花冠の静かな怒り
長耳族
「ア、アスティー、。アスティーは今後どうしたいの?」
不意にシエルがこんなことを聞いてきた。答えはもちろん決まっている。龍さんを殺したあの勇者とかいう奴らと人間どもを1人残らずこの世から滅ぼす。そのために今、魔法を鍛えている、が。
「もちろん、あいつらを1人残らず滅ぼす。だが、」
「うん、規模がとても大きい、」
そう、あの勇者らを殺すとなれば力をつければ俺たちだけでも行けるだろう。だが、本当の相手は人間という種族だ。この世界にある人間を、それも国単位で相手するとなると少々厄介だ。
「となると、今の俺たちに必要なのは共犯者ナカマだな。けれどもこの森にそこまでの知性を持った奴がいるのだろうか」
ここの森には確かに強力な魔物はいる。なんせ龍さんの森の魔物だからな。けれども知性を持った魔物は見たことがない。共に目的をなすならせめて言語を喋れるくらいにではないといけないが、
「この森にいるってなると、やっぱり長耳族エルフしかいないか、」
「けれどもアスティー、
そうだ、彼らは滅多に姿を現さない。俺もこの世に生を受けてから一度も見たことがない。
「実際まだ俺には力が足りない。復讐はなるべく早く終わらすべきだが功を急げば足元を掬われるのがオチだ。ここは保留にしておこう」
「、んっ。」
———エルフの村。
「ふんふふーん♫」
1人の少女が花畑をご機嫌そうに鼻歌を歌いながら駆けている。
綺麗な金髪に特徴的な長い耳、彼女こそがアスティーたちの話題にあがっていた
「エフィー!早く戻ってきなさーい!」
「はーい、ママ!」
ここは
「今日は何してたの?」
「花畑に行ってきたよ!この時期になると綺麗な花が咲くの。
ほら!」
差し出されたそれは淡いピンク色の花が組み込まれている花冠だった。柔らかい匂いがする綺麗な花冠だ。
「あら、上手にできたねー」
お母さんの柔らかくて温かい手が私の頭を撫でる。
私はこの手が大好きだ。
「ん?、エフィーおかえり」
「ねーちゃん!おかえりー!!」
家に帰ると出迎えてくれたのはお父さんと弟だ。
それと同時にいい匂いが鼻をくすぐる。
これは、、シチュー?
やった!私の好きな食べ物だ!
「さ、手を洗って。ご飯ができてるよ」
「はーい」
あぁ、幸せだなー。
綺麗な自然に温かい家族。この森の主の龍神様には感謝しても仕切れないや。
———王宮、王の間。
「王よ、人々の不安が高まっております」
「うむ、あの忌々しい龍め、いくら勇者が討伐したとはいえやはり影響力は甚大だな」
「そこで王よ私から提案がございます」
「申してみよ」
「
「、確かに悪くないがただ許可するだけでは周辺諸国から圧力がかかるのではないか?」
「ご心配ありません。かの忌々しい龍の匿っていた
「ふっ、なるほどな。
国王の名において命じる、これから
「はっ!」
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