第66話 必見! 史上最高峰! 緊急精霊発表会!
ミスティが神龍精霊【ペンドラゴン】と精霊契約を結んだ翌日。
場所は王都ゲーゲンパレスの近くにある練兵場にて。
「それではこれより精霊騎士ハルトvs勇者ミスティの模擬戦をはじめる!」
南部魔国軍トップである大将軍ベルナルドが、よく通る大きな声でハキハキと告げ、
「必見! 史上最高峰! 緊急精霊発表会なのじゃ!」
幼女魔王さまが国家元首らしさを微塵も見せずに、親指をグッ!と立てた。
もちろんベルナルドの言うことの方が正しく、今回は模擬戦形式による【ペンドラゴン】のスペック調査である。
観客はベルナルド他、観戦を許された10名の軍精鋭の戦士たちのみ。
俺とミスティは演習場のまん中で、5メートルほどの距離で対峙した。
「それではハルト様、どうぞよろしくお願いします」
ミスティが礼儀正しくあいさつをしてから聖剣を抜き、
「実はミスティと戦うのは初めてだよな。こちらこそお手柔らかに頼むよ」
俺も答えながら黒曜の精霊剣・プリズマノワールを抜いた。
さらには精霊術を行使する。
「戦闘精霊【タケミカヅチ】、精霊術【カグツチ】発動!」
――御心のままに――
俺がいつものように戦いの精霊の力を行使すると、戦闘精霊【タケミカヅチ】の強大な力が身体の隅々まで巡りはじめた。
さらには、
「炎の魔神【イフリート】よ! その
――心得た――
俺の精霊詠唱に【イフリート】が応え、神をも滅する精霊王の力を注ぎ込まれた黒曜の精霊剣・プリズマノワールの刀身が、燃えるような真紅に染まってゆく――!
炎の最高位精霊【イフリート】の力を、剣に
俺の戦闘準備に呼応するかのように、ミスティも精霊の力を解放した。
「汝は正義の体現者なり。神龍精霊【ペンドラゴン】よ、我に力を! 精霊術【龍王結界】発動!」
――白き力は汝とともにあらん――
重厚な言葉が聞こえてきた瞬間、ミスティを中心に強力な精霊力の力場が発生した。
「ぐぅっ!? なんて精霊力だ――!」
それは圧倒的なまでの力の発露。
まだ戦いは始まっていないというのに、俺は一瞬、気圧されて後ずさりしかけてしまった。
信じられないほどに膨大な力の顕現だ。
「こりゃ過去に【イフリート】も負けるわけだな、納得だ。これはかなり気合を入れないとだ。俺の方は準備オッケーだ。いつでもいいぞ」
「こっちも準備オッケーです。いつでも行けます」
ミスティが白銀のオーラをまとわせながら聖剣を構えた。
「でもま、戦いってのは力のでかさだけで決まるもんでもないしな。光の精霊【ルミナリア】! 精霊術【光学迷彩】発動!」
――かしこまりました――
俺は光の精霊術によっていきなり姿を消すと、一気にミスティに斬りかかった。
完全な不意打ちだ。
しかしまるで俺の姿が見えているかのように、いとも簡単に防御されてしまう。
「今のは完全に不意を打ったと思ったんだけど、やるな!」
「性能テストで、いきなりやられちゃうわけにはいきませんから!」
「言ってくれるな――ハァッ!」
俺は姿を消したままでミスティに接近戦を挑んでゆく。
しかしその全てが正確な剣さばきで完璧に防がれてしまい、さすがにこれはオカシイと気が付いた。
いくら何でも完璧に防御されすぎだ。
「もしかしてミスティには俺の姿が見えているのか?」
「えへへ、はい、実は全部見えていました。【龍王結界】は様々な精霊術が複数合わさった、複合・精霊術なんですよ」
「ってことは――」
「その中の1つ、常時発動型の精霊術【看破】は、最高位の光精霊【ルミナリア】の精霊術であっても無力化してくれるみたいです」
「マジかよ」
この分だと【イリュシオン】の幻影精霊術【
相手の裏をかく精霊術の多くが、【ペンドラゴン】の力を解放しただけで、いとも簡単に封じられてしまったわけだ。
「それとなんとなくですが、数秒先のハルト様の行動が見える気がします――これも常時発動型の精霊術【瞬間未来予知】の効果だと思います」
「……ハンパないな、さすがは伝説の聖精霊だ」
「では種明かしも済んだところで、今度はこちらからいきますね。精霊術【白龍神楽】発動!」
ミスティがまるで演武を踊るがごとき、流れるような攻撃を開始した――!
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