第69話【精霊騎士】、ダンジョンに潜る。
翌日。
俺、ミスティ、幼女魔王さまの勇者パーティ一行は、ゲーゲンパレスのすぐ近くにできた精霊ダンジョンに、朝一で踏み入った。
「光の精霊【ルミナリア】、精霊術【ケーコートー】発動だ」
――かしこまりました――
俺の呼びかけに光の上位精霊が応えると、周囲が昼間のように明るくなる。
「すごく便利な精霊術ですよね」
ミスティが周囲を明るく照らす光を見て、ため息をつくようにつぶやいた。
「ダンジョンに潜る時に一番やっかいのは、暗くて視界が確保できなくなることだからな。カンテラを手に持っていると戦闘のときにも不便だし」
しかし数多の上位精霊と契約する精霊騎士の俺にとって、周囲を照らすことなどは赤子の手をひねるよりもたやすいことだ。
さらに、
「あ、そこの床の端っこは踏んだら発動するトラップです、避けていきましょう」
「サンキュー、ミスティ」
俺たちはダンジョン内に仕掛けられた無数のトラップに、一度も引っかかることなく進んでいった。
というのも、この前ミスティが契約した神龍精霊【ペンドラゴン】。
その常時発動型精霊術【看破】が、どんなトラップであろうと、いとも簡単に見破ってくれるからだ。
「トラップを全て無効化するなんぞ、もうこれ反則なのじゃ……
【看破】の圧倒的な力を目の当たりにして、幼女魔王さまが愕然としていた。
さらにさらに。
「分岐ですね。さて、どっちに行きましょうか?」
「ここは俺に任せてくれ。幸運の精霊【ラックス】、精霊術【
――あいさ~――
俺が黒曜の精霊剣・プリズマノワールを床に立てると、パタンと右側の道に向かって剣が倒れた。
「よし、右だな」
幸運の精霊の【
「これもさらっと当たり前のようにやっていますけど、常に正解の道を選ぶすごい能力ですよね」
「おかげさまで、旅続きだった勇者パーティ時代も、道に迷ったことだけはなかったな」
(ただし勇者が勝手に進んでしまった場合は除く)
「さすがですねハルト様」
俺とミスティがそんな話をしていると、
「ううっ、ちび太よ。ミスティもハルトもつよつよ精霊使いなのじゃ……じゃが
――きゅいきゅい~(´;ω;`)――
魔王さまが自分の唯一の精霊【火トカゲ】ちび太を召喚して、涙声で語りかけていた。
そしてちび太も、ちょっとしょんぼりとした声で返事をしていた。
そうこうしているうちに、ついにゴーレムが現れた。
「ひい、ふう、みい……12体か。よしミスティ行くぞ!」
「了解です! 偉大なる神龍精霊【ペンドラゴン】よ、我に力を! 精霊術【白龍神楽】発動!」
ミスティがまるで演武を踊るように、流れるような攻撃を開始した――!
俺は最初、ミスティと一緒に戦おうと思ってたんだけど、
「どうやら俺が加勢する必要はなさそうだな」
ミスティは12体のゴーレムを文字通り圧倒した。
勇者にのみ扱える聖剣をすっかり使いこなし、加えて最強の神龍精霊【ペンドラゴン】の加護を受けたミスティに、直接戦闘で勝てる相手はまずいない。
ゴーレム12体を倒すのにかかった時間は、わずか5分にも満たなかった。
「これもう
――きゅいきゅい~(´;ω;`)――
俺の隣で幼女魔王さまが過呼吸寸前にハァハァと息を荒くしていた。
そんなこんなで、俺たちはその後もトラップやゴーレムをなんなくクリアして迷宮を進んでいき。
ついに最後の部屋へと思しき、豪勢な扉の前にたどり着いたのだった。
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