乱神
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330666849195564
「どうしたんだ
「――
青葉は突然入り口が破壊されたかと思えば自身の娘が訳の分からないことを言っているのを聞き、混乱しながら杏香に近づこうとしたが。
杏香の体を乗っ取った存在はそんなあからさまな
「何者だ貴様!! 我の娘に何をしたッ!!」
「中々の反応速度だな、それでこそ
「――ッ!? 体を
即座に青葉を抱きかかえて後ろへ跳躍した守天の姿を目にして気分をよくしたのか、杏香の体を乗っ取った存在は自身の正体をベラベラとしゃべりだした。
「貴様が
それと儂の正体が何者か知りたいのかだったか? ならば
儂はかつて
奴らさえいなければ唯一神になっていただろう神である。鬼人族の中には
「……乱神は
「……剣神? それがあの剣士のことならばその通りだとも、
――しかし
酒呑童子の言葉を耳にした守天は
「そんなことをさせるものか! 杏香を
「ほう? 貴様に最愛の娘を殺せるのか?? 大人しく体を渡せばこの娘の命だけは助けてやるぞ」
「貴様のことは昔話でよく知っている!! 約束を守るわけがないッ!!」
酒呑童子はその言葉を聞くと守天のことを
「――
その光景を目にして思わず杏香の腕を止めてしまった守天は飛んできた宝玉を避けることができず、その体の中へと入り込まれてしまった。
「――ガアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!」
『クハハッ、やはり子ども思いの親相手はこの手に限るな!! この間抜けめ!!! ――むっ』
まんまと守天の体の中へ入り込むことができた酒呑童子は守天を
「ひ、
青葉!! 今のうちに杏香を連れて逃げろ!!!」
「分かった、剣神様を呼んでくるから待っててくれ!!」
青葉が杏香を抱きかかえながら山を駆け下りていったのを見届けた守天は魔力を限界以上に高め、一分でも多く酒呑童子復活を遅らせるため。全力の抵抗を開始した。
『貴様!! まさか最初からこれを狙って!!!』
「違う、貴様を杏香ごと殺せるのならば殺そうと本気で思っていたとも。ただ貴様の
不本意だが、貴様はデュラン殿に倒してもらうことにする。
だがな酒呑童子! この体、そう簡単に奪えると思ったら大間違いだぞ!
――家族のために闘う父親の
『き、貴様アアアアアアッッッ!!!!!!!!!』
それから五分間。守天は神である酒呑童子を相手に耐え抜いて見せたことで青葉達を逃がしきることができたのだった。
酒呑童子はここまで手こずった事実にプライドを傷つけられたが、何はともあれ最高の肉体が手に入ったことを喜んでいるとデュランとアリスの二人が姿を現した。
「――守天! クソッ、遅かったかッ!!」
「……そんな、守天さん」
「貴様が剣神とやらか! もう一人が誰かは知らぬが、どちらもこの場で
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330666849239604
こうして完全復活を果たした酒呑童子とデュラン達は戦闘を開始するのだった。
デュランは風で
https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330666849165158
そしてヘルトが自分の意思で口を開くまで待っていると着物の
「……どうした、ヘルト。何か言いたいのか?」
「……父上、昼間は申し訳ございませんでした。
私のせいでせっかくの旅行を
デュランはそう言って小さくなっているヘルトの頭をなでてからその体を抱きしめ、自己評価が低いのはアリスそっくりだなぁと思いながら正直な気持ちを伝えることにした
「いや、俺は逆に安心したぞ? ヘルトは今までがいい子すぎたからな、あれくらいの
むしろもう少し我がまま言ってもいいのになぁって、よくアリスとも相談してたしな」
「えっ、で、でも親友である守天おじさんと一緒に過ごすのを楽しみにしていたのではないのですか? それを台無しにしたんですよ、ここは怒るべきではないのですか??」
ヘルトが戸惑いつつもそう言ったのを聞くとデュランは思わず腹を抱えて笑ってしまった。
そして目を点にしているヘルトを抱き上げながら立ち上がり、そのまま肩車してから天幕の方へ向かって歩き始めた。
「なあヘルト、お前は俺のことを世界が荒れてるのを見過ごせずに介入した立派な人間だと思ってる
俺が世界を変えたのは一から十までアリスのためだ。
俺にお前とアリス以上に大切なものはないし、世界がお前らを
「えっ、でも普段はそんな感じじゃ……」
「それは当たり前の話だ、そうしないと俺みたいなのは排除しようとするのが人間だからな。
よく覚えておけよヘルト。自分よりも強い存在を怖がる
デュランは
それでも魔法で削られていく己の
「――アリスさん、剣神様はどこにいるんだ!! 頼む守天を、私の夫を助けてくれッ!! 頼む!!!」
そうして歩いて天幕まで着くと同時にそう叫けぶ青葉さんの声が聞こえてきた。
デュランは何か異常事態が起きたのだと理解し、ヘルトを地面へ下ろしてから青葉さんに話しかけた。
そして数百年前に剣神の手で滅ぼされたはずの酒呑童子が
「ルイスとノアはこの天幕とヘルト達を守ってくれ! ヴィンデと青葉さんは里の住人の避難を!! そして酒呑童子の相手は俺とアリスでする!!!」
「デュラン、そうはいってもアリスはまだ動けるけどお腹の中に赤ちゃんがいるんだぞ? アリスが留守番で俺達が出た方がよくないか??」
ルイスがそう言うのを聞くとデュランは首を振り、この配置になった理由を話し出した。
「いや、ダメだ。前アイディール神国が再生した機神を相手取ったことがあるから分かるが、ルイス達じゃ力不足だ。
俺も不本意だがアリスの手を借りるしかない状況だからな、仕方ない」
「うんっ、僕も闘うよ!! 親友の守天の為だものッ!!」
そうして話を終わらせた後、デュランとアリスは守天の屋敷まで急いだがその頃には酒呑童子が守天の体を乗っ取り終わっていた。
デュランは相手の気配の強大さに
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