第5話 四時間目① 闘いは思ったものとは変わって行く

冬の暖かく暖房の効いた教室の中で、私は見たところ六十近いオジサンの話を延々と聞く。

うつらうつらと眠気を誘うように、のんびりとした語り口調はまるで凶器のようだった。

しかし、ここで眠る訳にはいかないのである。

何故なら、文言は忘れてしまったが、眠ったりして退出させられた場合はもう一度はじめからやし直しになるからだ。

三十分間、私は眠気と格闘しながら退屈なビデオを見ていたのだが、ここから私はある異変に気が付く。

私の机の先、先端と言えば伝わるだろうか…。

そこに何やら白い粉のようなモノが降り積もって………。

私はここで重たくなっていた顔を起こすと、背筋をピン!と伸ばす。

それと同時に身体中を虫が這い回るかのような感覚に教われ、先ほどまで夢の世界に行きかけていたのが嘘のように意識をはっきりとさせ、両の目は前の席に座る男の頭部へと向く。

アレは間違いなくフケだ!

全身の肌が総毛立ち、本当の刑の執行が始まるのを感じたが、事態はそう生易しいモノでもなかったのだ…。

解放まで後、一時間半。

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