第7話 女性用の売り物は色々あれど、男性用の売り物は余り無かったので、違う発想で行った。
「後は移動も何とかなりそうだから、明日からノスタルミア王国に出発しようと思う。今日は取り敢えず出来ることを各自しよう」
「そうですね、私は諸々生活がしやすくなるように金貨を使いますけど、先生どうします?」
「俺の分も幾らか渡しておこう。それから暫くはキャンピングカーでの移動になるから、そこだけは注意してくれ」
「分かりました」
「あの、俺達は……」
――その言葉に、俺はハタと気が付いた。
この子達の仕事をどうするのかと給料を!
例え奴隷でもブラックはいけない!!
ブラックだけは許してはならない!!
そこで俺はカナエに指示を出すことにした。
無論給金はこの世界のやり方だと分からないから、取り敢えず二人の頑張りをメモだけはして……。
「カナエ、ノートとボールペンを一つずつ。あと、砂糖と胡椒を入れ替える作業をこの二人に頼みたいので、瓶もそれなりの量出せるか?」
「はい、出せます」
「後は、段ボールとガムテープも頼む。段ボールは在庫があってもいい位だから多めに」
「はい」
「後は……売れそうな物で考えると……女性は美容関係、男だと頭皮を気にする人が多いよな」
「そうですね、美容関係は少しずつ小出しにしようと思ってるんです」
「それがいいか。俺も小出しにするとして……スカルプケアは大事だよな。俺は男性用のスカルプケアのリンスインシャンプーを金貨1枚で買えるだけ頼みたい。で、瓶も金貨1枚で買えるだけ頼みたいな」
「数回に分けて買いますね。荷運びはお願い出来ますか?」
「空間収納に入れる予定だ」
「了解です」
そう言うと沢山の段ボールが出て来てそれを一つ一つ空間収納に入れていく。
出てきた段ボールも一緒に入れて、ガムテープも入れてと繰り返し、シュウとナノの二人には取り敢えず、砂糖と胡椒を瓶に詰める作業をまずお願いした。
「シュウは砂糖をこの瓶に詰め替えて行ってくれ。ゴミはこっちの段ボールに入れて、一杯になったらゴミ箱分かるか?」
「はい、分かります」
「そこに入れてくれれば問題ない。ナノはこっちの瓶に胡椒を入れ替えてくれ。空になった瓶も段ボールに入れてゴミ箱にな」
「はーい!」
「中身が詰まった物はこっちの段ボールに分別して入れてくれ。赤いガムテープが砂糖用。青いガムテープが胡椒用だ」
「「はい」」
「焦らなくていいからボチボチでいいぞ。そうだな、昼15時になったらオヤツ時間にしようか」
「賛成――!!」
「「おやつ――!?」」
「それまで各自仕事を頑張ろう!」
こうしてまだ生きているスマホをオヤツ時間にアラームが鳴る様にすると、幼い二人がソファーに座って作業している間、俺とカナエはダイニングチェアに二人で座りネットスーパーを見ながら商品を考える。
普通の解熱剤だけでかなりの効果がある事が既に判明している為、強い商品は危険だと話し合い、出来るだけこの世界に沿った物を売る事を決めた。
しかし、一つ問題がある。
「俺達も何時病気になるか分からないし、薬箱くらいは用意しとくべきだな」
「確かにそうですね……」
「外で戦闘することも可能性としてはあり得るからな」
「特に先生とシュウ君はそうですよね。となると傷薬や包帯や湿布……うーん」
「取り敢えず必要な物として、解熱剤、胃薬、咳止め、マスク、傷薬に絆創膏、無菌ガーゼにテープ、後は……色々なんにでも使える軟膏を一つ」
そう俺が指示を出しつつ購入していくと、幾つかの段ボールの中に一先ずあれば安心な薬セットは出来た。
これを薬箱に入れて、カナエの空間収納に入れて貰い管理して貰う事にする。
これで安心して商品を選べる訳だが――……。
「カナエが売るとしたらまず何にする?」
「先生はスカルプシャンプー選びましたし、私も女性用のシャンプーとコンディショナーにしようかと思います」
「二つセットか」
「そうですね。後は香りが良い石鹸ですかね」
「おお、確かにその考えは無かった。確かに石鹸は大事だな」
「先生は運転作業で忙しいと思うので、私とシュウちゃんとナノちゃんとで詰め替え作業はしますので、先生も一つ何か選んだらどうです?」
「そうだな……」
男の視点から見てコレが欲しい……と言うアイテムか。
そう考えると案外難しいものだな。
俺なら欲しいと思うもの……男性向けでか……。
「う――ん……」
「女性は沢山ありますからね……男性だと難しいですか?」
「そうだな……。俺がよく使ってたものを考えると、入浴剤とかか」
「難しいですね」
「ああ……。これは追々考えたい所だが、風呂がある文化なのかどうかも怪しいしな」
「そうですよね、医療用品だって難しいですし」
「ああ、下手に売れないからな」
行かん、手詰まりだ。
男が買うものが中々見当たらない。
思わず溜息を吐くとカナエも困ったようで悩み始めた。
すると――。
「この世界は、砂糖も胡椒も高値なんだよな」
「そうですね」
「なら、瓶に入った金平糖とか、飴玉ならいけるんじゃないか?」
「あ!」
「それから貴族が好きそうな角砂糖とか」
「いいですねそれ! 花柄とかついたのなら賄賂に使えそう!」
「後は紅茶とかのティーバッグだな」
「確かに!!」
「茶葉を売ると言うのも一つの手だ」
「文字は読めないでしょうから見た目もいいのを選んで」
「それを売る」
「アリです、アリですよ!!」
「こっち系は俺が纏めて貰っても?」
「はい、私は女性用のアレコレで忙しいと思うので」
「よし、まずは金貨5枚で金平糖と、ドロップを購入して、更に丸いただの瓶の購入を頼む」
「分かりました。甘いもの作戦ですね」
「その通り。ティーバッグと角砂糖はその次にしよう。ただ賄賂に使えると言った模様入りの角砂糖は幾つか欲しい」
「生き残る手段ですもんね」
そう言って幾つか購入し俺の空間収納に入れると、更に金平糖も入れて飴玉と瓶も収納する。
これはナノとシュウの仕事が終わったら再度お願いするつもりだ。今は黙々と作業を続けている二人の邪魔はしたくない。
さて、そうなると夜は寝るが朝から夕方までは只管車の運転だ。
申し訳ないがサングラスが欲しい事を伝えると、ちょっと高めのカッコイイサングラスをカナエからプレゼントされた。
「沢山走りますから、目は大事ですよ?」
「助かる」
「私は冷蔵庫の中に作り置きの料理とか作りたいので、そっち頑張りますね」
「ああ」
「晩御飯はポトフにパンでも良いですか?」
「構わない」
「簡単なものですみません。色々作り置きしますから」
「分かった。俺はナノとシュウの隣でドロップの詰め替えでもしてるよ」
「はーい」
こうしてカナエは炊事場へ、俺はナノとシュウの所に行き、瓶に缶のドロップを入れ替える作業を延々とすることになったが、気づけば没頭していて、スマホにおやつ時間をセットしていたアラームが鳴った。
「よし、おやつタイムだ!」
「「「やった――!!」」」
こうしてダイニングテーブルに座ると、俺は台所から皿を四つ出した訳だが――。
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