【再連載】大財閥会長兼現役高校生の俺、家出した学年一美少女クラスメイトと同棲生活を始めました! ~俺の心臓が持たないので場所問わずに抱きつくのは勘弁して下さい!~
第17話 このクラスの一員になれて良かったです
第17話 このクラスの一員になれて良かったです
俊吾達と別れた後の朱璃の話になります。
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お兄様と別れた私は急いで改札口を通り、1番ホームへと続く階段を駆け下りる。
その私の後ろから桃花さんやメイド護衛隊、SPさん達が追いかけてきていました。
それに構わずに階段を駆け下りた私は、電車待ちの列の最後尾に並びました。
そこでようやく追いついた桃花さんが私の後ろに並び、私に小声で声を掛けてきました。
「ようやく追いつきましたよ、朱璃様」
そう言ってきたので、前を向いたまま小声で質問をすることにしました。
「桃花さんはお兄様に付いてなくても良かったのですか?」
「いやぁ、それはちょっと…」
私の質問に対し桃花さんは言い淀んだので、悪戯心が芽生えた私は内心でニヤニヤしながら聞きました。
「お兄様にまた頭をグリグリされたくないから、ですよね?
だから私の護衛に回ったのですよね?」
「はぁ……その通りですよ朱璃様。
武術では俊吾様よりも強い私ですが……あのグリグリにだけは勝てませんので」
「あらら……桃花さんはお兄様のグリグリが弱点、と」
「あの、朱璃様?
まさかとは思いますが…その左手にお持ちになられているメモ帳には書いていないですよね?」
「はい? 勿論、書き記しましたよ♪」
私がそう言った瞬間、後ろから何かが崩れ落ちる音が聞こえてきました。
なので後ろに振り向くと、桃花さんが膝から崩れ落ちていました……スカートの中が見えないよう上手く両手で抑えながら。
それを見た私は思いました……なんて器用な、と。
そんな桃花さんが「この義兄妹は悪魔だ…」なんて呟いていたので、それもしっかりとメモ帳に書き記しました……お兄様へ教える為に、です♪
とまぁそんな感じで話していると、ホームに電車が入ってきました。
停車して空いたドアから私と桃花さん達は車内に乗り込み、偶然にも空いていた座席を見つけ、桃花さんと対面になる形で座りました。
私と桃花さん達、とは言いましたが……私が乗り込んだ車両は女性専用車両ですので、男性であるSPさんは両サイドの車両に乗り込んでいました。
なのでこの車両には私と桃花さん…それからメイド護衛隊が乗っていることになりますね。
そして席に座ってから程なくして車内放送が流れた後、ドアが閉まってから静かに電車が走り始めました。
暫く桃花さんと話したり外の景色を眺めている内に、私を乗せた電車は何事もなく無事に目的地である美園駅で停車しました。
開いたドアからホームへと出た私は、片手でスカートが翻ってしまうのを抑えながら階段を登り、改札口へと向かいました。
そして通過後に美園駅から出た所で、隣にいる桃花さんに言いました。
「桃花さん、護衛はここ迄で大丈夫です」
「了解しました。
ではまた放課後にお迎えに参ります」
「はい、それでお願いします。
では行ってきます」
「行ってらっしゃいませ~♪」
何でこんなやり取りになるのかというと、美園駅の目の前の道路を渡った先に私が通う高校……私立美園女学院大学付属高校が立っているからですね。
正門前で桃花さん達と別れた私は、正面玄関に向けて歩き始める。
そして歩いていると後ろから声を掛けられた為、歩みを止めて後ろを振り返りました。
すると1人の美少女が私の方に寄ってきて朝の挨拶をしてきました。
「ごきげんよう、朱璃様」
「未来さん、ごきげんよう」
ごきげんよう…と私が挨拶を返したこの美少女のお名前は、
入学して最初に出来た友達で同じクラスメイトでもあります。
「ようやく春らし陽気になり、過ごしやすくなってきましたね」
「そうですね♪」
「さて、立ち話も何ですし…教室に向かいませんか?」
「ですね。 それでは向かいましょう」
そうして私は未来さんと並んで歩き出しました。
正面玄関について直ぐに下駄箱から上靴を取り出して外靴と履き替え、中央にある螺旋階段を登り、2階にある教室へと向かいました。
私と未来さんが教室内に入ると、私達はあっという間にクラスメイトに囲まれてしまいました。
私を囲んでいるクラスメイトのどの表情も、私を心配している感じでした。
取り囲まれている私の傍にいた未来さんの方を見ると、彼女は「やはりこうなりましたか…」といったような感じで額に手を当てていましたが……そうやっている未来さんも欠席した私のことが心配だった、といった表情をしていました。
こうなってしまっている理由は、私が昨日に欠席したことが原因なのでしょう。
恐らく担任から私が欠席した理由について、粗方の説明があったものと思われます。
そうでなければクラスメイトの皆さんが、こんなにも心痛そうな表情をする筈がないですので。
その証拠に、
「朱璃さん、ご無事で何よりです…」
「担任の先生から粗方のご説明がありました。
朱璃さんがトラブルに巻き込まれたことをです。
私、かなり心配したのですからね!
ですがこうして今、朱璃さんのお顔を見れたことに安心しました」
「朱璃さんが本当にご無事で良かったです」
「また今日も欠席してしまうのではないかと、気が気でありませんでした…」
と言った言葉を私に掛けてくれたからです。
こんなにも皆さんにご心配をおかけしていたことに、私は申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいました。
その中でも中学校時代からの私の4人の友人…
だから私は皆に向けて泣きそうなのを堪えながら言いました。
「皆さん、この度はご心配をおかけし…大変申し訳ありませんでした。
そして皆さんが私を心配してくれていたことに、嬉しくて今にも泣いてしまいそうです。
ですから…その……心配してくれてありがとうございます!」
そう言った後の私は、結局のところ涙を堪えることが出来ずに泣いてしまいました。
そんな私を皆さんは何も言わずに優しく抱きしめてくれました。
それが嬉しくて私は更に大泣きしてしまったんですけどね。
だって1日欠席しただけなのに、こんなにも声を掛けてくれたら…泣いてしまうのは当たり前じゃないですか。
まぁ、私が泣き止まないせいで1時限目の授業が潰れてしまいましたけど…。
それでも私は胸を張って言えます……このクラスの一員になれて良かったです、と───
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