もないのですわッ!!!!」


「く、クソッタレめッ!!」


 デュランの今の身体能力では空中では身動きが取れなかったため巨大な石を創り出し、足場あしばとして使って全力でステラから逃げたが空中で追いつかれてつかまってしまった。

 そして手足をステラが創り出した十字じゅうじしばけられてしまい、完全に抵抗することができなくなってしまった。


「クソッ、動けねぇ」


「それじゃあお父様、私と一つになりましょう♡♡♡」


「――いや、もう時間切れみたいだぞ」


 デュランは動けないことに一瞬あせったが世界へ亀裂きれつが入ったことで安心し、目にハートを浮べているステラへとそうげた。

 そして世界がこわれた次の瞬間――ステラは風属性の魔法で吹き飛ばされた。

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