第6話 得た金銭で武器を買い、情報を得て、そして慌てる。
――こうして、その後はカナエがナノをお風呂に入れて綺麗に身体を洗ってやり、耳掃除をして貰ったり、歯磨き等教えている間に俺がシュウをお風呂に入れて身体を綺麗に洗ってやり、ナノ達がいなくなっている間に耳掃除をして貰ったり、歯磨きのやり方を教えたり、この家の使い方を教えた。
赤のバスタオルで包んだシュウを連れてくると、ナノは可愛らしい服装で待っており、シュウ用の服も出して貰って着替えて貰う。
服はあちらの世界のものだが、カナエが出来るだけ此方の世界にもありそうな服を選んでくれて助かった。
「綺麗に洗うと、二人共髪の色が綺麗な金色だな……目はシュウが赤でナノは黒か」
「こうなると、寝る時用のパジャマも欲しくなりますね」
「確かに」
「豪華にシルクのパジャマなんてどうです? 先生」
「いいな……シルクのパジャマ」
そんな話をしつつ、皆にお留守番を頼んで俺は商業ギルドに足を運び、地図を購入した。
すると――ギルドマスターから声を掛けられ、応接室に通された。
「アツシ様がもう旅立たれるとは……」
「申し訳ない、ノスタルミア王国に急遽行かなくてはならなくなったんだが、此処からだとどういった方が近いだろうか」
「ノスタルミア王国ですか? そうですね……地図を見ての通り、今いる場所がオスカール王国で、右がノスタルミア王国。左がダングル王国となっておりまして、現在オスカール王国はダングル王国とにらみ合いをしている所です。中央にあるジュノリス大国はそのにらみ合いを良しとしておらず、双方どちらかが動けば、動いた側の国王を断罪し新しい王家を誕生させ均等を守らせると言っていますが……」
「商人にしてみれば、国が荒れるのは良くないが王家が変わるのは問題がない」
「左様です。また、お金をお持ちでノスタルミア王国に行くのなら右側にある街道を只管真っ直ぐですね。途中には小さな村も点在しておりますが、ノスタルミア王国に入る際、入国料が発生します。それは冒険者であっても、商人であってもです」
「一人幾ら掛かる?」
「一人金貨10枚だと記憶しております」
「なら妥当だな……」
「安上りで入国したい場合はジュノリス大国を経由するのですが、何せ大国ですので人も多く、治安が悪い所はトコトン悪いので、毎日国や組織が作った自警団などが走り回っている有様です」
「それは……国として大丈夫なのか?」
「治安がいい所を通れば安全ですから」
そう言ってニッコリと笑ったギルドマスターに俺は一息入れると、取り敢えずキャンピングカーに乗って右の方に進むべきだと考えた。
入国料金は気にしていられない。
まずはこの国から離れ、ノスタルミア王国に避難すべきだ。
そこから色々を考えてもいいかも知れない。
「そうそう、全ての国には商業ギルドでもお世話になっている【ボルドーナ商会】があります。そこと顔つなぎが出来れば、商人としては一流ですよ」
「なるほど、良い事を聞きました」
「いえいえ、なので是非またこの国に来られた時は胡椒等を……」
「ええ、その時は持って来ましょう」
「ありがとう御座います!!」
こうして商業ギルドを出ると、俺は武器屋に立ち寄った。
剣術10が最高だと言うのなら、剣くらいは使える筈だ。
だが、出来れば刀がいいが……実家で家宝の刀を振り回してたし。
店に入ると冒険者が数名いたが、気にせず周りを見渡すと、一本だけ刀が売っていた。
とても古びた刀で埃を被っていたが、金額を見ると金貨200枚と書いてある。
本当に金貨200枚の価値があるのだろうか?
「お、坊主。それに目を付けたのか?」
「え?」
そう声を掛けてきたのは店主で、刀を飾り棚から持ち上げ誇りを乱暴に拭うと、俺に差しだしてきた。
持ってみると実家で使っていた刀よりは軽い。
鞘から刀を抜き取ると、中々綺麗な波紋のある刀だった。
「俺の曾爺さんが作った作品なんだよ。ずっと売れなくてな……処分しようにも、なぁ」
「そうですねぇ……でも金貨200枚は高いなぁ」
「いくらまでなら出せる?」
「ん――」
「180?」
「んん――……」
「160までならギリギリ」
「それで買いましょう!」
俺は即決した。
ついでに投擲武器が欲しいというと、「投擲は余り攻撃力が無い為使い勝手が悪いし、武器を消費するので金食いだぞ」と言われた。
「なら、投擲が得意な子が出来そうな武器ってあります?」
「そうだな、魔導銃ならいけそうだが」
「魔導銃とは?」
「自分のMPを玉にして撃つのさ。MPが多い奴なら愛用している奴は多い」
「子供が持てそうなのあります?」
「ははは! お前さん面白い事言うな!」
「あははは……ありますか!?」
「俺が孫向けに作ったのならあるが」
「売って下さい」
「うちの孫は8歳だぞ?」
「丁度いいです」
「お前さん子持ちだったのか……なら売ってやらん事もないなぁ」
子持ちに見えるのか……っ!?
確かに27歳なら結婚していても可笑しくはないか!?
一生独身のフラグが立ちそうな気がしてくる!!
いや、カナエがいてくれるから寂しくない筈だ!!
そんな事を思いつつ、孫に作ったと言う魔導銃と刀と、刀を腰につけるベルトを購入し、防具やで簡単な防具を購入すると装着してからログハウスへと戻る前にもう一つ購入したいものがあった。
それは――……。
「ただいま、遅くなってすまない」
「お帰りなさい」
「お帰りなさいませ!」
「おかえなさーい」
「うん、皆いい子にしていた様で何よりだ! そんな皆に土産があるので此方に来て貰おう」
そう言うとソファーに皆が座り、俺は魔導銃(8歳用)を取り出し、まずはこれをシュウに手渡す。
「これは、魔導銃と呼ばれる物では?」
「ああ、MPを魔弾にするらしい。投擲が出来るならコレがいいと武器屋に言われてな」
「こんな子供用、売ってるんですね……」
「いや、それはお孫さん用に作ってたのを買い取らせて貰った……息子用にと言って」
「やだ先生ったら、息子用ってもう!」
「仕方ないだろう。俺はこの異世界では子持ちに見えるらしい」
「あはははは!」
「で、女性陣にはこの髪飾りを買ってきたんだが……」
そう言って二つの髪飾りを見せると、一つは薔薇、一つは百合が描かれていて綺麗だ。
これは魔道具の一つで、一度だけ死を免れる効果があるらしい。
つまり、身代わりの護符みたいなものだな。
「身代わりの髪飾りですか?」
「ああ、二人は女の子だし危険も大きいと思って。身代わりになれるものがあるならと思って探してみたらあったんだ」
「私、百合が良いな……」
「私は薔薇かな。愛って感じがして好き」
「ははは、気に入ったなら良かった。後は移動も何とかなりそうだから、明日からノスタルミア王国に出発しようと思う。今日は取り敢えず出来ることを各自しよう」
「そうですね、私は諸々生活がしやすくなるように金貨を使いますけど、先生どうします?」
「俺の分も幾らか渡しておこう。それから暫くはキャンピングカーでの移動になるから、そこだけは注意してくれ」
「分かりました」
「あの、俺達は……」
――その言葉に、俺はハタと気が付いた。
この子達の仕事をどうするのかと給料を!
例え奴隷でもブラックはいけない!!
ブラックだけは許してはならない!!
そこで俺はカナエに指示を出すことにした。
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こんばんは、読んで頂きありがとう御座います。
一日三回更新のラストでした。
明日も朝9時から更新致しますので、応援よろしくお願いします(`・ω・´)ゞ
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