契約
———洞窟。
森の中で話を聞くというのは魔物が現れ面倒なためエルフを連れて戻ってきた。
「、、アスティーこいつ、だれ?」
胡座をかいた俺の足の間にすっぽりとおさまっているシエルが不機嫌そうに聞く。
なぜだか、俺が帰ってきてからずっとそうだ、
が、まぁいいだろう。
「森で剣の特訓をしているときに出会った。」
「は、初めまして、
「エフィルロス、お前は何を願いにここへ来た、」
「、実は先日人間が私たちの村を訪れてきました。
人間が来ることが珍しいので不思議に思っていると、アイツら私たちの家族を友達を楽しむかのように殺していったのです!」
そこからの話はあまりに酷かった。聞けば平民の不満を解消するために長耳族エルフの奴隷化を国王直々に許可したらしい。
、反吐が出る。
「アスティー、?」
いつの間にやら威圧が出ていたようで心配してくれたシエルに声をかけられる。
「すまない、俺もまだまだ未熟だな、」
自傷気味に笑うと何も言わずにシエルが抱きしめてくれる。
少し落ち着きを取り戻した俺は一つ決心をする
「その件、この俺が力を貸そう、シエルそれでいいな?」
「アスティーが決めたことなら私はどこまでもついていくだけ」
「ほ、本当に大丈夫なんですか?」
俺が龍であることも見抜いているが、見た目が見た目であるが故に少し心配なのだろう。なんせ今の俺はよく見られて10代後半だからな。それに俺の行動に全ての
こうなれば仕方ない、
「案ずるな,小娘」
「っ、!」
さっきとは比べ物にならないほどの重圧がかかる言葉で話しかける。
そして、俺の周りに黒いもやがかかり姿が見えなくなる。
そしてもやがなくなると、
「我、
本来の龍の姿となった俺だ。
進化したおかげか元々の蛇みたいな姿から龍の姿へと変わったのだ。
これならば龍さんの代わりを務めることができるだろう。
「あ、ありがとうございます、!」
少し力を入れすぎたせいかエルフが涙目になっているが、まぁいいだろう。
「ならばこちらからも一つ聞くことがある」
「は、はい!なんでしょうか龍神様。」
「この件、お前たちを俺が助けたあと、お前たちは一体何を捧げる?」
「、、、」
そう、対価だ。
俺の気まぐれ兼人間どもを殺すということで
「私の、私たちの忠誠を捧げます、だからどうかっ、どうか我らを救いください龍神様!」
「いいだろう、ならば今すぐにでもそちらの村へ向かう。
シエル、準備をしておけ」
「、わかった」
どうやら俺の意図を読み取ってくれたらしくシエルも納得してくれた。
さて、この選択が吉と出るか凶とでるか。
———町外れの酒場。
「たんまりですなぁ、頭ぁ!」
「あぁ、やっぱり奴隷商売が一番稼げる」
「まったくですよ、国王様には感謝ですねぇ!
「しかも上物が手に入ったしな」
「ヒッ、」
見るからに下品そうな男たちが見つめる方には手足を錠で繋がれたエルフがいた。
「頭ぁ、俺まだまだ狩り足りないっすよ〜」
「まぁまぁ落ち着けお前ら、
そのためにこの前残してきただろう?今度の新月まで待て」
「いやっほーい!さっすが頭ぁ!」
「じゃあ俺たちのこれからの奴隷商売の繁栄を祈ってぇー」
「「「「乾杯!!!」」」」
男たちは酒を交わし飲み続ける。
新月の夜を楽しみにするように。
その夜が紅く染まるとも知らずに。
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