転生 そして 誕生

———数日後。


俺はあのあと洞窟から数キロメートルほど離れた洞穴で過ごしていた。

数キロメートル離れたこの場所でも戦闘の音が数日間鳴り響いた。それがあの騎士と龍さんの戦いの壮絶さを表しているのだろう。


しかし、今日は何も聞こえない。

いつもの平和な森となっていた。


おそらく戦闘が終わったのだろう。


やった、これで帰れる!

またあの暮らしができる。


そんな気分で俺は洞窟へ急いで向かった。




洞窟の近くに来ても龍さんはいない。


おそらくあの騎士との戦いで疲れたり負傷したのだろう。

そしたらまた魔物を狩って龍さんに届けよう!


そして洞窟に着いた。まだあの騎士がいたらどうしようかと思ったがどこにも気配はない、おそらく帰ったのだろう。


(龍さーん、ただいまー!)


俺は嬉々とした声で龍さんを呼び洞窟へ入ろうと、

そして足を止めた。




腐ったような、血生臭い匂いが鼻を刺したからだ。


洞窟の中にいたのは優しくしてくれた龍ではなく、鱗を剥ぎ取られ、頭も切断されたただの肉塊だった。


分かっていた。洞窟に入る前から。

けれどもそんな事実が受け入れられず何度も声をかける。


(龍さん?おーい龍さん、ねぇ、ねえってば、早く起きてよ、ねぇねぇねぇねぇ!)


何度も体を揺らすが、そこに残るのは変わらず漂う血の匂いと反響した自分の声のみ。


その時、俺は理解した。




龍は、死んだのだと。




その瞬間、俺の中で何かが壊れた。


あぁ、あぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ俺のせいだ!!!








どうして龍を殺した?どうして?どうして?どうして?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!!








あいつらだ、あいつらが殺した!あいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらがあいつらが!!!龍さんを殺した!!!!!



許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!!



あいつらも、あいつの仲間も!

龍を殺そうとした人間どもも!





ミナゴロシダ






『確認しました、エラーコード3080。

個体名ーを進化させます、』



不意に声が聞こえてきた。自動音声のような冷たい声。

不思議なことに頭の中に響いてくるようだった。



『条件を満たしました、個体名ーを進化させます』


進化、なんのことだか

もうどうでもいい、


『進化とは一定条件を満たした際に発生するもの。

簡単に説明しますと強化されるものです』


強化?


あの人間は、認めたくないが龍さんよりも強いということだろう、そうなれば強化は必須。ならば


(俺を”進化”させろ!)


『かしこまりました、個体名ナーガを媒介とし進化を行います』


その言葉と同時に龍さん、だったものが黒い霧状となり俺の体に吸い込まれていく、



(!ガァァァァァァァ!!!!)



その瞬間、身体中に耐えられない痛みが走る。

まるで細胞ごと体が変わるような、










『進化、成功しました。個体名ーは種族、水龍ナーガから種族、黒碧龍ファフニールへ進化しました』




数時間経っただろうか

体の痛みが引いた。

何故だろうかいつもよりも体が熱い、


目を凝らしてみると青黒い霧が俺の周りを漂っている。

もしかしてこれが魔力か?


なんだか体もかなり大きくなったようだ。

種族が変わるからか、



まぁいい、そんなことはどうでもいい。

これで一歩近づいたのだ、こんなこと些細なことだろう。


あぁ、早くしたくて体が疼く、、!










俺のしたいことはただ一つ













人間を












1人残らず












「ミナゴロシダ、、、!」

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