第6話 四時間目② 粉雪だけではなかった
冬のこの季節、白く降り積もって良いのは雪だけだ!
そう口に出して、叫びそうになる気持ちを無理やりおさめつつ、私は拳を力強く握りしめる。
粉雪のようにさらさらと降り積もるフケの出所に視線を向けた私は先ほどまで頭を垂れて夢と現を行き来していた自分にも恐怖と怒りを覚える。
私の前に座るその男の髪はパサパサで艶もなく、所々白いものがちらついていた。
そう文字で表現すると、まるで白髪混じりと捉えられそうなのだが、事実は違う。
触らなくてもゴワゴワしているだろうと感じさせる髪質をしている毛の一本、一本には、言い過ぎなのかもしれないが、小さな粒々とした白いモノをたわわに実らせている。
そして、その毛先ではまるでダンスを踊るように髪の毛から髪の毛へと飛び移る、真っ白な2ミリ程の大きさの虫を確認したのだ。
まるでアリのようなアタマを持ち、身体からは6本の足を生やし、その後ろには沢山の血を貯められるようにであろう、蛇腹模様のついた身体の半分を占める大きな腹がついている。
アイツの名前はそう……
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