始源魔法

 鬼人族の里で起きた事件から半年後。

 一ヶ月前に可愛い女の子を出産したアリスの産後さんご肥立こだちが良さそうだったので、久しぶりに模擬もぎ戦をやりたいというアリスの願いを叶えるため。デュランは荒野へアリスと共にくると戦闘を開始した。

 ちなみに女の子の名前はステラです。星のように誰からも愛される人間へなって欲しいという願いを込めて、デュランが名付けました。


始源しげん魔法――シューティング・スターレインッ!」


嵐流刃らんりゅうじん――らんッ!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330667141371805


 デュランは流星をした一撃の雨を・・嵐流刃の乱れ打ちでち落としながらアリスが開発した始源魔法は厄介すぎるとため息を吐き、天晴のみねひるがえしてから無防備なアリス本体を斬るため突撃したが。

 詠唱えいしょうで展開された三重のハードプロテクションで防がれ、再び降ってきた流星を避けるため距離を離すしかなかった。


「……やっぱり無詠唱が出来るんだし、詠唱いらなくね? すきを作るだけだよ、アリス」


「――いいのっ! 詠唱はロマンだもん!! なんでデュランは男の子なのにこのロマンが分からないの!!!」


「いや、ロマンは分かるんだけど勿体ないと思ってな……余計なお世話だった、ごめん」


 デュランは正直そんなことを言われてもと思ったがアリス相手なので飲み込み、嵐流刃で自身へ迫る流星だけを破壊しながら素直に謝った。


「いいよ許す、でも模擬戦は僕が勝つ!! 始源魔法――ジャイアント・アースクエイクッ!!」


「マジで勘弁してくれ――ハァッ!! やっぱりダメか!!? 嵐流刃ッ!!」


 デュランはまるで巨人がその腕を振り下ろしたかのように地盤そのものがめくり上がって迫ってくるのを気合きあいで吹き飛ばしたが、分厚すぎる土石の津波は一部が吹き飛んだくらいではビクともせず。仕方なく嵐流刃で通り道を作って通り抜けた。


「始源魔法――スーパーノヴァッ!!」


「ちょっ!?? それは反則だろ!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330667245062781


 しかしアリスが起こした小型の超新星ちょうしんせい爆発ばくはつを天下無双を使っていない状態ではけることも防ぐことができず、とっさに大樹ユグドラシルの枝木で作ったさやを前へかかげて結界をることでなんとか防ぎきった。


「――勝利しょうりだけをねがうならつるぎきばと変わりなし、つらぬがたじんみちまもくものひとという」


「デュラン!! 天下無双は使っちゃダメって言ったでしょッ!!」


 デュランはだったらジャイアント・アースクエイクとかスーパーノヴァは止めてくれよと言いたかったが詠唱中のため反論できず、詠唱を邪魔されないためアリスから全力で離れた。


「天下無双を使うつもりなら、無理矢理でも詠唱を止めるよ!! 始源魔法――コメットチェイサーッ!!」


無辜むこたみがため、つるぎとなりててきつ 」


 するとアリスはシューティング・スターレインの流星群を一つに収束しゅうそくさせて巨大な彗星すいせいを創り出し、それをデュランへ向けて放ってきた。

 デュランはとんでもないスピードで追いかけてくる彗星に冷や汗を流しながら逃げ続けたが、追いつかれてしまったので鞘で結界をることでなんとか受け止めた。


「ただ一筋ひとすじ閃光せんこうを、おそれぬのならるがいい――天下無双てんかむそう


界破斬かいはざんで防ぎきった!?? だったら!! 始源魔法――コメットチェイサーレインッ!!」


 デュランは結界を貫きそうになっていた彗星を界破斬――だんで異空間へ送ることで防ぎきったが、そんな異常な威力の彗星が雨のように襲いかかってくる光景を視界へ入れて思わず遠い目をした後。


嵐流界刃らんりゅうかいじんッ!! ――刹那せつな一条いちじょう


「う? ――!!?」


 彗星の雨を嵐流界刃破でなぎ払って全て消すとアリスの元へ向かって超スピードで一直線に進み、三重のハードプロテクションを全て破壊した。

 そしてくちびるうばいながら体中の性感帯せいかんたいいじくり回し、アリスを絶頂ぜっちょうさせてからそのまま空中でおかし始めた。

 至近距離すぎたため魔法をてば自身もタダではすまないのと、連続絶頂で思考をかき乱されて魔法を使えなくなったアリスはなんとかしようと抵抗を続けたが。

 魔法が使えないアリスに反撃手段はなく。


「~~~~~~~~~~~~~~ッ♡♡♡♡♡♡♡♡!!!!!!!!」


 結局絶頂させられ続けたアリスの心臓の鼓動こどう極大きょくだい快楽かいらくで止まり、海老えび反りになりながら白目をいてデスアクメしたことで。模擬戦の勝者はデュランへと決まりました。……エッロ。







 ――アリスが新たに習得した始源魔法はデュランの天下無双を見本として完成したものであり、魔力を体外でひかり属性ぞくせいやみ属性へ分けてからもう一度合成ごうせいすることで魔法そのものを天下無双状態のデュランが踏み込んでいる神の領域に届かせたものだ。

 それ故に始源魔法は空間へ干渉したり自然現象の再現などができるのだがアリスはハーフエルフ、精霊と思念しねんで会話ができる彼女は詠唱を必要と・・・・・・しない・・・。これが何を意味するか分かるだろうか。

 つまりアリスは魔力がなくなるまで――自然災害級の・・・・・・攻撃を使い放題・・・・・・・なのだ・・・


 そのため神の領域に踏み込んだデュランか、本物の神しか彼女を害することはできないため、今最強なのはアリスだと言っても過言かごんではなかった。

 ……タイトル変えないとまずいかと思ったけど、エロエロ攻撃でデュランが勝ったのでギリギリセーフ! よかった!!


「……冗談抜きで始源魔法は色々と反則すぎないか、アリス。

 あれは天下無双を使わないとどうしようもなかったぞ?」


「アハハッ、ごめんなさい。久しぶりの模擬戦で盛り上がっちゃって、つい……

 だ、だけどあんな攻撃は反則! ずかしい!! 死ぬかと思った!!!」


 デュランはそう言いながら顔を真っ赤に染め上げているアリスの頭をなでると、ため息を吐いてから正直な感想を話し出した。


「しょうがねぇだろ、俺はアリスを傷つけたくないんだから。

 あの状況だとああするしかなかったんだ、それに――気持ちよかっただろ??」


「本当に死ぬほど気持ちよかったよッ!! あれのせいで一瞬心臓止まったもん!!!」


「大丈夫だったろ、俺がすぐ動かしたし」


「――それはそうだけどッ!!! 納得いかない!!!!」


 アリスはそう言いながら発散できない怒りに頭を抱えた後、手をブンブンと振ってデュランに抗議こうぎしてきました。……可愛い。


「はいはい、分かったよ。それじゃあステラをヘルトに任せきりにはできないし、さっさと帰ろう」


「――はいはいじゃない! 反省しろ!! このエロエロ星人せいじんッ!!!」


 デュランがそう言ってからアリスをお姫様抱っこすると、アリスはポコポコとデュランの胸を叩いたが。このエロエロ星人にそんなことをやっても無駄である。

 愛する者であるアリスがやることなすこと全部が愛おしいと、デュランは本気で思っているのだから。……こいつ無敵か?


「――あーあっ!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330667245000698


「可愛いなぁ、ステラは。ヘルト、どうだった留守番中は?」


「ステラは泣くこともなく、静かに待っていましたよ。とってもいい子でした」


 そんな会話をヘルトとわした後。デュランはいい子に待っていたご褒美ほうびとしてステラと一緒に空中散歩をしようとしましたが、ヘルトも着いてきたいと言ったので背中へしがみつかせてから今度こそ空中散歩に出かけました。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330667245114615


 そしてヴィンデとアリスも空を飛んで一緒に来たため親子全員での空中散歩となり、みんなで笑いながら風景を楽しみました。

 これはデュラン達家族が黒神の手で起った世界存亡をけた戦争が起る前のもっとも幸せだった時期でした、そしてこの九年半後。一夜にしてアイディール神国は滅びました。

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