五歳

 見晴らしのいい荒野の中、人族の子供と妖精の二人組に目をつけた盗賊団とうぞくだんかもねぎ背負せおってきたと大喜びで襲撃しゅうげきけた。

 しかし人族の子供の手であっさりと返りちにされて全員がのたうち回っていた。


「何でこいつらを殺しちゃダメなんだヴィンデ? 生かしておいてもまた悪さするよ、こいつら」


「デュランに人を殺して欲しくないだけよ、こんなの殺してもしょうがないわ」


「ふ~ん、分かった」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330668242285949


 デュランは盗賊団の一人を殺そうとしたがヴィンデに止められたため、首をかしげながら殺すのを止めた。

 ただ後から復讐ふくしゅうをされても面倒なので盗賊団一人一人の頭へ手を置いてデュランとヴィンデに関する記憶を消し、盗賊団へ最低限の治療をほどしてからその場を立ち去ろうとしたが。

 やっぱりこいつらをこのまま放置するのは悪いことだなと思い、盗賊団の両手を切り裂いてから不完全な治療をすることで両手を動かせなくしていった。


「デュラン、こういう奴らを普通だと思っちゃダメよ」


「よく分からないけど分かった」


「まあ、今はそれでいいわ……」


 ヴィンデはデュランの教育をどうしようか頭を抱えていたが罪悪感なしで人を斬っている時点でもう手遅れかも知れないとため息を吐き、道徳をデュランへ教えるために次の国で絵本でも買うことを決める。

 そして人族の国を訪れるとデュランへ指示を出して絵本を買ってもらおうとしたが、人族の国ではヴィンデのことをしゃべってはいけないと口止めするのを忘れていたため人族の国でヴィンデの存在がばれてしまった。


「そこの少年! 今すぐその下等種族かとうしゅぞくを渡しなさい!! そうすれば君には手を出さない!!!」


「下等種族って、ヴィンデのことを言った? 死にたいの――お前ら」


「デュラン待って、起源統一教団はまずいわ!! 逃げましょう!!!」


 ヴィンデはなんとかデュランを説得して一緒いっしょに逃げようとしたが近づいてきた教団員をデュランが斬り捨ててしまい、仕方なく教団員と闘い始めた。

 体格差から教団員から吹き飛ばされながらも体のどこかしらを持って行くデュランの姿にヴィンデは彼の将来が心配だったが、そんなことを考えている場合じゃないと幻惑げんわく魔法で教団員を同士討ちさせつつ銃でち殺した。

 それからも二人は死にかけながらもなんとか教団員を殺しくして逃げ出した。


「デュラン!! 何で逃げなかったのよ!!!」


「だって、あいつらヴィンデのことをバカにしたんだぞ。殺さなくちゃダメだろ」


「……そんなんだと結婚できないわよ、デュラン!!」


「俺は結婚したくないし、別にいいや」


 こんな会話を交わした十年後。まさかデュランが一目ぼれすることになるとは、二人とも思ってもいなかったのでした。

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