魔導者

この世界には魔法が存在するらしい。

通常魔法と固有魔法の二つ。通常魔法とはその名の通り一般的に使用されるものだ。通常魔法の習得は種族関係なく誰でもできるらしい。


ところが固有魔法は違う。固有魔法はその種族、あるいはその人物にしか使用することができないものだ。また固有魔法は、結界を張る、火を操る,などはっきりとしていないため様々な用途に使える。そのため魔法というよりかはスキルに近いだろう、


シエルの固有魔法は『戦血姫』。自身の魔力で血を生み出し操るというもの。また、他の生物の血も体外に出たものなら操れるのだとか。


ちなみに俺の固有魔法は

『龍神・蒼』と『龍神・漆』だ。


『龍神・蒼』は水龍ナーガの固有魔法で水を生み操るもの。『龍神・漆』は黒碧龍ファフニールの固有魔法で毒を生み出し操るものだ。


しかしいくら固有魔法と言っても自分のものとして使うには練習が必要らしい。そのため練習をしているのだが、


波濤アルハヘスト


右手を出し魔法を発動するための言葉トリガーを口にする。龍さんが最後に使った水龍波濤ナーガ・アルハヘストを弱小化したものだ。、だが。


青い光が手に収束したかと思ったらいきなり爆発した。

幸い、技の威力が弱く龍である俺の耐久力が高かったため無傷だが、これでは戦闘に使えない。


「ア、アスティー、。その、よかったら私が教えようか?」


どうしたものかと悩んでいると、木の影から見て新しいシエルが声をかけてくれた。


「シエルは魔法が使えるのか?」


「うん、吸血鬼ヴァンパイアの一族は魔術に長けているから、。私も魔法を使うのは得意。」


確かに、こういうことは先人に習うべきだろう。


「なら教えてくれると助かる」


「う、うん!まずは魔力を感じることから。魔力を感じれるようになると魔法のイメージがしやすくなる。目を閉じて自分の体に意識を向けてみて」


言われた通りに瞳を閉じ自分の体、それも内側に意識を向ける。すると、何か熱いものが全身を駆け巡っているのを感じる。もしかしてこれが?


『条件を満たしました。個体名アスティリア、技能スキル”魔素感知”を獲得しました。』


頭の中に機械音声のような声が聞こえてくる。実を言うと進化をしたあとレベルが上がるとあの声が聞こえてきた。おそらく自分の成長を知らせてくれるようなものだろう。ということは、


種族名 黒碧龍ファフニール

個体名 アスティリア

レベル45

称号 『龍』、『水龍』、『黒碧龍』、『暴君』、

技能 『龍神・碧』  水魔法レベル1

   『龍神・漆』   闇魔法レベル1

    見切り 威圧 感覚向上 魔素感知

HP 10000/10000

SP 10000 /10000

MP 9700/10000



自分のステータスを見てみるとやはり追加されている。


「体の中を回っているもの、それが魔力。それが一点に収束し体外で具現化したものが魔法になる。次は、その魔力を手に集める感じ、こ、こんな風に」


シエルが手を出し目を瞑ると手の先に赤い液体の球体ができた。


「魔法はイメージが大事、アスティーもやってみて!」


言われた通りにしてみる。

目を瞑り、身体中に不規則に流れる魔力を手に集める。

そしてその魔力を一点に集めて、魔法として具現化。

イメージとしてはあの一撃。龍さんが俺を守るためにあったあの一撃。


波濤アルハヘスト


言葉トリガーを口にした瞬間。

手から閃光が発射された。否、正確にいうなら魔力が込められた高水圧の攻撃とでもいうべきか。

けれども、本題はその威力。その一撃で前方数キロが消し飛んだ。木は一本も立っておらず、廃れた地面が見えるだけ。


『条件を満たしました。個体名アスティリア、水魔法レベル1が水魔法レベル5となりました』


『条件を満たしました。個体名アスティリア、称号『魔を導く者』を獲得しました』



何やらレベルが上がり、新しい称号が手に入れられたらしい。

これでアイツに一歩近づいた。


待ってろ勇者カノン、人類を守るとかいうくだらない信念ごと打ち砕き、


お前らを滅ぼしてやる。

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